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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第803話:新人の悩み

 フイィィーンシュパパパッ。


「ユーちゃん、いらっしゃい」

「先輩、こんにちは」


 塔の村三人娘の絵を緑の民の村の版画屋に届けたあと、チュートリアルルームにやって来た。


「今日もボニーがいるのか。会い始めると会えるねえ。二人にお土産、コブタマンのお肉だよ」

「わあい、ありがとう!」

「ありがとう、いただきます」


 小躍りするバエちゃんと喜びを噛みしめるボニー。

 対照的だな。


「ねえボニー。あんたとバエちゃん、どっちのリアクションが見てて面白いと思う?」


 ハッとするボニー。


「……私は試されていたのか」

「芸の道は長くて厳しいぞよ」

「はい、精進いたします!」


 うむ、優秀な弟子だ。

 バエちゃんは何なのそれ? って顔してるけど。

 芸人冒険者への長く険しい道のりだよ。


「ボニーがいるってことは、クエストがどうかしたかな?」

「ボニーさん、二つ目のクエストまでクリアだって」

「早っ!」


 もうかよ。

 三日しか経ってねーぞ?

 グズグズしてた時間丸っきりムダだったじゃねーか。

 ……順調にしては難しい顔してますね?


「順調な割には重そうな眉毛だけど、どーした。目尻が下がってるぞ?」

「タレ目だからだよ!」

「今の間は良かったね。テンポを殺すくらいなら、今くらいシンプルなツッコミでいいと思うよ」

「はい。御指導ありがとうございます!」


 バエちゃんが笑う。


「ボケもツッコミもいいけど。ボニーさん、ちょっと考えちゃってるみたいなのよ」

「一つ目のクエストの時に比べてレベルが上がってるにも拘らず、二つ目苦戦したとかってこと?」

「「当たり!」」

「今聞いてた? 声が揃うとそれだけで面白いんだ。大勢いるところで総ツッコミされるような発言を投下できると、本当に爽快だよ」

「はい、勉強になります!」


 バエちゃんが笑う。


「もー何なの? ユーちゃん」

「仕方ないじゃん。ボニーが目指してるのは芸人冒険者だし」


 目指してはいないのかな?

 まあ、目的か手段かはどうでもいいとして。


「苦戦したってことは、二つ目のクエストもバトルだったんだね?」

「ああ」

「となると三つ目は多分、採取系とかになるんだっけ?」

「採取系とは限らないけど、バトルメインにはならないと思う」

「基本的にバトルって、いろんな役割の人でパーティー組んでこなすものだよ。一人でバリバリやってるのは特殊な人だけだと思って」

「……わかる。わかってきた」


 ボニーの不安は理解できる。

 あたしには最初からクララがいたけど、仲間については不安だった。

 早期にアトムダンテに出会えたのは幸運でしかない。


「だから仲間が欲しいんだけど、まあ今はムリだよ。傍から見りゃ駆け出し以前の冒険者だもん。村の人だって、相手にしてくれないでしょ?」

「ああ、遊びだと思われてしまって……」

「遊びくらいの感覚でいいんだぞ? 芸人冒険者なんだから。どういうスタンスでやってるかは、あんたの信じるレベルが応えてくれる」

「ユーちゃんの言うことは、時々格好いいわねえ」

「でしょ? メリハリが笑いを生むんだぞ?」

「はい、参考になります!」


 何かボニー面白いんだけど?


「ギルドまで来た新人は、大体仲間については同じ悩みを抱えてるんだ」

「そうなのか」


 『アトラスの冒険者』が、成人直後の者を選定すること自体が間違ってるとは思わない。

 まだ定職に就いてない者は多いし、脱落してもやり直しが利く。

 成功すりゃ長いこと活躍できるってこともある。


「だから『アトラスの冒険者』同士で共闘すればいいって最近考えてるんだ」

「共闘?」

「パーティーメンバーを募集するんじゃダメなの?」

「うーん、『アトラスの冒険者』って、成人になったばかりの若者が選ばれることが多いじゃん? 頼りにならん子リーダーにしてパーティー組みたい人って、実際のところあんまりいないんだよね」

「あっ、そうね!」


 ソル君もあたしがアンセリを引き合わせなきゃ、今ほど成長早くなかったぞ?

 『アトラスの冒険者』の問題点の一つではある。

 しかし石板クエストを配されて、早くクリアしなきゃと思うから焦るだけとも言えるんだよな。

 あたしには馴染まないけど、ゆっくり経験を積めって考え方でもいいのかもしれない。


「初っ端で落伍することに比べりゃ些細な話だけどさ。運営側が冒険者育てて高価格アイテムの取り引き、高難易度の依頼手数料を増やして儲けたいと思うんだったら、無視できないと思うよ」

「わかった。上司に相談してみるね。……ちなみにユーちゃんはどうしたらいいと思う?」

「ギルドの人員は、予算の関係で増やせないんだったよね? じゃあバエちゃんの仕事だな」

「……えっ?」


 ビビんなよ。


「いや、大したことない。一つ前とか一つ後ろの先輩後輩を紹介するだけでいいよ。『アトラスの冒険者』以外のパーティーメンバー候補は、ギルド行かなきゃわかんないんだもん。とにかく新人は持ってる情報量が少ないから、多くしてやることを考えててよ」

「わかったわ」

「で、ボニーの場合だけど」

「ああ」

「とにかくギルドまでおいで。似た感じで苦労してる、一つ二つ前の先輩冒険者が三人いるんだ。まだ三人ともレベル一〇いってないと思う。その中に一人支援スキルを得意とする子がいるから、前衛メンバーが増えると格段に有利なんだよ。ボニーも仲間に入れてもらう手がある」

「は、はい」


 安心したか?

 来月頭にも選定されるという後輩と組む手もあるしな。


「うまくギルドに来てる冒険者と気が合って、固定パーティー組めりゃ一番いいけど、自分のレベルを上げとくに越したことはない。共闘は有効な手段だよ」

「ユーちゃんがレベリングしてあげることはできないの?」

「できるけど、あたしが手を貸すのは最終手段だろ。ボニーはギルドまでは問題なく行けると思うし、やっぱ自分で考えて苦労することが一番力になるんだよね。でもマジでどうにもなんなきゃ手伝ってあげるから、その時は相談しなさい」

「はい、わかりました」


 ボニーは『はい』と『ああ』をどういう基準で使い分けてるんだろうな?

 あたしがえらそーなことを言った時は『はい』の気がする。


「さて、帰ろうかな」

「ああ、私も帰る」

「バエちゃん、ボニー、バイバーイ」

「ではまた」

「また来てね」


 あたしとボニーが同時に転移の玉を起動する。

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