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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第787話:イシュトバーンの論理展開

 ――――――――――一五二日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「おう、塔の村は暖かいじゃねえか」

「暖かいねえ。この季節にしては」

「どうせ観客も湧いて熱いくらいになるからよ。少々モデルが薄着でも構わないんじゃねえか?」

「そーゆー論理展開だったか。あたしとしたことが読めなかったわ。油断してた」


 アハハと笑い合う。

 イシュトバーンさんを連れて塔の村に来た。

 エルレイカリリーの三人の絵を描かせてもらう予定だ。

 陽が当たり風もなくて、ややもすると眠くなりそうな日だなー。

 昨日の夜曇ってたからか?


「「ユーラシア!」」

「おはよー。やっぱリリーはまだ起きてないか」


 エルとレイカが苦笑する。


「予定通りだ。あとで起こせばいいな」

「寝起きの皇女ってのもそそられるじゃねえか」

「イシュトバーンさん、何でもそそられることない?」

「いい女ならな」


 掛け合いってのは意外性があってもいいけど、想定通りの答えが返ってきても安心感があるもんだ。

 レイカが何かに気付いたように言う。


「ん? ユーラシア、膨れたか?」

「ばいんばいーん!」

「何がばいんばいーんだ!」

「もーエルはやたらと噛みつくなよ。コケシが舌なめずりしてるぞ?」


 首筋辺りがうそ寒く感じたか、コケシの方を振り返るエル。

 コケシはエル様の味方ですって顔してるが、顔だけだ。

 同じパーティーのチャグとちょんまげすら全然信じてる雰囲気じゃない。


「昨日レベル戻してきたんだ。だから膨れたように感じるんじゃないかな」

「何が膨れるんだ!」

「お腹。レベル上がるとお腹減るからたくさん食べるんだよね」

「そ、そうだったか」


 コケシがメッチャ不満そうな顔をしているけど、露骨にエルの無乳に触れようとすんな。

 今日は鎮静剤ヴィルを連れてきてないし。

 モデルには最高のコンディションで描かれて欲しいのだ。

 察しろ。

 

「随分簡単にレベルを上げてくるんだな。まあユーラシアならそういうものなんだろう」

「皆あたしの扱いが雑だなー。ところでイシュトバーンさん、どこで描く?」

「塔の入り口で描くとすると、早めの方がいいか?」

「そーだね」


 昼近くから塔に入る冒険者が多いみたいだからな。

 邪魔にならないようにとすると、今の内の方がいいだろう。


「じゃあ、レイカから描かせてくれ」

「はい、お願いします」


 塔の近くに移動。


「こういうポーズかー」


 入り口左に立ち、後ろ姿で左から振り向いている。

 腰がきゅっとなるので、おっぱいもお尻も強調されている。

 イシュトバーンさんの大好きそうなむっちむちだぞ。


「レイカってお尻のボリュームもあったんだな」

「何と『も』なんだ?」

「もーエルは言わせようとしてるだろ」


 どーしてこいつはツッコミウェルカムなんだ?

 でもヴィル呼ぶとあたしも気が緩んじゃうし。

 最高に売れる画集のモデルなんだから、バッチリの状態で描かれることを考えておくれよ。

 今日は商売人モードが勝っているあたし。


「あたし達はコルム兄の様子見てくるね」

「わかった」


 うちの子達を連れて路地を行く。


「こんにちはー」

「やあ、ユーラシアじゃないか」

「ユーラシアさん、いらっしゃい」


 パワーカード職人のコルム兄と、弟子のタッカー君だ。


「今日はどうしたんだい?」

「三人娘の絵を描いてもらいに来たんだよ」

「絵?」

「聞いてなかったか。こんなんだよ」


 イシュトバーンさんの描いたニルエ、アリス、おっぱいさんの絵を見せる。


「「へえ!」」


 ハハッ、食いついてやがる。

 男の子め。


「モデル二〇人を描いてもらってさ。画集にして売るの。帝国にも輸出する予定なんだ」

「もちろんドーラでも売るんだな?」

「うん、六〇ゴールドで売る」

「「六〇ゴールド?」」


 驚く二人。


「えらく安いじゃないか。間違いじゃないんだな?」

「あ、ごめん。レイノスでは六〇ゴールドってこと。塔の村まで運ぶと輸送費がかかるな。もうちょっと高くなっちゃうと思う」


 あたしが転移でカラーズから運べば輸送コストなんかかからんのだが、流通も発達してもらいたいから。


「いや、でも安いですよ。革命的です」

「今、カラーズの物産を売っていこうって感じになってるの。これは緑の民の作る紙と版画の技術なんだ」

「ふうん、すごいじゃないか」

「各村が協力して輸送隊を組織してさ、間に商人さん入れてレイノスと交易が進んでいるんだよ」

「オレが村を出た頃には考えられないことだなあ」


 コルム兄が感慨深げだ。


「画集の宣伝はいいとして、塔の村では最近面白いことあった?」

「ユーラシアが面白いことって言うと、ハードルが高いんだが?」

「じゃハードルを下げても潜ってもいいから」

「駄々っ子みたいなせがみ方だな」


 苦笑する二人。


「ヒカリとスネルの探査によると、どうやらこの塔のダンジョンには地下もあるようなんだ」

「へー、地下か」


 ヒカリとスネルは元々灰の民の村にいた精霊で、それぞれの得意技を生かし、コンビで塔のダンジョンの先行調査を担当している。


「地下は魔物が強かったりするのかな?」

「まだわからないね。空間が入り組んでるらしくて調査が捗らないんだと」


 わかる。

 この塔上階に行くと階段消えたりして変だもんな。

 地階はもっとややこしいのかも。


「最上階のイベントをこなすと、地下ダンジョンが解放されるってことらしいけど」

「なるほど面白い」

「ユーラシアさんはチャレンジしてみる気はないんですか?」

「塔のダンジョンに? いやー、ここをホームにしてる冒険者の仕事だろうから」


 他所者がしゃしゃり出ては気分が悪いでしょ。


「もし困ったら呼んでよ。大威張りで乗り込めるからね」

「君は随分気を使える子になったんだな」

「あたしは昔から気遣いの精霊使いって呼ばれているよ」

「オレが知ってる昔の君って、おしめ着けてる頃だから」

「それはダウトだー!」


 アハハと笑い合う。


「注文請けてる『ウォームプレート』だが、来月の一〇日までには一〇〇枚納品できるがどうする?」

「一〇〇枚完納になる? ありがたいなー。えーと、いくらだっけ?」

「手付けに三万ゴールドもらってるから、残り一二万ゴールドだな」

「わかった、来月一〇~一二日の間に、カードの受け取りと支払いに来るよ」


 よしよし、ちょっとは輸出の足しになるぞ。


「じゃ、またねー」


 パワーカード屋を去る。

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