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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第773話:各地に謝りに行く

 ――――――――――一五〇日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「おっはようございまーす」

「精霊使いさん、いらっしゃいませ」


 来たぞ来たぞ、聖火教の本部礼拝堂に来たぞ!

 勢いをつけたのは手にバアルを閉じ込めた籠を持っているから。

 聖火教徒は基本的に悪魔嫌いだけど、案外柔軟性あるからな?

 何とかあたしがバアルを飼いたいってことを理解してもらいたいのだ。

 玄関を掃き清めている修道女に話しかける。


「朝からごめんね。ミスティさんいる? 問題の悪魔捕まえたって言ってきてよ」

「問題の悪魔と言うと、まさか……」

「ドーラを混沌の坩堝に陥れようとした大悪魔バアルだよ。これ」

「バアルである。以後見知りおくである」

「ミスティ様を呼んでまいります!」


 慌てて礼拝堂の中に駆け込んでいく修道女。

 聖火教徒の修道女服は裾が長いから、踏んづけそーで危ないなあ。

 待っているとミスティさんとワッフーが出てきた。


「ユーラシアさん!」

「おっはよー。これ見てよ」


 ミスティさんが真剣な表情で籠を覗き込む。


「……悪魔バアル」 

「聖火教大祭司の小娘であるな。久しぶりである」

「こら、偉そうにしない」


 ハハッ、ミスティさんが小娘扱いだわ。

 ミスティさんの表情が晴れやかになる。


「おめでとうございます。そしてありがとうございます。ここへ持ってきていただけたということは、バアルを聖火の結界で未来永劫閉じ込めておけということですね?」

「ひええええええええ!」


 こら小物、声を上げんな。

 言ってることがえらそーでやってることは大胆なのに、どーも臆病とゆーか神経が細いとゆーか。

 ギャップがエンターテインメントなんだよなあ。


「いや、この子飼おうと思ってるから、今日はあちこち謝らせに行くの」

「「飼う?」」


 ミスティさんとワッフーの驚き声がハモる。


「……つまり利用価値があるということですね?」

「そうそう。バアルは面白いし物知りだよ」

「今後一切悪さをしないということであれば」

「うーん、悪魔だから一切は難しいかもしれないけど、大勢に迷惑かけるなとは誓わせてあるんだ。バアル、ミスティさんにも謝って誓っておきなさい」

「ごめんなさい。今後大勢に迷惑かけることはしないである。悪魔バアルの名と存在にかけて誓うである」


 苦笑するミスティさん。

 ワッフーの表情はまだ硬いけど。

 許してくれるといいな。


「いいでしょう。ユーラシアさんにお任せします」

「やったあ! バアル、よかったねえ」

「よかったである!」

「でもあんたの悪事の処理は大変だぞー。いろんなところへ謝りに行かなきゃ行けないからね」

「わ、わかったである」


 よし、一つ難関が片付いた。

 聖火教徒は、海の王国に次いで許してもらうのが難しいと思ってたから。

 ワッフーが言う。


「精霊使い」

「何だろ?」

「レベルどうしたんだ? 随分低くなってしまったように思えるが」

「バアル捕まえるのに、レベル全部をコストにするっていう特殊な魔法使ったんだよ。今、うちのパーティー全員レベル一なんだ」

「「レベル一?」」


 二人が驚く。

 いや、どうってことはないんだ。

 明日にはレベル上げてこようと思ってるからね。

 身につけたパワーレベリングの技術を、まさか自分に使うことになるとは思わなかったけど。


「しかし……」

「ええ、レベル一には見えません。中級冒険者以上の実力はあると思いますが」

「あ、ステータスアップの薬草をかなり食べてるから、その分まではリセットされないのかも知れない」


 だったらコブタマンは狩れたかもしれないな。

 まあいいや。

 今日はあちこち行くので忙しいし。


「わかってくれてありがとう。また来るよ」

「ええ、お待ちしています」


 トラブルなく終わって本当によかった。

 あたしの人徳の賜物だな。

 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 ギルドにやって来た。

 昨日は時間ギリギリで買い取り屋さん帰っちゃったからな。

 今日は不用品を処分しとかないと。 


「いらっしゃい、ユーラシアさん。今日もキュートでチャーミングだね」

「おっはよー、ポロックさん。キュートでチャーミングって言われるなら、レベル低いのも悪くないなーって気がするよ」


 アハハと笑い合う。


「ユーラシア君」

「あっ、シバさん!」


 ポロックさんの義父、最強冒険者のシバさんだ。

 昨日ポロックさんにバアルを見せたから、興味があるのか文句があるのかであたしが来るのを待ってたんだな?

 

「……問題の悪魔だな? ドーラを危険に晒したという」

「うん、よろしくね」


 やっぱりポロックさんから聞いてるらしい。

 どう見てもシバさん怒ってるじゃん。

 バアルも運のないやつだなー。

 

「吾の名はバアルである。記憶するがよい」

「バアル、その名しかと覚えたぞ。魂が磨り減るまでオレの『デスソング』に聞き惚れるがいい!」

「ひええええええええ!」


 デカい態度からの小物臭、何とかならんのかな?

 シリアスな場面なのに笑いそうになってしまう。

 お約束のエンタメと思えばいいか。


「まあまあ、シバさん勘弁してやってよ。この子飼っとくことにしたんだ」

「「飼う?」」


 ポロックさんとシバさんが珍妙なものを見る目でこちらを窺う。

 美少女を崇めるよーな目で見てください。


「ユーラシアさんは、大げさな悪さをしないことをバアルに誓わせたと言っていましたよ」

「しかし禍根を断つことも必要だろう?」

「シバさんの言うことももっともなんだけどさ。バアルはなかなか愉快なやつだし、いろんなこと知ってるっぽいから」

「いろんなこと……なるほど。利用価値がある」


 情報源としての価値を理解していただけたらしい。

 よし、シバさんに認めさせたも同然だ。

 何せドーラみたいな田舎国に他国の情報は入りづらいから。


「飼うのに飽きたらオレにくれ。十二分にいたぶってくれる。なあに、とどめは刺さん」

「シバさん、あんなこと言ってるぞ? 謝っときなさい」

「ごめんなさい」


 掌返して素直に謝るところ、好感度高いな。


「じゃ、失礼しまーす」

「今日はアイテムの売却かい?」


 ヴィルがいないところで察したかな。


「そーなの。昨日ギルドに来た時間遅かったから、売り損ねちゃったアイテムがあって」

「ハハッ、じゃあね」

「さらばだ」


 箱一杯の魔法の葉を持って、お店ゾーンの買い取り屋へ行く。

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