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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第790話:『光る石』スタンドの人気

 やや時間が早いが、皆でお昼を食べる。


「なるほど。塔の村の魚フライはこんな具合に進化したか」


 つい先ほどまでイシュトバーンさんが絵を描いてたせいもあるのだろう。

 塔に入っていない冒険者達で食堂が満員だったので、料理を持って先ほどの正門外の草原まで来た。


「酸味が利いてて美味いな」

「うん。この酸っぱいのは何?」


 レイカとジンが言う。


「塔の村近辺の山に自生している柑橘類だ。酸味がきつくて実が小さいので、これまで利用されていなかったらしい」

「魔物も出ますしね。わざわざ取りに行くほどのものでもなかったんです」

「そんなもんをどーして使おうって話になったの?」

「ボクの国には、揚げ物に柑橘という食べ方があるんだ」

「エルの知恵だったか」


 今まで利用されてなかったものに価値を見出すのはいいな。

 同じ魚フライでも、レイノスのまよねえずと十分住み分けができる。


「ユーラシアは午後、どうするのだ?」

「レイカの故郷の赤の民の村ってとこ行くんだよ」

「えっ? 何の用で?」


 レイカが意外そうだ。


「手に持たなくても使える『光る石』のスタンドの試作品作ってもらっててさ。今日でき上がる予定なんだ」

「「「「「「「詳しく!」」」」」」」


 おおう、無口なハオラン含めて総ツッコミだぞ?


「詳しくといっても文字通りなんだけど?」

「あんたのやってることだ。単純にマジックウォーター流し込むってんじゃないんだろう?」

「魔力を溜めておける材料でスタンドを作って、余ってる自分の魔力を流し込めばよくない? って発想なんだけど」

「理屈はわかりますけれども、魔力を溜めておける材料が簡単に手に入りますか?」


 イシュトバーンさんも黒服も興味あるのか?


「転移石碑に使われる黒妖石って硬い石があるんだ。あれは魔力を溜めておける特性があるの」

「そりゃオレも知ってるが、入手できたとしても加工に手間がかかっちまうだろ。赤の民にメチャクチャ硬え黒妖石を加工できるとは思えねえ」

「小石を利用するんだ」

「「「「「「「小石?」」」」」」」

「黒妖石の小石を集めて固めても魔力を溜められるんだって。容量は小さくなっちゃうけど」

「ほお?」


 皆感心してるけど?


「うちのクララが夜に本読むのに欲しいらしいから、作ろうと思って」

「我も欲しい!」

「オレだって欲しいぜ」

「ボクも!」

「皆欲しがるんだよね。どーしてかな? 夜は寝ればよくない?」


 まったく謎だ。


「寝られない夜だってあるだろう。私はそういう時スクワットしているが、『光る石』を握り潰さないかヒヤヒヤするんだ」

「おお、やっぱり親子だな。カグツチさんも同じこと言ってたぞ」

「夜を有意義に使えますよ」

「食べること寝ること以上に有意義な時間の使い方ってなくない?」


 イシュトバーンさんが言う。


「売ればいいじゃねえか」

「いや、さすがに売るほど黒妖石集めようと思うと大変だよ」

「ユーラシアはたくさん持ってるような口ぶりではないか。どうしてなのだ?」

「魔境でちょこちょこ拾い集めてるってのもあるけど、これスライムが嫌う石なんだって。以前スライム関係のクエストこなした時に、ごそっともらったの」


 エルが疑問に思ったようだ。


「おかしいじゃないか。自分に使い道がなくて他人が欲しがるなら、それこそ作っただけ販売すればよさそうなものだ」

「この知識が帝国に流出して、魔道兵器に転用されたら困るだろうが」

「「「「「「「!」」」」」」」


 うちの子達以外の全員が愕然とする。


「……皇女殿下、セバスチャンさんよ、帝国には魔力を溜めとく技術はないのかい?」

「……どうでしょう? 聞いたことはありませんね」

「空飛ぶ軍艦は魔力を作り出す炉を積んでたんだよ。魔法攻撃に対する結界を張るためだと思うけど」

「魔力炉がどうしたのだ?」

「おかしくない?」

「何が?」


 リリーは不審に思わないか。


「魔力炉なんていかにもコントロール失ったら暴走しそうなもんより、石に魔力溜めたものを積んで飛ぶ方が安全じゃん。だから帝国には魔力を溜めとく大容量の装置がないのかなと思ったんだ」

「確かにな」

「いずれ知識が流出するのは仕方ないけどさ。早める必要はないと思う」


 イシュトバーンさんが笑う。


「あんたは意外と先々のことを考えてるよな」

「ある方の精霊使いは、先々のことを考えてるのだー」

「誰がない方だ、うがー!」

「ほらほら、エルもあるぞー」


 絵を見せたら落ち着くかな?

 あ、沈静化した。

 素晴らしい。


「ということは、ユーラシア様はこの技術をどう使おうとお考えで?」

「ドーラで使うならいいかなと思ってるんだ。これさっきデス爺にもらった設計図なんだけど」

「何の?」

「塩を作る装置の基幹部分」

「「「「「「塩?」」」」」」


 イシュトバーンさんは知ってたっけな。


「海水から塩を作るとき、水運ぶのが大変じゃん? 転移術で海水を移動させて楽しようって考えだよ。人間を転移させるんだと安全第一だから、硬い純粋な黒妖石じゃないと危ないけど、海水なら小石を固めたやつでいいらしいの」

「でも間に合わねえだろ」


 無論、移民増加の需要に応えることがだ。


「ムリだねえ。即座に製塩始めるだけの組織的な労働力が足んない。でも塩の価格なんか上がるとすんごい困るから、海の王国に事情話して、当面融通してもらおうかと思ってる」

「ほう。やるじゃねえか。でもあんまり安い塩が入っちまうと、製塩事業の意味がなくなるぞ?」

「あ、そーだね。価格は打ち合わせしとくよ」


 塩は食の基本だからなー。

 ずっと海の王国に頼りっきりというわけにはいかない。


「ユーラシアはすごいな」

「あたしは褒めれば褒めるほど伸びる子だ! 褒めてくれたからってわけじゃないけど、これあげる」


 宝箱クエストで手に入れたメリケンサックをリリーに渡す。


「会心率上がって低確率で即死付与だって」

「ほう、素晴らしい武器ではないか。よいのか?」

「いいよ。リリーが一番有効に使ってくれそうだから」

「うむ、感謝する」

「『光る石』スタンドは完成したら、皆にあげるよ。期待して待つのだ!」


 喜んでくれてよかった。


「ごちそうさま。じゃ、あたし達帰るね」

「また来い」

「調子に乗らず帰るのだぞ」

「父によろしく」


 転移の玉で行き来し、うちの子達とイシュトバーンさんを連れ帰る。

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