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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第77話:肥溜めガールの助言

 本の世界から家へ戻って食事をすませたあと、皆で作戦会議を行う。


「アルハーン平原への大侵攻計画があるとの貴重な情報を、アリスから得ました。『大掃除』のネタがほとんど割れたと言っていいね」


 アトムがぼやく。


「んなことがあるなら、ギルドも前もって知らせてくれなきゃ困るよなあ」

「クレバーなモンスターもいるね。ヤバいやつにバレたら、ベリーハードなシチュエーションになりかねないね」


 ほう、ダンテやるじゃないか。

 知性あるアンデッドとかヴァンパイア、高位魔族の類なんかが関係してくるとまいっちゃうもんな。

 レイノス西門の警備兵隊長さんが言ってた秘密が漏れると大変というのも、案外そういうことかもしれない。


「……じゃあこっちが準備不足な代わりに、罠の可能性も低いのか?」

「罠は考えなくてよさそう」


 アトムも納得したようだ。


「さあ、あたし達はどうするべきでしょーか?」

「セイムでいいね。チュートリアルルームのレディーと肥溜めガールの意見を聞くね」

「フィールドがわかったんだ。出る魔物の種類を知りたいでやすね。対応したパワーカードを使えそうでやすぜ」

「クララ、どう?」


 こういうのはクララの得意分野だ。

 先ほどから黙ってるが、何か考えがあるに違いない。


「灰の民の村へ行きましょう」

「「「?」」」


 クララが説明する。


「灰の民の村はアルハーン平原カラーズ集落群の東端。この作戦行動が行われるとすると、灰の民の村が前線基地になる可能性が高いです」


 うおおお、さすがクララ!

 灰の民の村で何らかの情報を得られるかもしれない。


「よーし、じゃあ明日はマーシャとバエちゃんのところ、明後日が灰の民の村で決定!」

「「「異議なし!」」」


          ◇


 ――――――――――二三日目。


 フイィィーンシュパパパッ。

 肥溜めガールこと幼女占い師マーシャに会うために、ほこら守りの村にやってきた。

 今日は快晴、木の多い場所でいい天気だと気持ちがいいな。


「おお、これは精霊使い殿」


 村長だ。

 気軽に話しかけてきてくれる。


「こんにちはー。その後、問題なかったかな?」

「ええ、もう全然平気です」

「よかった。これお土産でーす。皆さんでどーぞ」


 昨日のコブタ肉の塊をゴッソリ渡す。


「これはこれは、大層なものを」

「いいのいいの。昨日のクエストでたくさん狩れたから、おすそ分けだよ。ところでマーシャは今、どこにいるかな?」


 感謝しきれぬといった表情で村長が言う。

 お肉は貴重だからなあ。


「ああ、御神体のところへ行っていますよ。昨日、ようやく穢れが取れましてな」


 結局昨日までかかったのか。

 うんこの穢れ恐るべし。

 『肥溜めガール』という、ダンテの言葉が何となく思い出されて笑ってしまう。


「参道に魔物が現れたりはしないかな?」

「大丈夫ですぞ」


 どうやら御神体である少女霊リタが安定してれば平気のようだな。


「じゃあ、あたしはリタとマーシャに会ってきまーす」

「よろしくお願いします」


 村の北から参道に入る。

 ここは独特の荘厳な雰囲気があるなあ。

 特に天気がいいと、照らされる参道の白さと影になる森の黒さとのコントラストが素晴らしい。

 あ、魔物はいなくなっても素材は落ちてるな。

 拾ってこ。


 やがて現れた門を潜ってほこらへ。

 うん、ループも解消していて、復活したりはしていないね。


「こんにちはー」

「あっ、ゆーしゃさま!」


 マーシャが飛びついてくる。

 あたしすっかりゆーしゃさまだよ。

 どーすんだ、これ?


「ちょっと様子見に来たんだ。リタは元気してる?」


 亡くなってる人間に元気もないもんだが。


「ええ、もうすっかり。村人も話しに来てくれるようになったんです。それに昨日からマーシャがずっといてくれるようになって」


 マーシャ、いい仕事してるなあ。

 ぎゅーしたろ。


「村人に要望あったら伝えとくけど?」

「いえ、特には……あ、一つだけ」


 リタは何か思いついたようだ。


「消えた土地神様のお墓なり石碑なりを立て、皆に詣でてもらえると嬉しいです。今まで村を守ってくれたお方ですので」

「おお、なるほど」


 ほこら守りの村の知られざる功労者だもんな。

 リタの悲しみが全て癒されるということは、おそらくないんだろう。

 碑を立てて参ることでリタの気が軽くなるのなら、この村のためにもいいことじゃないかな。


「わかった。村長に言っとくね」


 リタは喜んでいる。


「ところでゆーしゃさまは、なにをしにきたですか?」

「ん? あんた達がどうしてるかなと思ってね」


 ウソではない。

 リタの精神状態もマーシャの穢れ(物理)も、心に引っかかってる材料ではあったから。


「そうだマーシャ、あたし達を占ってくれない?」

「いいですよ。なにをうらないますか?」

「四日後に大きいイベントがあって、あたしも参加することになりそうなの。どうすればいいかな? 注意することがあれば教えて欲しいな」

「はい、わたしをじっとみてください」


 言われた通り、マーシャを見つめる。

 マーシャの魔力は、押しつけがましいところがなく染み込んでくるタイプだ。

 あ、少し髪の毛生えてきてる。

 あたしと髪色似てるっぽいな。

 もうちょっと伸びてこないとわかりづらいけど。


「こんなんでました!」


 マーシャが元気よく叫ぶ。


「だいきちです。ゆーしゃさまはだいかつやくします。すごくゆうめいになります。らっきーあいてむはすきるすくろーる!」


 やっぱ戦いがあるってところは見えてるんだろーなー。

 大したもんだよマーシャ。

 ラッキーアイテムがスキルスクロールか。

 何のだろ?


「ありがとう、マーシャ」

「どういたしましてなのです」

「大活躍すると、ここまで噂が流れるかなあ」

「きっとそうなるのです!」

「じゃあ、リタもマーシャも応援しててね」

「はい!」

「ゆーしゃさまのぜんとにさちあれっ!」


 ユーラシアの『ゆ』はゆーしゃの『ゆ』なんちゃって。

 リタとマーシャに別れを告げ、村に戻った。

 村長にリタの要望を伝えておく。

 大いに頷く村長。


「なるほど、土地神様の碑を……それは気付きませなんだ」

「お願いしまーす。リタの気も晴れると思うから」

「いや、本当にお世話になりました」

「じゃあ失礼しまーす。また来るね」


 転移の玉を起動してホームに戻る。

 バエちゃんとこへ御飯を食べに行くのは夜だ。

 まだ結構時間あるな、どうしよう?

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