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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第768話:諸悪の根源登場

「宝箱に敬礼!」


 一六個の宝箱に敬礼する。

 お宝入りの宝箱が並ぶこの素敵な風景を見るのも、今日が最後だから。

 主催者とこのザクザク宝箱クエストをあたしに振ってくれたギルドに最大限の感謝を込めて。


「じゃ、宝箱開けるぞー」

「フルオープンね? トゥデイはどうすればいいね?」

「どれでもいいよ。好きなの開けちゃって」

「最後の一個はユー様が開けますか?」

「本日のトリを務める美少女精霊使いの役どころだね。……魔法の葉はあり得んと思ったけど、よく考えると倍量入ってるパターンはありなのか。嫌だなー。でもお約束を違えるわけにいかないから開けるよ」

「姐御は変なところ律儀でやすね?」

「エンターテインメントに関しては律儀だよ。お約束は鉄の掟だから」


 レッツオープン!


「一対の絵です! 男性画と女性画!」

「現金一万ゴールドだぜ!」

「レアマテリアル『埋没コイン』三個ね!」


 ふむ、絵の価値はわからんけど、現金とレア素材からしてやはりいつもの宝箱より価値は上。


「現金一万ゴールドです!」

「魔法のナップザックだぜ!」

「ピクチャー、ビッグな風景画ね!」

「パワーカード三枚です!」

「ドラゴンの絵だぜ!」

「キャッシュ一万ゴールドね!」

「魔法剣です!」

「ウマの像だぜ!」

「キャッシュ一万ゴールドね!」

「レア素材『バロールアイ』三個です!」

「現金一万ゴールドだぜ!」

「ペンデュラムね! マジックアイテム!」


 さて最後の一個だ。

 魔法の葉倍量であたしに倍のダメージを与える作戦ってのも、メッチャありそーで困る。

 ドキドキ。

 重い蓋をでやっと除ける。

 そこには……。


「あっ、『地図の石板』だ?」


 極めて予想外のものが出てきた。

 色々と検討したいのだが、大きくなる魔力の波動に警戒せざるを得ない。

 中空に闇が生まれ、そいつが出現した!

 悪魔だ!


「お初にお目にかかる。吾が悪魔バアルである。見知りおくである」

「うーん、あんたワープヘタクソなんじゃない? どう見ても魔力ムダ使いしてるように思えるけど?」

「なっ……!」


 いきなりそう来るとは思ってなかったか、絶句する悪魔。

 これがバアルか。

 帝国のドーラ遠征を画策し、過去には海の一族の内乱に介入して被害を拡大させたとんでもないやつ。


 ……何かこいつも可愛いな?

 ヴィルと同じくらいの身体の大きさだ。

 黄色みがかった髪に黒の広いつばのハット、裾の長い帝国風スーツ、にゅっと伸びた細長く尖った尻尾が悪魔であることを主張している。


「ねえ、高位魔族って皆ヴィルやあんたみたいに可愛いの?」

「かっ……強大な魔力をコンパクトな身体に凝縮することができてこそ、最高位の魔族の証なのである! 可愛いとは何であるか!」


 へー、聞けばなるほどの理屈だな?

 知らんことはあるもんだ。

 てことは他の悪魔もちっちゃくて可愛いっぽいな。

 他の子にも会ってみたい。


 しかし何だろう?

 ヴィルは可愛いって言われると素直に喜ぶが、このバアルはそーでもないようだ。

 でも嫌がってるようには見えないんだよな?

 舐められるのが嫌ってことかな?


「えーと、ザクザク宝箱クエストの主催者はあんたってことでいいのかな?」

「もちろんである!」

「お宝は盗品とかじゃないんだよね?」

「わ、吾をバカにするのもいい加減にするである! 人間との正当な取り引きで巻き上げたものである!」


 巻き上げるのはいいのだろーか?

 悪魔の理屈はわからんもんだ。


「ふーん、ありがとう。行っていいよ」

「えっ?」


 ポカンとするバアル。


「あんたのやったことは許しがたいけど、なかなかキャラ立ってるし、お宝もたくさんくれたから見逃してあげるよ。その代わりこれからは大掛かりな悪さはするんじゃないよ?」


 悪魔もエネルギー摂取は必要だろうから、細かい悪事で悪感情を得ようとするのはしょうがないだろ。

 戦争を企むみたいなバカげた規模でやられるとさすがに許せんけれども。


「なっ、なっ、なっ……」

「ななな? あんたが割と面白いことはわかったってば。でもザクザク宝箱クエストが終わりってことは、もうお宝持ってないんでしょ? じゃあ用はないから」

「こ、これほどの侮辱を受けたのは初めてである!」

「侮辱じゃないけど」


 あたしは戦争を起こしたよーな悪魔を見逃そうと言ってるのだ。

 最大限に譲歩してるのになあ。


「言いたいことがあるのかな? あんたの言い分を聞いてあげるから話しなさい」

「そ、そうであるか?」


 あ、ちょっと嬉しそうになった。


「何故貴女は毎日毎日その銅鑼を鳴らすであるか! 頭痛がするのである!」

「うーん、あたし達にとってはすごくいい音なんだよね。あたしも察しの悪い方じゃないから、悪魔にとっては不快な音かなーってのは何となくわかってた。だもんでヴィルをここに連れてきたことない」

「き、貴女、吾がこのクエストの主催者であることを察していたであろう?」

「そりゃまあ」


 察しの悪い方じゃないって言ってるじゃん。


「無礼であろうが!」

「あんただって嫌がらせしてきただろうが。やったらやられる、当たり前だぞ?」

「やり始めたのは貴女であろうが!」


 おおう、言われてみれば。


「ごめんね。お互いやり合ったってことで水に流そうじゃないか」

「一方的にやられた気しかしないのである! 屈辱である!」

「でもないでしょ。朝起きたらほとんど身体動かせなかったやつ、あれはすごかったぞ? どうやったの?」

「水晶ドクロと魔法陣を用いた儀式呪術である。あれほどの念のこもった逸品を媒介に用いれば、通常は発狂して三日間もがき苦しんで死ぬものなのである。しかるに貴女は何であるか! 常識外に過ぎる!」

「何それ怖い」


 あれはつまり呪いだったんだな?

 水晶ドクロは呪いの触媒にも使えるのか。

 またバアルは呪術の知識をも持っている、と。

 ヴィルが負けたことのない悪魔と警戒するだけのことはあるじゃないか。

 面白い、気に入ったぞ。


「まだ何か言いたいことある? ストレス溜まるといけないから、この際全部吐き出しちゃいなさい」

「ストレスは溜まり放題溜まっているである! 吾は腹に据えかねているである! 吾の必殺の魔力により塵になるである!」

「あんた、『抑圧者』の固有能力を無敵か何かと勘違いしてない?」

「えっ?」


 動揺するバアル。

 そーゆーところが小物なんだよなあ。

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