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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第801話:死んじゃうぬ!

 苦笑いを浮かべてマウ爺が言う。


「たまに手伝ってやることはできる。が……」

「ハハッ、マウ爺は神経痛持ちだぜ。そう年寄りを働かせるなよ」

「うーん、ノブ君に引っ張り回されると、マウさん死んじゃうなあ」

「死んじゃうぬ!」


 爆笑。


「結局ユーラシアが面倒をみるのか?」

「しかし、嬢が甘やかすとためにならんじゃろ」


 確かに。

 帝国との戦争前は信頼できる高レベル者の数が欲しかったから、積極的にレベリングを行ったとゆーことはある。

 でも今はもう、そうした必要性がないからな。

 地道に力をつけていった方が自分のためになると思う。


「本来『アトラスの冒険者』ってのは、ギルドに来る前に修行させて、ギルドへ来たらパーティーを組んでことに当たれってやり方だと思うんだ」

「初心者に厳し過ぎるだろ」

「ギルドに来る前に篩にかけるという意味があるのじゃろう」


 あ、マウ爺はギルド以前で選別しているという考え方だったのか。

 実際は新人がギルドに来る前に落伍すると、チュートリアルルーム職員の給料に関わるんだよ。


「でも一〇歳の子がギルドまで辿り着いたって、パーティーメンバーになりたがる冒険者はいないじゃん?」

「年若の『アトラスの冒険者』共通の悩みであろうの。一〇歳は極端じゃろうが」

「ツインズはどうかと思って」

「「ツインズ?」」


 ノブ君一人という状況がキツいのだ。

 あんちゃんと二人なら、多分ノブ君はどんどんクエストをこなしていけるだろう。

 でもあんちゃんは怠けもんだから、当てになんないしなー。

 ソロでガンガン高みに駆け上がれるのは、シバさんやデミアンみたいな特別な固有能力ないしスキルを持つ者だけだ。


「いい子ちゃんか。なるほどな」

「どんなやつじゃ?」

「兄妹の双子で、兄の方が『アトラスの冒険者』なの。先月に『アトラスの冒険者』になったばかり。兄が『魔力操作』の固有能力持ちの前衛、妹が『アシスタント』の固有能力持ちの後衛だよ」

「ふむ、そちらも火力が足りんの」

「依頼所クエストを漁ってるみたいなこと聞いたんだ。やっぱ仲間を得られなくて苦労してるのかなーと思って」


 ツインズとノブ君を組ませれば双方のメリットになる。

 ツインズ妹がどんなスキル覚えてるかは知らんけど、支援職だから前衛多いほど存在感が増すことは間違いない。


「お、ちょうどツインズが来たぜ」

「やたっ! おーい、ツインズ!」


 嬉しそうにこちらにやってくるツインズ。


「「ユーラシアさん、ダンさんこんにちは」」

「こちら現役最年長のマウさん。で、こっちが最年少のノブ君だよ。よろしくね」

「よろしく!」

「「よろしくお願いします」」

「ふむ、よろしくな」


 最年長と最年少で好奇心が刺激されている様子のツインズ。

 掴みは上々だ。


「で、ツインズに聞きたかったんだよ。石板クエストの進捗はどう?」

「やっぱり難しいです」

「ええ。ですから依頼所のクエストをこなして、少しずつでも前進しようかと」

「堅実だな。いい子ちゃんの答えだ」


 だからダンよ、皮肉るなよ。

 ツインズだって頑張ってるんだから。

 マウ爺も少しずつでいいという考え方が根本にあるようだが、せっかちなあたしは結果を求めてしまうのだ。


「そこで提案でーす。ノブ君と共闘してはどう?」

「「共闘?」」


 ツインズが顔を見合わせる。


「願ってもないことです」

「私達、なかなか誘えなくて……」

「嬉しい! よろしく!」


 おおう、ノブ君の決断は早い。


「ノブ君はパラメーター的には高め安定の万能型だけど、固有能力や性格は前衛向きだよ。相性いいと思う」

「妹御の持ちスキルは何じゃな?」


 あたしも知りたいな。


「一人の攻撃力と防御力を大きく上げる『ブースター』と、味方全体の攻撃力と魔法力を少し上げる『戦神の鼓舞』です。『戦神の鼓舞』はノーコストです」

「『戦神の鼓舞』の効果はレベル依存のはずじゃ」


 うむ、いいスキルじゃないか。

 やはり前衛の人数を多くして『戦神の鼓舞』してタコ殴りするのがいいだろう。


「ユーラシア、パーティーは四人が基本だろ。他にも心当たりはあるのか?」

「ノブ君のあんちゃんがやっぱり前衛だから、参加してくれればよりベターだね。まだギルドまで来てない今月の新人、ボニーっていう子がいる。前衛のスピードアタッカーだよ」

「ハハッ、五人になっちまうな」

「『アトラスの冒険者』が複数いるんだから、転移の玉の制限は考えなくてもいいでしょ。人数はもっと多くてもいいんじゃないの?」

「では三人とも。クエストに励むがよい」

「うん!」「「はい!」」


 未来への展望が開けると目の前が明るくなるもんだ。


「まずお試しでお互いのクエストをクリアしあってみるといいよ」

「得た素材やアイテムの分配については先に決めとけよ。持ちクエスト側がもらうって条件でいいんじゃねえか?」

「そうだねえ」


 経験値だけでも得だもんな。

 あ、三人がもう仲良くなったみたい。

 利害が一致するからだろう。


「ありがとう! おいら達は行く!」

「「ありがとうございました。失礼します」」

「じゃねー」

「おう、ケガすんなよ」

「ムリはするでないぞ」

「バイバイだぬ!」


 三人が手を振って去っていく。


「あんた得意のレベリングは封印か?」

「とゆーわけでもないけど、このケースは必要ないでしょ。もー戦争があるわけじゃないから、レベルが上がってて欲しいわけでもないし」


 マウ爺とダンが頷く。

 自分の力で成長するのが一番っすよ。


「嬢は今、どんなクエストにかかっているのじゃ?」

「赤眼族っていう亜人の集落関係なの」

「ほう。赤眼族は他種族を排斥するという話ではなかったか?」

「あんたの得意分野だろ」

「うーん……」


 ダンよ、意外そうな顔だね。


「難しいのか?」

「どうしたらクエスト完了なのかわかんないんだよね。昨日今日で大分仲良くはなったから、時々遊びに行こうと思ってる」

「長期戦か」

「長期になるのかなあ? あ、そうだマウさん。今までの話とは別だけど、ちょっとおかしな『地図の石板』手に入れたんだ」

「どんなものじゃ?」

「転送魔法陣は普通に設置されたの。でも上に乗ると、『この転送魔法陣を使う資格を満たしておりません』ってアナウンスがあって使えない」

「……聞いたことがないの」


 やはりマウ爺でも聞いたことがないやつか。

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