表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

770/2453

第770話:あたしに相応しい魔法は厳密

「御主人!」


 ギルドに先行させていたヴィルが飛びついてくる。

 ラルフ君達に遊んでもらっていたか。

 同じ高位魔族でもバアルとえらい違いだなあ。

 よしよし、いい子だね。


「師匠?」

「おお、ラルフ君がいい男に見える! なるほど、これはヒルデちゃんも惚れちゃうわ」


 ラルフ君が赤くなる。

 ふーん、『威厳』の固有能力の効果ってこんな感じなんだ。

 ラルフ君キラッキラしてるやん。

 この感覚を体験できただけでレベルを下げた甲斐があったわ。


「師匠、一体どうされたんですか? レベルが下がっているように見えますが」

「レベル一になっちゃった」

「「「「えっ?」」」」

「これ捕まえるのに必要でさあ」


 籠を見せる。


「何でしょうか?」

「ドーラと帝国の戦争を煽った悪魔バアルだよ」

「悪いやつぬ!」

「……師匠がレベルを投げ打ってまでして捕獲せねばならなかった。相当に危険な悪魔ということですね?」

「えっ?」


 皆同じように考えるものなのかな?

 大げさな理由はないんだよ。

 ちょっと面白い子だから、消滅させちゃうのはもったいない。

 飼ってみようと思っただけ。


「危険は危険な悪魔だけど、レベルは別にいいんだ。必要なら上げるから」

「あんたはそういうやつだ」


 ニヤニヤしながらダンが言う。

 そういうってどういうことだ?

 エンターテインメントを優先するってことか?

 合ってるけれども。


「今は低レベルを楽しもうかなと思ってるの。ポロックさんにキュートって言われちゃったしさあ。ってのは置いといて……」


 ナップザックから絵を取り出して見せる。


「イシュトバーンさんの画集用の絵だよ。刷り上がったやつ三種」

「「「「「おおおおおお?」」」」」


 『ニルエ』『アリス』『サクラ』の三枚だ。

 あんたらガン見し過ぎだろ。

 あれ、他の冒険者も集まってきたぞ?


「すげえ、さすが画伯……」

「サクラさんの絵じゃねえか。たまらんち!」

「おい精霊使い、画集の販売はいつなんだ?」


 勝手に盛り上がるなよ。


「いや、残念ながらまだ描けてない絵の方が多いんだよ」

「マジかよ……」

「このクラスの絵が集まる画集なんだな?」

「アンやセリカ、黒ドレスの子の絵を描いてるところを見たぜ。そりゃあすごかった」

「おお? 楽しみだな」


 変な熱気になってきた。

 ヴィルがソワソワしてるじゃないか。

 ぎゅっとしたろ。


「ラルフ君、販売は先になるけど、何部刷るか、販売法どうするかの交渉をしたいの。ヨハンさんと、できれば本や紙扱ってるヘリオスさん交えて話したいから、段取りつけてくれって言っといてよ」

「了解です」

「日が決まったら教えて。あたしに直接じゃなくても、緑のオイゲン族長に言っといてくれれば、あたしのところまで話は来るからね」

「わかりました!」

「よーし皆、画集完成したら買ってくれよな!」

「「「「もちろんだぜ!」」」」


 販促活動終了。

 前評判は上々だ。

 オリジナルスキル屋へ。


「たのもう!」

「たのもうぬ!」

「ふあっ?」


 突っ伏していた店主ペペさんが飛び起きる。


「あっ、ユーラシアちゃん。おはよう」

「おっはよー、ペペさん」


 もうすぐ夕方五時だ。

 おはようって時間じゃないけどな。

 どーもペペさんは幼女っぽいので起こすのに抵抗がある。

 だからといってあたしは容赦しないけれども。


「早速なんだけど、これについて詳しいこと教えて?」


 バアル入りの籠を見せる。


「あっ、ユーラシアちゃん、『ロック&デス』を使ったの?」

「うん」


 レベルを犠牲にしただけの価値はあったと思っている。

 籠をじーっと覗き込むペペさん。


「……あなた、高位魔族バアルね?」

「正解である」

「なるほど理解したわ! 私のロマン砲でアーティスティックにバアルを塵と化せ、ということねっ?」

「ひええええええええ!」


 こら小物、声上げんな。

 そして何故かダンが楽しそう。


「いや、違くて。せっかく捕まえたから、しばらくこの子飼ってみるんだ」

「飼うの?」

「うん。だから魔法の効果がどうなってるのか教えてもらおうと思ったの。籠ごとプチると中身が死んじゃう、ってことは教えてもらったけど」

「残念だわ……すごく」


 マジで残念そうだな。

 ロマン砲が合法的に火を噴く貴重な機会を失ったからか?

 ロマン砲は自分家で試し撃ちするだけにしといてくださいな。


 ペペさんが説明してくれる。


「『ロック&デス』の術後の籠は永続よ。閉じ込められた存在は無力になる代わりに、生存コストがかからなくなるの」

「ほうほう、つまりエサはいらないと」

「そお。籠は比較的丈夫だけど、壊れると中身は死んじゃう」

「あっ、籠壊れるだけでバアル死んじゃうんだ? 気をつけないといけないな。あんたも小賢しく籠壊すこと考えてたかもしれないけど、そーするとポアらしいから要注意ね?」

「わ、わかったである」

「正確に言うと、無力なままで籠の外に出るとダメってことよ?」

「バアル聞いてる? 転移の類もアウトっぽいぞ?」

「き、聞いているである」


 ダンも後ろでニヤニヤしながら聞いてるけど。


「じゃ逆に、外に出してあげるためにはどうしたらいいの?」

「術者が解放の意思を持って籠を壊すことだけよ」

「籠を壊せるのは術者だけと。仮に術者が壊しても、無意識だったり操られてたりでは?」

「中身は御臨終ねえ」

「ふーん。じゃ、普段は壊さないようにしまっておいた方がいいくらいなのかな?」

「いいえ、二四時間術者の目の届かないところにあると、中身ごと籠は消滅してしまうわ」

「バアル聞いた? どーも抜け道なさそうなんだけど」

「よ、よーくわかったである」


 小物が脅えている。

 脅すつもりはなかったのだ。

 ごめんよ、可哀そうに。


「えらく厳密なスキルだね?」


 仕様を聞いてちょっとビックリした。

 ペペさんが作った魔法なら捕まえるところまではドリームでも、以降の条件なんかアートで穴だらけでもおかしくないのにな?


「だってユーラシアちゃん専用の魔法だから」

「おおう、メッチャ納得の理由だった」


 あたしに相応しいスキルに隙なんかあるわけなかったわ。

 あたしの心中を読み取ったらしいダンが笑う。


「そろそろ五時だ。夕飯食おうぜ。ペペさんもその悪魔について知ってること教えてくれよ。奢るからさ」

「思いっきり奢られるぞー!」

「思いっきり奢られるわよ!」

「思いっきり奢られるぬ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ