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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第775話:また増えた固有能力

「こんにちはー」

「ユーラシアさん、いらっしゃい」

「おやおや、アンタかい」


 カトマスのマルーさん家にやって来た。


「お土産。冷凍コブタ肉と、今日は骨も持ってきたよ」

「ありがとうよ。ん? アンタどうしたんだい?」

「えっ? いつもに輪をかけて美少女だって?」

「そんなことは言ってないんだよ!」


 アハハ。

 まーわかってるけど、お約束とゆーやつは心の潤いだから。


「レベルのことでしょ? この子を捕まえるのに、パーティー全員の全レベルをコストにする魔法使ったんだよ」

「聞いたこともないような、ひどいコストの魔法だねい」

「ペペさんの作った魔法なんだけど」


 マルーさんが酸っぱいものを噛んだような顔になる。

 ペペさん家にはマルーさんが協力して設置されたという、回復の石碑があった。

 ペペさんにはメッチャ期待してて先行投資したんだろうけどなあ。

 アーチストでロマンチストでドリーマーな人は、思い通りに動いてくれないっすよ。


「いや、下がったレベルのことも気になるけれども」

「可憐さはもっと気になるの?」

「違うよ! アンタ、固有能力が増えてるよ。二つも」

「え?」


 何じゃとて?

 やっぱ『ロック&デス』でレベル一に戻されるなんて笑劇もとい衝撃的な経験は、固有能力発現の引き金になったか?


「ふーん、経験は力になるものなんだなあ、と格好いいことを言ってみたつもり」

「普通固有能力は簡単に増えたり減ったりしないものなんだよ。アンタの様子を知ってると常識が信じられなくなるねい」


 かもしれない。

 つまりあたしを褒め称えろってことだな。


「どーゆー固有能力が増えてるの?」

「一つは『ゴールデンラッキー』だね」

「ああ、元に戻ったんだ」


 マルーさんも比較的簡単な条件で復活するって言ってたしな。

 さして意外ではない。


「もう一つは面白いねい」

「エンタメ?」


 マルーさんが興味深げな視線を向けてくる。


「死に能力ってやつがあるんだ」

「死に能力?」

「発現してても何の役にも立たない固有能力のことだねい。新たに発現したのも通常は死に能力に過ぎないんだが、おそらくアンタならば十分以上に役立てることができる」

「へー。どんなやつ?」

「秘密にしとくよ。知ってようが知らなかろうが、やることは一緒だ。放っといてもアンタならば必ず知る機会がある。自分で気付いた方が楽しいねい」

「そーなんだ? わかった、ばっちゃんありがとう!」


 何だろうな。

 お楽しみ要素が増えたぞ?


「で、籠の悪魔だが?」

「吾こそが大悪魔バアルである。以後見知りおけ」

「精霊使いユーラシアが、自らのレベルを犠牲にしてまで捕えた悪魔かい。アタシのところへ持ってきたということは、干からびるまで魔力を抜き尽くせということだねい?」

「ひええええええええ!」


 小物はしょうがないなー。

 笑えてきちゃうんだけど。


「まあまあ、ばっちゃん。可哀そうだからあんまり脅さないでやっておくれよ。この子はうちで飼うことにしたんだ」

「「飼う?」」


 マルーさんとニルエの素っ頓狂な声が揃う。

 皆こういう反応だな。

 うちには既にヴィルがいるし、もう一人くらい悪魔が増えてもどうってことないだろうに。


「バアルと言えば、帝国の実力者に取り憑いてドーラに攻め入らせようとした悪魔だろう? アンタはどうして庇うんだい?」

「庇うってのとはちょっと違うんだけど」


 マルーさんもバアルのことを知ってるんだな。

 取り憑いたってのも違うけど。


「もうバアルは大した悪さはできないんだ。そう誓わせたから」

「誓わせられたである」

「だからと言って……」

「役に立つんだよねえ」

「……」


 じっとあたしを見るマルーさん。

 探るような目付きだ。


「役に立つ、か」

「お婆様、ユーラシアさんがそう言うならいいのでは?」


 ニルエが取りなすようにそう言う。


「まあアンタの考えならば……」

「よかった! バアル、マルーさんにも謝っときなさい」

「ごめんなさい」


 素直に謝る悪魔に苦笑するマルーさん。


「ところでアンタは何しに来たんだい? 悪魔を見せびらかしに来ただけかい?」

「この前イシュトバーンさんに描いてもらったニルエの絵、画集になる前にカラーズで単体ポスター販売されてるんだ。なかなか好評だよって報告ね」

「ありがとうございます!」

「ん? 皆バラ売りするのかい?」


 あたしがバラ売りしたいわけではないのだ。


「バラ売りは印刷頼んでる版画屋さんの要望なんだ。そっちも美味い汁吸わせてやんないといけないからね。ただ画集にもウリは欲しいんで、おっぱいさんと帝国の皇女の絵は単独では売らせない予定」

「なるほど、アンタはしっかりしてるねい」


 感心するマルーさん。

 宣伝になるから単体販売も悪いとは考えてないんだけどね。


「アンタの商売は皆が得するんだねい」

「ウィンウィンなら喜んで働いてくれるんだよ。で、ばっちゃんにも聞きたいことがあったんだ。転移石碑の類は純粋な黒妖石じゃないとダメなの?」

「ん? どういうことだい?」


 製塩のための海水転移吸入口に用いたい旨を話す。


「以前ばっちゃんは、魔力を蓄える用途に用いる黒妖石は純粋なものでなくてもいい、と言ってたじゃん? 逆に転移に用いるには純粋なやつじゃないといけないのかと思って」

「いや、そんなことはないよ。転移にしょっちゅう用いるとなると、磨り減ったり欠けたりしやすいだろう? 純粋な黒妖石の方が事故の面から考えて安全なのさ」


 なるほど、弄られる転移石碑には、黒妖石の硬さのファクターが重要だったのか。

 言われてみればもっともだな。


「人が用いるわけでもない海水の転移吸入になら、黒妖石の小石を固めたものでも全然構わないねい」

「ありがとう、ばっちゃん」

「まったくアンタはいろんなことで忙しいね」

「問題を早めに解決していかなきゃいけなくてさ。移民が増えて塩が足んなくなる気配が出てるんだよ。塩なんか絶対必要なものじゃん? 放っとくと物価上がっちゃう。社会不安の元なんだよね。従来のドーラの細々とした塩の生産じゃ人口の急増に追いつかないから、大量生産しないといけない」


 頷くマルーさんとニルエ。


「じゃ、あたし帰るね。バアルのお詫び行脚に回ってくるんだ」

「ハハッ。アンタも大概物好きだねい」

「さようなら、ユーラシアさん」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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