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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第765話:辺境開拓民

「ごめんね。ドーラ側も移民がどういう状態で来るかってのは知らなかったんだよ。受け入れるって言っといて何だけど」

「わかるぜ。出国税なんてドーラには関係のない話だしよ」


 理解してもらえれば救われる。

 まーでも友好アピールのために、早期に移民を開始しなければならなかったとゆー思惑が、帝国とドーラの双方にあったっぽいな。

 故に第一回の移民が大迷惑を被ったと。


「ドーラ側も、今年大量移民が来ることが急に決まったじゃん?」

「おう」

「まー土地はあるんだけどさ。使い勝手が悪いから、今必死で水を引いてるの」

「あの工事は移民のためだけにやってるのかよ?」

「ええ、しかもユーラシアさんの私費なんです」

「えっ、私費? ドーラの事業じゃねえのか?」

「独立したばかりの田舎国家に、この規模の工事できるおゼゼがあるわけないじゃん」


 ビックリしたようなサブローさん。


「マジか。悪いな」

「ドーラのスーパーヒロインが自分の国に手をかけるのは当たり前だから、いいんだけどさ。移民がほとんど空手で来たって聞いて困ってるんだよ。今年蒔く種が足りなくてさ」

「取り上げ食らっちまったからな。いや、ドーラ人がここまで良くしてくれると思わなかったからよ。正直皆面食らってると思うぜ?」

「ドーラはドーラで人口少ないのがネックじゃん? 移民受け入れるぞーって発破かけてんの」

「ハハッ、統治するやつらはそう思ってるかも知れねえが、嬢ちゃんが私費で民を動かしてるってのはすげえ」

「あたしも一文無しになったわ。これ以上大きな事業はムリだわ」


 ディオ君が言う。


「ユーラシアさんは、移民を積極的に扶助して、ドーラの発展に繋げようという考え方なんですよ」

「いや、あたしはドーラの人口が増えれば大きい商売できるし、いろんな技術持ってる人が来てくれれば嬉しいの」

「ほーん?」


 頷くサブローさん。


「嬢ちゃん若えのに、やるなあ」

「おっちゃん自身のことも教えてよ。帝国は一般人の武器所持が禁止されてるって聞いたんだけど。だから軍人さん以外はレベル高い人いないと思ってたの」

「おいらは辺境開拓民だったんだ」

「辺境開拓民?」


 文字通り辺境と呼ばれる荒地を開拓する人のことだそーな。

 帝国にもそんな人達がいるんだな。


「魔物がいるんで武器の所持は許可され、税金も免除される。と、聞くとやりがいもありそうだが、まあまともに耕作ができる土地じゃねえんだな。ドーラも武器所持可で税金ねえんだろ? ならば故国を捨ててでも新天地かって、こっちへ来たんだぜ」

「ドーラに税金ないわけじゃないんだけど、港町レイノスでしか徴収されてないんだよ。税金取るだけの組織がないっていうか」

「よく無法地帯にならねえな?」

「人口が少ないから協力し合わないといけない。村々の自治性が高いってことが大きいねえ。あと犯罪者には魔法の葉青汁をがぼっと飲ませて改心させるっていう刑罰があるよ」

「魔法の葉ってあのクッッッソ不味いやつか? 軽く死ねるじゃねえか。誰だよ、血も涙もねえ罰則を考えやがったのは!」


 あたしです、と言えない雰囲気になった。


「ドーラの印象はどうですか?」

「これだけ肥沃な平地が放置されてるのが考えられねえな」

「ここ、つい四ヶ月くらい前まで魔物だらけだったんだよ」

「ほーん?」

「将来人口が増えた時用に確保しとくって名目で魔物退治してさ。でも柵破られたりすると危険だから、何かあったら転移石碑の向こうの村に助けを求めて。あっちには魔物と戦える人員がいるからね」

「おう、そうだ。何だこの転移石碑ってやつは?」


 興味津々ですね?

 あんまり詳しいこと話したくないし……。


「宮廷魔道士レベルの知識持ってる人がドーラにもいて、魔道技術を試験的に使ってみようっていう試みだよ。どこにでもあるわけじゃないんだけど、ここの開拓や移民との連絡に必要だってことで、今月の頭に設置されたんだ」

「ほーん」


 しらばっくれたった。

 話題変えるか。


「でさ、今年蒔く作物の種がないのはマジ困るんだよ。種や苗を用意できる人優先してくれって頼んだんだけど、取り上げられちゃったんでしょ?」

「まあな。しかし何だかんだで、自分の面倒みられるくらいは皆隠し持ってるだろ」

「あっ、そーなんだ?」


 ちょっと助かるな。


「役人も見て見ぬふりしてくれたからな。正直保存食没収の方が痛い」

「当面の食料はなるべく提供する手筈になってるんだ。それからこれあげる」

「……種だな? こんなに?」

「蒔いて三週間で収穫できるダイコンだよ。その後花咲いて二ヶ月で種がなるから、上手に使って。ただし土地から栄養分吸い上げてやせちゃうんだよ。肥料なり腐葉土なりは必須になるから注意ね」

「わかった、すまんな」

「じゃーねー」


 よし、これでいい。


「あたしの腹時計によると、そろそろお肉……お昼なんだけど?」


 ディオ君が笑う。


「もう少し先ですよ?」

「今日は朝早くから働いてたからなー」

「レイノスの店、どうなってるか御存じありませんか?」


 セレシアさんの服屋か。


「あたしの見たところ好調だな。服の在庫の方、どうなってる?」

「一時期よりは減ってます」

「よしよし、生産抑えたんだな。大丈夫そう。二号店計画は発動しなくていいけど、セレシアさんにはディオ君の勉強になるから好きにさせとけって言ってあるんだ。いざとなった時慌てなくていいように、調査はしといてね」

「はい」


 あ、そーだ。


「最近緩衝地帯の緑のショップで、女性画売ってるの知ってる?」

「ああ、話題になってますね」

「セレシアさんにもモデル頼んでるんだ」

「えっ? あのポスターにユーラシアさんが噛んでるんですか?」


 まあディオ君は知らないだろうな。


「画集にして売るんだ。緑のショップがバラ絵をポスターとして売ってるだけで。輸出してセレシアさんのファッションを帝国に認知させる役割もある」

「あっ、宣伝に関連するんですか!」


 帝国であのファッションが話題になれば、向こうでも売れるかもしれないのだ。


「上手くいけばだけどね。画集が売れるところまでは想定してるけど、さらに先のことはまだ何とも言えないな。ディオ君も成功を祈っててよ」

「はい、わかりました」

「お、鉄板広げ始めた! 焼き肉パーティーだよ。楽しみだなー」

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