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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第809話:石碑からわかること

 マウ爺の最後の転送先、『奇妙なクエスト』エリアの探索を進める。

 今のところどの辺が奇妙なのかわからんわけだが。


「魔物だ。ガードしててね」


 低級巨人のトロルだな。

 おそらくクリティカル持ちなので、一応注意と。

 何かされたけど雑魚は往ね!


「おお、杳珠ドロップしたじゃねえか」

「やたっ! これオーガも落とすことあるんだけど、すげー稀なんだ」

「トロルを一撃か。ヒットポイント自動回復を持つ、厄介な低級巨人じゃが……」

「このくらいは任せてよ」


 ダンが鼻で笑う。


「マウ爺。理解しようとするだけムダだぜ? ユーラシアはこんなもんだ」

「言葉の端々から、あたしに対する愛情がまるで感じられないんだけど?」

「愛してるぬ!」

「よーし、ヴィルいい子!」

「ふおおおおおおおおお?」


 うんうん、よかったね。


「漫才はそこまでにして先行こうぜ」

「オーケー」


 あれ、漫才と認めてしまったか?

 細けえことはいーんだよ。

 ともかくフィールドを進む。


「何の変哲もないとゆーかじわじわとお腹が減ってくとゆーか」

「ついさっき昼飯食ったばかりじゃねえか」

「ごもっともなんだけどさ。得られるものの少なさに焦れる心象風景を詩的に表現してみました」

「腹が減るのどこが詩的なんだよ」

「じわじわとって言ってるじゃん。砂時計からこぼれ落ちる砂をイメージして欲しいの」


 胡散臭そうな顔すんな。

 今のはあたし自身も相当苦しいと思ったわ。


「マウ爺、手掛かりが全くないことはねえんだろ?」


 うむ、ダンの言いたいことはわかる。

 どうやらエリアも広いし、さすがにノーヒントでは何ともならん。

 マウ爺の返答はいかに?


「手掛かりと言えるかどうか。石碑も見てみるか?」

「ぜひ見てみたいなあ」

「何でもいいから変化が欲しいぜ」

「ちょうどこの真下、湖の畔に一つ目がある。やや遠回りになるが……」

「クララお願い」

「はい、フライ!」


 飛行魔法で急斜面の下へ。


「……つくづく冒険者適性が高いの」

「冒険者適性を褒めてもらったのは初めてだよ」

「取れる手段が多いというのは、それだけで優秀じゃ」

「でもあんたは可愛いの可憐だのって言われた方が嬉しいんだろ?」

「譲れない部分だけれども」

「譲れない部分だぬよ?」


 アハハと笑いながら石碑を見る……デカいな?


「でけえ石だな」

「同じ感想だったよ。口に出さなくてよかった。ダンと同レベルと思われてしまうところだったわ」

「言ってるのも同然だからな?」

「ハハハ。この碑文だが、何と書いてあるのか読めんのだ」


 見上げるほど大きな石に彫りつけてあるのは、昔の亜人の文字だろうか?

 ん、クララ何?


「この文字、あたし達も見たことあるって」

「何? どういうことじゃ?」

「まだあたしが『アトラスの冒険者』になって一〇日も経ってない頃だな。チュートリアルルームを除いて二つ目のクエストの転送先で。うちのアトムを仲間にしたダンジョンだったんだけど、そこの奥だよ」


 『苔むした洞窟』の読めなかった文字がこれと同じか。

 ドワーフの古い文字かと思ったけど、森と湖のエリアであるここはあんまりドワーフっぽい感じはない。

 むーん? 共通点がないと思うけどな?


「嬢の転送先のダンジョンについて、何かわかることはあるか?」

「アトムの友達の精霊が、ほとんど誰も訪れない洞窟って言ってたよ。ドワーフの研究所であったとも」

「ドワーフの研究所だ?」

「しかしドワーフの文字とも思えぬが……」


 クララもドワーフが独自の文字を持っているという記録はない、と言ってたな。

 ならば……。


「じゃーん! 大悪魔登場!」


 ナップザックからバアルの籠を取り出す。

 あたし達だけからはこれ以上話が広がりそうにない。

 ならば出し惜しみなく大悪魔の意見を拝聴しようじゃないか。


「よう、大悪魔。五日ぶりだな。無事でよかったぜ」

「どういう意味であるか?」

「ユーラシアの寝相がいいとは思えねえ。寝返り打った拍子に潰されてないか、心配してたんだぜ」

「そんなわけあるか!」

「問題ないである。主は吾が身を案じて、籠を上に吊るしてくれているである」

「やっぱり自分でも不安だったんだろうが」

「ちょっとだけだわ!」


 大笑い。

 しかしあたしの寝相からバアルを潰してしまう可能性までダンに読まれていたとは。

 相変わらずエンタメに対する嗅覚は侮れない男だわ。


「ユーラシアはいつの間にか大悪魔の主なんだな」

「まあねえ。気分はいいけれども」


 ヴィルがあたしを御主人と呼んでるので、バアルも合わせたらしい。

 気を使ってくれなくてもいいのになあ。 

 悪魔って変なの。


 マウ爺が注意深い目をバアルに向ける。


「大悪魔バアルか。ギルドでも大層話題になっておった」

「結構もの知りで役に立ってくれるんだよ」

「ハッハッハッ、吾を崇めるがよい!」


 バアルはいつも調子がいいなあ。

 マウ爺もあたしがバアルをどう扱っているか、察してくれたようだ。


「バアルに質問だよ。この碑文について、何かわかることある?」


 大きな石を上から下まで眺めやるバアル。


「……碑文の内容についてはわからぬであるが、使われているのは碧長石である。赤眼族が好んで用いる石である」

「えっ、石?」


 意外な視点だったな。

 アトムも頷いている。

 『苔むした洞窟』にあったのも同じ石?

 字と石という二つの共通点があるならば、関連性は深いはず。


「意外なことがわかったなー。赤眼族か」

「おいおい、赤眼族はあんたのクエスト対象なんだろ?」

「うーん、そうだけど」


 昔の文字の読み方が現在伝わってるかは別問題だしな?

 この石碑を残したのが、赤眼族と決まったわけでもないし。

 それこそドワーフの可能性だってあるんだから。


「今の赤眼族を見てると、魔物と戦えそーな感じはしないんだよね。こんなとこまで遠征できたってのがまず信じられない」

「先入観は持たねえ方がいいぞ? 昔持ってた技術を失うことだってあるだろ。戦える連中だけ移住先を探したってこともあるかもしれねえ」

「ダンの言う通りか。バアル、もう一つ質問だけど、ここマウさんのクエスト対象の場所なんだよ。何か困りごとっぽいことない?」

「「!」」


 意表を突かれたか、マウ爺とダンが驚いている。

 でも基本『アトラスの冒険者』のクエストは、困りごとの解決だぞ?

 古い石碑は関係ないんじゃないか?

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