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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第794話:『焼け野原』の少年

 フイィィーンシュパパパッ。

 『焼け野原』の転送先にやって来た。


「やっぱりこの部屋の中に転送されるんだな」


 見慣れたザクザク宝箱クエストの部屋。

 もっとも今は宝箱がないのでガランとしている。

 斜め縞の床がそこはかとなく物悲しさを感じさせる。


「お宝がないと、こんなに寂しい部屋なんだな。ま、いいや。ガンガンする人!」

「「「はい!」」」

「グオングオングオングオングオングオーン!」×四。


 いいねえ、バアルを捕まえて以来ここにも来てなかったから、余計にジーンと来る。

 この銅鑼は素晴らしいな。

 うちの子達も全員気に入ってるから、絶対世界中で歓迎されると思う。

 でも考えてみりゃあっちこっちでガンガン鳴ってる有様は、想像するだけでやかましくてかなわんとゆージレンマ。


「満足だー。さて、どっかがカラクリ扉になってるんだっけ?」

「ボス、あそこの材質が違うね。メイビー、ドアね」

「どれどれ?」


 本当だ、近寄ってると何だか雰囲気違う。

 ダンテは目がいいな。

 どんなカラクリなのかなっと。


「あ、押すと動くわ」


 単純な仕組みだった。

 取っ手がないだけのドアだ。

 中からも外からも押して開けられて、放っとくと戻って閉まるみたい。


「よーし、外行くよ!」

「「「了解!」」」


 外は、焼け野原というか焦げ野原というか。

 冬だけど新しい草も生えてるな。

 とすると燃えてからかなりの日数は経っていると思われる。


「随分と広い面積が燃えてやすぜ」

「火事でしょうか? 二ヶ月前くらいだと思われます」


 クララが植物の生育具合から火事の日を推定する。

 ふむ?


「この辺が燃えたのは二ヶ月前としようか。これから探索していくけど、焼け跡の燃え加減については注意しててね」

「「「?」」」


 意味が分からなかったか、うちの子達が説明を求める。


「過去に火事があっただけなのか、これからも火が出るのかわからないってことだよ。『焼野原』って転送先名じゃ何とも判断できない」

「ワッツ?」

「例えば定期的に火が出るフィールドかもしれないじゃん」

「「「!」」」


 いやビックリしてるけど、あたし達のレベルと実績で振られるクエストだからね?

 どんなんが来るかわかんないぞ?


「火を噴いたり、火の魔法使ってきたりする魔物がいるかもしれねえ」

「アトムいいね。可能性は考えておこう」


 そんなのがこんな普通の草原っぽいところにいるとは思えないけどね。

 可能性としては押さえておかないと。


「とりあえず周辺の探索からだね。『遊歩』装備していつでも飛べるようにはしといて。本当にヤバそうなら転移の玉で撤退するから、固まって行動しよう」

「「「了解!」」」


 しかし、一様に焼けてる感じだな?

 おそらく燃えたのは一回のみ。

 であるならば……。


「あそこの丘になってるとこ、一番高いかな。登って見下ろそうか」

「そうですね。危険もなさそうです」


 本当に火に追われるなら高いところに行くのは愚策だ。

 ま、あたし達は飛ぶのでも転移でも逃げられるからな。

 丘から見渡して広い範囲の情報を得るのがいいだろう。


「ボス、コロニーね」

「ほんとだ」


 ダンテの指差す方向に集落が見える。


「行ってみやすか?」

「一つの目的地ではあるね。でもあとでいいよ。状況把握が先だな」


 集落も火の被害を受けているのだろうが、建物は新しい。

 生存者がいて復興の途中であることは間違いない。


「さて、この辺がてっぺんかな?」

「どうやら集落が焼け野原の中心のようですねえ」

「じゃあ失火による火事か」


 当たり前だが集落は水場に隣接している。

 全体として丸い、規模からして五〇〇人以下の集落だと思う。

 整然と建物が並んでいる。

 水場近くに耕作地があり、高度な社会性と計画性を感じさせる。


「テラワロスの言っていたアカメゾクのコロニーかもしれないね」

「そーだね」

「火事の時期的にも合いそうです」

「火事はヤバいなー」


 他人事じゃないわ。

 ドーラは結構晴れの日が多い乾燥気味の気候なので、火事はマジで怖い。

 灰の民の村では建物の間隔を空けることが徹底されているけど、ぶっちゃけやれることはそれだけなのだ。

 一軒燃えちゃうのは仕方がないって考え方。

 いずれ火事対策はどーにかせにゃならん。

 

「行ってみやしょうぜ」

「アトムはせっかちだなー。大体わかったから、続きは明日以降のお楽しみでもいいんだぞ?」

「でも姐御は行くんでやしょう?」

「行くけれども」


 笑いながら集落へ。

 ん? 誰か来たぞ。

 物騒だなー、槍持ってる。


「こんにちはー」

「お前らは誰だ!」


 痩せた少年だ。

 瞳が赤い。

 赤眼族か?

 目の様子もそうだが、顔立ちもどことなくエルやバエちゃんの傾向だな。


「あたしは人間でうちの子達は精霊だよ。君の目は赤くて綺麗だねえ」

「外の人間か! 中に入るな!」

「入るなって言われれば入んないけど、何か困ってることがあるでしょ?」

「何故だ!」


 一方的に言いたいことだけ言って、目の色についてはスルーか。

 対応としては正しい。

 なかなかやるな。

 『アトラスの冒険者』について簡単に説明する。


「……というわけで、あたし達は困りごとがあるところに派遣されるんだけど」

「『アトラスの冒険者』? 聞いたことがある。敵だ!」


 赤眼族クエストは高レベル者にしか分配されないと思われるのに、こんな少年が『アトラスの冒険者』を知っていて、しかも敵認定してくる。

 向こうさんの事情はわからんが、展開としては割とあたし好みだなあ。


「よし、あたし達は敵だぞ!」

「やはりそうか!」

「「「!」」」


 うちの子達はビックリしてるけど、瞬時にまた始まったぞーって顔になる。

 理解が早くて大変よろしい。


「敵だから戦わなくちゃならないぞ!」

「おう!」

「そっちがあんた一人だからこっちも一人、あたしだけで戦う。これで卑怯って言わせないぞ。いいね?」

「おう!」

「勝ったら戦利品を獲得しなきゃならん。戦いの理由でありメリットであり、決まりみたいなもんだ。でもお互いに大したもの持ってないみたいだから、負けた方は勝った方の言うことを聞くことにしよう。いいかな?」

「おう!」

「じゃ、あんたが勝った時の要求を言いなさい」

「村から出て行け!」

「よしわかった。あたしが勝ったら質問に答えなさい。いいね?」

「おう!」


 よーし、これでかなりの状況がわかってくるぞー。

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