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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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742/2453

第742話:ほぼ全ての財産を没収されていた移民

 フイィィーンシュパパパッ。

 塔の村にやって来た。


「おーい、じっちゃーん!」


 光り輝く崇高な頭部の所持者デス爺を見つけ、話しかける。


「騒々しいの……む? 何を持っているのじゃ?」

「拡声器だよ。クエストで手に入れたんだ。ここにマジックウォーター入れると起動するみたい。あたしが持ってても役に立たないから、行政府に寄付しようかと思って」

「ほう、それは良きことじゃの」


 デス爺も満足げだ。

 どーもデス爺はあたしが余計なことしかしないとゆー、誤った観念に取りつかれているんじゃないかって気がする。

 お節介だという自覚はあるけど、大体あたしのやることはいい方向に転がるわ。

 認識を改めろ。


「今日移民が来るじゃん? リリーを連れて様子見てこようかと思って」

「なるほどの。それで行政府に拡声器か。ワシも行こうではないか」

「大丈夫? 昨日働き過ぎで、身体のあちこちが言うこと聞かないんじゃないの?」

「問題ないわい」


 昨日の世界樹切り出し運搬作業では、デス爺の転移術が大活躍だった。

 まあどこもおかしくなさそうなのは見ればわかるが、年齢が年齢だからな。

 あたしの聖女のような親切心がデス爺を包み込んでしまうよ。


「今日はまだ見とらんの。そろそろ起きてくるとは思うが」

「軽く昼御飯食べながら、リリー待ってるよ」


          ◇


「でさ、第一陣は聖火教徒がすげー多いの。移民一〇〇〇人弱の内、四〇〇人が聖火教徒だってさ」


 食堂で一緒になったリリー&黒服と話す。


「む? 異常なほど多いではないか」

「帝国本土では汎神教が主流であり事実上の国教なのです。敬虔な聖火教徒は奇異な目で見られることが多いですね」

「ふーん? 聖火教徒に嫌な人いないけどなあ」

「ぬしも知ってるリモネス、あやつは聖火教徒だな。……確かに聖火教徒と言われると構えてしまうが、言われなきゃ善良な者が多いか」

「帝国で聖火教徒は住みづらそうなの?」


 黒服が難しそうな顔をする。


「表立って迫害されるということはないです。もちろん信教を理由に排斥する法もありません。が、聖火教徒が嫌がらせされるという話は度々」

「だからドーラに来たがるのかな?」

「うむ、ドーラ人は聖火教徒に対する偏見が全くない気がする」

「ドーラにはあんまり宗教に熱心な人がいない気がする。あたしも熱心なコブタミート教信者のつもりだけど、目の前に魚フライがあると宗旨替えしちゃうもんな」


 アハハと笑い合う。

 ドーラで信徒が多い宗教というと、やはり聖火教だろう。

 ほこら守りの村の御神体リタのような土着の信仰はあるけど、帝国で盛んだとゆー汎神教の話はドーラではとんと聞かない。

 もっともあたしのユーラシアという名前は、汎神教の神様から取ったらしい。


「むしろドーラは聖火教徒ばかり押し寄せて困らんのか?」

「ドーラ全体では特に困ることないな。ただドーラの聖火教大祭司ミスティさんは、信徒を皆本部礼拝堂周辺の集落に住まわせようとしてるんだよ。いっぺんに大勢が来ちゃうと準備が間に合わないかも」


 ま、あたしも協力するし、どうにかなるだろ。

 食堂を出、デス爺と合流する。


「では、レイノスの行政府前に転移するぞ」


 視界が白くぼやけていく。


          ◇


「こんにちはー。精霊使いユーラシアがリリー皇女を連れてきましたよ。プリンスルキウスに連絡してくれる?」

「はい、案内いたします」


 行政府受付のお姉さんと話したらすぐ通される。


「最近待たされることがない気がする」

「精霊使いさんが来たらすぐ通せとのことですので」

「おいおい、VIP待遇だよ。困っちゃうなー」


 アハハと笑いながら二階の大使室へ。


「こんにちはー」

「おお、よく来たね!」


 にこやかに歓迎してくれるプリンスルキウスとアドルフ、オルムスさんもいる。


「オルムスさん、これあげる」

「これは?」

「拡声器。声を遠くまで届かせる魔道の装置だよ。クエストで手に入れたんだけど、あたしには必要ないから」

「ほう、ドーラにも拡声器があるんだな」


 プリンスが感心するけど、ないと思うよ?

 オルムスさんが知らないくらいなら。


「これはすまないね。ありがたくもらうよ」

「で、移民は?」

「午後一時に入港・上陸の予定だ」

「もうすぐだね」

「では大使殿下、港へまいりましょう」


 オルムスさんを先頭に港へ出発。

 どんな人が来てくれるんだろう?

 楽しみだなあ。


          ◇


「デカい船だなー。さすが帝国だねえ」


 港へ様子を見に来た。

 が、プリンスが不審げな表情を見せる。


「一隻だけ? しかも貨物船じゃないか。人が乗るのに適した船ではないぞ。どういうことだ?」

「え?」


 オルムスさんが言う。


「先ほどパラキアスが船へ飛んでいって状況を把握しようとしたんだが、銃器で威嚇されて近寄れなくてね」

「貿易が先になったとかいうことじゃないんだよね?」

「ないね」

「そんな報告は入っていない」


 知事のオルムスさんと大使のプリンスが言うなら。

 つーことは?


「あの船に移民が詰め込まれてる?」

「おそらくな」

「惨いことだの」


 リリーが顔をしかめる。あたしは船に乗ったことないから惨いかどうか知らんけど、人の居住に適した環境じゃないんだろう。

 帝国からドーラまで数日、ひどい状況にあったなら可哀そうだなあ。


「そろそろ時間だ。桟橋に船が着く」


 向こうの役人と交渉してるのはパラキアスさんか?

 あ、こっち来た。


「えらいことになった。移民達は身の回りのもの以外、ほぼ全ての財産を没収されて放り出されたらしい」

「「「「「「「えっ?」」」」」」」


 具体的には帝国の法整備が遅れているんだそーな。

 今もまだ帝国とドーラがうまくいってなかった時のままの出国税であり、それがメチャクチャ高価であるということのようだ。


「しまったな。移民が来る以降の情報はなかったのだ。ユーラシアもか?」

「ごめん、あたしも知らなかった」


 だって航海中無事だといいなってくらいで、まさかそんな落とし穴があると思わんもん。

 出国税が高いなら法律変わるまで待機してりゃいいのに、おそらくすぐ来たかった理由があるんだろう。


「どうしました?」

「ミスティさん!」


 聖火教大祭司のミスティさんが二人のハイプリーストを連れてやって来た。

 見たことある顔だな。

 あ、掃討戦の時、結界を維持していた人達だ。

 レイノス支部のハイプリーストだったのか。

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