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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第808話:ヴィルの役割

「御主人!」


 食堂に足を踏み入れるやいなや、ヴィルが飛びついてきた。

 ダンとマウ爺に遊んでもらっていたか。

 よしよし、いい子だね。


「腹ごしらえしてから行くんだろ?」

「うん、お腹がそうしてくださいと懇願してる。美少女精霊使いとしてはぜひとも納得させたいところだね」

「変な理屈捏ねるんじゃねえよ。あんたの腹だろ」

「御主人の腹だぬよ?」


 まあそう。

 スマートなあたしのお腹。


「嬢よ。たっぷり食うがよいぞ」

「マウさんありがとう! 愛してる!」

「しょっちゅう奢ってるのに愛されない俺」

「何だよ僻むなよー」


 あ、ヴィルがダンに撫でられに行った。


「俺の心を慰めてくれるのはヴィルだけだぜ」

「同情引こうとしてもムダだぞ? ヴィルは心地良い感情のところにしか行かないんだから」

「マゾヒスティックな俺」

「ウッソだあ!」


 大笑い。

 鶏の香草炙り焼きがおいしい。


「なあマウ爺、問題の転送先はフィールドかい? ダンジョンかい?」

「フィールドじゃな。何じゃ、興味があるのか?」

「そりゃまあ」


 ダンと顔を見合わせる。

 興味があるから行くんだぞ?

 マウ爺はあたし達が老人介護のために付き合ってやるとでも思ってるのだろーか?


「大して面白いところではないぞ」

「どんなところなんだ? 知ってることを話してくれよ」

「風向き、植生、魔物の種類から、おそらくドーラ大陸の中央からやや東寄りだとは思う。景色のいいポイントがあるな。三ヶ所で亜人の残したものらしい石碑を発見している。特徴的なのは……」


 特徴的なことがあるらしい。

 何だろう?


「何をしていいかわからん」

「「は?」」

「何をどうしたらクリアなのか、皆目見当がつかんな」


 あたしの赤眼族クエストもどうしたらクリアなのかわからんけど、とにかく彼らに食い込もうっていう目標がある。

 おそらくそれでクリアが近くなるとも思ってる。

 何をどうしたいいかわからんってのは難易度高いな。


「どうやらユーラシアのカンの出番だぜ」

「いくらあたしでも、ノーヒントはキツいんだけど」

「ふむ、ワシも嬢には期待しておるぞ」

「そお?」

「期待してるぬよ?」


 まー期待されてるなら頑張ってみるか。

 でも一体何を頑張ればいいんだ?


「魔力濃度は割合高めのエリアじゃ。素材も薬草も比較的多い」

「やたっ! アイテム採取できるのは嬉しい」

「おい、目的変わってるぞ?」

「採取だって立派な目的の一つだってばよ」

「まあ……な」


 魔境並みの魔物が出るってことは聞いていたから、魔力濃度は高いだろうなと想像はしていた。

 ならば素材も薬草も多いだろうということも。

 確定だと嬉しいなー。


 しかし何をしていいかわからんクエストとゆーのは、割と困る。

 フィールド探索だってあたしも楽しみの一つではあるよ?

 でもそもそも二〇年以上経ってるなら、クリア条件が失われてしまっててもおかしくないしな。

 『アトラスの冒険者』の石板クエストは、クリアできなくなっちゃったらどうなるんだろ?


「どうやらあんたの鋭いカンの見せどころみたいだぜ?」

「またカン? カンで物事全てが片付くわけじゃないんだから。でもうちの子達がいれば、マウさんが知り得なかった情報も得られると思うんだ」

「ほう、期待できるの。進展が見られれば、面白いこともあろうから」


 クララは植物、アトムは鉱物、ダンテは気象関係に詳しい。

 また精霊は魔力についてノーマル人より敏感だ。


「バアルも持ってきたんだ。役に立つかもしれないし」

「ナップザックの中か?」

「そう。このナップザック、『インフィニティストレージ』」って言うんだって。宝箱クエストでもらったの。ほぼ無限にものが入るから便利なんだ」

「ふむ、『アイテムボックス』の類じゃな?」

「うん。今まで魔境行くたび、ワイバーンの卵すぐ拾っちゃって探索に往生したんだよ。これからはいくらたくさん拾っても大丈夫だなーって」


 ダンが笑う。


「あんたは魔境行っても、他人と苦労するポイントが違うのな」

「一時期ワイバーンが一番要警戒の魔物だったよ」

「要警戒だったぬ!」


 アハハと笑い合う。


「では、そろそろ行くかの」

「はーい、ごちそうさまでした。おいしかったでーす」

「じゃあギルドカード出せよ」

「ん。ヴィルはダンと一緒に来なさいね」

「わかったぬ!」

「ではまいるぞ」


 フレンドで転移の玉を起動、マウ爺のホームへ飛ぶ。

 たーのしみだなー!


          ◇


「本当だ。眺めがいい」


 マウ爺の持つ最後の転送魔法陣の転送先にやって来た。

 高所から見下ろすと小さな湖が見える。

 これ新緑の頃なんかはすごく綺麗だろうな。


「水もある、木もある。ちょっと土地に高低差があるけど、魔物さえいなかったらかなり住みやすそーな気がするな」

「魔物が一番問題なんじゃねえか。魔境クラスの魔物じゃ、魔物除け使ったって効果薄いぞ?」

「まあねえ」


 ドーラは魔物がいなくて海を自由に使えればすげえいいところなのに。

 でもそーなったら土地をたくさん欲しがる人が出てきて、支配する者とされる者が生まれちゃうんだろう。

 今のドーラのいいところである共和制が消えてしまう。


「マジで『奇妙なクエスト』なのは笑ったぜ」

「確かに」

「そう言うたではないか」


 文字通り『奇妙なクエスト』という名の転送先だったのだ。

 どういうことだってばよ?


「普通、転送先名称からどんなクエストか、想像できるもんじゃねえのか?」

「うーん、奇妙なのかなあってゆー想像しかできない頼りなさ」


 笑えもしないわ。

 うちの子達もキョロキョロはしてるけど、特に意見はないみたい。


「ヴィル、この辺ってドーラの東の方なの?」

「そうだぬよ。魔境世界樹エリアから、さらに東へ行ったところだぬ」

「うん、ありがとうね」

「どういたしましてだぬ!」


 マウ爺の目がこんなに大きくなったの初めて見たな。


「ほう、ヴィルは現在位置を把握できるのじゃな?」

「できるだぬよ?」

「ふむ、嬢の役に立っているのじゃな」

「ヴィルはあっちこっちに転移できるから、他所と連絡取るのにも使われてるんだぜ?」

「知らぬことじゃったわ」

「とってもいい子なんだよ」

「とってもいい子だぬよ?」

「うむ、よしよし」


 マウ爺に頭撫で撫でされて気持ち良さそうなヴィル。

 どうやらマウ爺はヴィルを、うちのマスコットみたいなものだと思っていたらしい。

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