第783話:『限突一五〇』の固有能力
「さて、もうしばらくはデカダンサーで」
「「「了解?」」」
デカダンスを狩る者の栄えある称号だよ。
クエスチョン面すんな。
それとも『真経験値君虐殺者』の方がいい?
しばらくデカダンスを中心に狩りまくり、レベルは五〇を超えた。
オーケー順調だね。
「一度試しにウィッカーマンと戦ってみようか?」
「いってみやしょう」
「どうします? アトムは『三光輪』の代わりに『キントーン』を装備させますか?」
クララの提案の意味はわかる。
『キントーン』は火・氷・雷の三種の属性攻撃を無効、つまりウィッカーマンの強力な攻撃魔法『メドローア』を無効化できるからだ。
「やめとこう。攻撃順が入れ替わっちゃうかもしれないし」
『キントーン』は一方で敏捷性が一五%も上がってしまう。
いや上がって悪いことはないのだが、あたしの攻撃をアトムが『コピー』できなくなるとウィッカーマンを倒せない。
あたしが『キントーン』を装備すると、今度はダンテと攻撃順入れ替わりそうだしな。
いいパワーカードなんだけど、今のあたし達では使いづらい。
「では通常の対ウィッカーマン用カード編成で?」
「うん。行ってみようか!」
「「「了解!」」」
一体のウィッカーマンに狙いを定め、レッツファイッ!
ウィッカーマンのメドローア連発! 両方ともアトムが受ける。よし、耐えた! クララの勇者の旋律! ダンテの実りある経験! あたしのハヤブサ斬り・零式! 両方クリティカル! 『あやかし鏡』の効果でもう一度ハヤブサ斬り・零式! 両方クリティカル! アトムのコピー! あたしの攻撃を繰り返す。ハヤブサ斬り・零式! 両方クリティカル! もう一度ハヤブサ斬り・零式! 両方クリティカル! ウィッカーマンは悲鳴を上げて倒れる!
「やたっ! レベルリセット後のウィッカーマン戦初勝利だ!」
ドロップの羽仙泡珠と黄金皇珠があたし達を祝福してくれているようだよ。
ぽこぽこレベルも上がってるし。
「よーし、デカダンス戦でマジックポイントを自動回復させながら、ウィッカーマン戦でレベルカンストさせます!」
「「「了解!」」」
こうなるとレベルカンストロードは見えたも同然だ。
ゴールを目指せ!
◇
「ただいまー」
「お帰りなさいませ」
散々レベル上げしたあと、クレソンを摘んでベースキャンプに戻ってきた。
「首尾はいかがでした?」
「ありがとう。無事レベルカンストできました!」
「おめでとうございます!」
オニオンさんが祝福してくれる。
「やーまさかパワーレベリングの技術を自分に使える時代が来るとは。まさに人生色々」
「今後はどうされるんです?」
「最近毎日行ってた宝箱クエストが一区切りついたんだ。新しい展開がありそう」
「その宝箱クエストが例の?」
「誰かに聞いた? 悪魔バアルの仕掛けだった」
バアル家に置いて来ちゃったな。
まあ戦闘の場にはさすがに持ってこられない。
今日は特に最初レベル低かったから、あんまり余裕がなかったし。
「バアルが主催者で、毎日宝箱クジ引いてたの。結構なお宝をもらえるから儲かる儲かる」
「バアルはどうしてユーラシアさんに宝物を提供したんです?」
「……そーいえば何でお宝をくれたのかは聞いてなかったな」
お宝もらうことは大事だったけど、理由はどうでもよかったわ。
まー罠にかけようとしてたんだろうな。
「レベルを犠牲にって、相当覚悟が必要だったでしょう」
「バアルは『抑圧者』って固有能力持ちで、こっちのマジックポイントを使うスキルを禁止してくるの。ただ有効範囲があることに気付いたから、遠くから最強魔法で吹き飛ばす手もあったんだけどね。話してて面白い子だったから、吹き飛ばすのもったいなくなっちゃった」
「ははあ?」
「ちょうど戦争前にペペさんから買った『ロック&デス』ってオリジナルの魔法があってさ。パーティーのレベル全てをコストにしてとっ捕まえるって効果ね。無事バアルをゲットしました」
「ユーラシアさんのパーティーが簡単にレベルアップできることは知っていますが、割に合わないんじゃないかと思いますがねえ」
実際に会ってないと、バアルの価値はわかりにくいかもな。
「今度の魔境バカンスでバアルも持ってくるよ」
「興味ありますねえ。ぜひ、お願いします」
ぜひお願いされちゃったぞ?
オニオンさんも物好きだなあ。
「じゃ、オニオンさんさよなら」
「またお出でください」
転移の玉を起動し帰宅する。
◇
フイィィーンシュパパパッ。
「ユーちゃん、いらっしゃい!」
「あっ?」
うちの子達に魔境クレソンをサイナスさんのところに置いてくるよう頼み、あたしはチュートリアルルームにやって来た。
新人冒険者ボニーと再会の約束があったから。
「そ、そんな……」
ボニーも約束通り来ている。
ハハッ、あたしのレベルを見て驚いてるぞ?
「レベルが一〇一?」
「えっ? レベル一〇一?」
ボニーが癇癪を起こす。
「ウソだっ! レベルは九九までのはずだ! 何かのトリックに違いない!」
「ユーちゃん、どういうこと?」
「いや、あたしも何が何だか。あ……」
マルーさんが言ってたのはこれか。
つまりレベル上限を撤廃する固有能力?
確かに普通は意味のない死に能力だろうが、簡単にレベルアップできるあたしには極めて有益だ。
「バエちゃん、フルステータスパネル起動してくれる?」
「え? ええ、わかったわ」
大きく青っぽいパネルのスイッチが入れられる。
手を当てると文字がたくさん浮かんできた。
「本当だレベル一〇一。ギルドカードじゃ九九までしか表示されないからわかんなかったよ。ボニーの能力は正確だなー」
「私のことはどうでもいい。レベル一〇一ってどういうことだ!」
「固有能力の欄見てみなよ」
「固有能力? ええと、『自然抵抗』『精霊使い』『発気術』『閃き』『ゴールデンラッキー』『限突一五〇』? まさか六つも……」
「名前からして最後のやつだな。バエちゃん、『限突一五〇』の固有能力説明してやってよ」
バエちゃんも呆然としてるけど。
あたしも正確なとこ知っときたいわ。
「え、ええ。レベルの上限値が一五〇になる、という固有能力よ」
「!」
驚愕するボニー。
あれ、待てよ?
レベルが一〇〇を超えるということは、レベル九九カンストしてるような魔物にも『雑魚は往ね』が効くということでは?




