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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第740話:一発ギャグ・棒立ち

 ――――――――――一四六日目。


「おーい、ユーちゃんおはよう」

「おっはよー、カカシ」


 朝七時。

 あたしが自然に起きる時間としてはやや早いかな。

 昨日寝たのが気持ち早かったせいか。

 それとも今日は移民が来るっていうから、あたしらしくもなく気が高ぶっているせいだろうか。

 皆さんようこそ、ドーラのヒロインたるあたしが歓迎するよ。

 なんちゃって。


 うちの畑番を務めている精霊カカシと話をする。


「今日帝国から大量の移民が来るんだよ。いい天気で良かったなあ」


 願わくば移動が終わるまで晴れが続きますように。


「まあ移民も大事だが、こっちも面白いことがわかったんだ」

「面白いこと?」


 カカシから面白いことの提案だ。

 聞き捨てならんではないか。


「この前蒔いたダイコンの種あったろ?」

「うん」


 いつだったかザクザク宝箱クエストで手に入れた、箱一杯のダイコンの種だ。

 お宝であるならば冬蒔いても育つのではないかということで、四日前の凄草株分けの日に試験的に蒔いてみたものがある。

 何か変化があったのかな?


「もう芽が出た?」

「出た。いや、冬でも芽が出るのは珍しいことじゃねえんだ。ダイコンってのはそんなもんだ。ドーラ平野部の気候なら、冬でも発芽まで一週間はかからねえ」


 まあうちはカカシが管理してるし、標準より発芽も早いのだろう。

 カカシ有能。


「じゃあ冬でもイケそうってこと?」

「だけじゃねえんだ。こいつ育つのがやたらと早い」

「とゆーことは?」

「もう今月末には収穫していいぜ」

「えっ?」


 今月末って七日後じゃん。

 冬なのに種蒔いて一〇日ちょいで収穫?

 マジかよ、どうなってんだこの不思議ダイコン。

 いやまあカカシの管理あってのことなのだろうけれども。


「オイラの管理下になくても、種を蒔いてからおそらく二〇日程度で収穫できる。今は冬だから、もう少し期間欲しいけどな。気温に関係なく花芽をつけ、二ヶ月で種を採取可能だ」

「つまり、四季蒔きかつ特急で育つダイコンということだね?」

「そういうこった。普通のダイコンより少し小さいけどな」


 なるほど、これは非常に有用性が高い。

 お宝だけのことはある。


「注意点もあるんだぜ。土から栄養分を吸い上げる力が強い。こいつを収穫した後は肥料なり腐葉土なりを補ってやらねえと連作が利かねえ」

「ふーん、難しい面もあるねえ」

「太陽の光をたくさん受けるためだと思うが、おそらく葉が大きく広がる。普通のダイコンより間隔が欲しいぜ」

「じゃあもう間引いた方がいいのかな?」

「明日でいいぜ。葉が少し大きめの方が、間引いたやつの食いでがあるだろ」

「りょーかーい。明日にするよ」


 このダイコンは使える。

 移民で食料が足りなくなるかもしれないことを考えると、魔境クレソンとともに救世主になり得る存在だ。

 注意点を知らせるとともに、あちこちに持っていって普及させるべきだな。

 半分サイナスさんに渡しておけば、カラーズと移民に行き渡るか?


「それにしてもなー」

「ん、何だい?」

「カカシが面白いことやってくれるって言ったから、エンターテインメントかと思ったんだよ。期待ハズレだった」

「『面白いことがわかった』って言ったんだぜ? 一発ギャグ・棒立ち!」

「アハハハハ!」


 自分では動けない依り代タイプ精霊カカシの、意表を突いた渾身のギャグだよ。

 朝からいい日だ。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「あっ、ユーちゃんいらっしゃい。朝早く来るの珍しいわね?」

「うん、おっはよー」


 チュートリアルルームに来た。

 言われてみるとこんなに早い時間に来たのは、酔っ払って寝ちゃったヴィルを迎えに来た時以来かな。


「新人さん午前に来ることが多いから、見に来てくれたの?」

「それもあるけど、今日帝国からの移民の第一陣が着くんだ。見に行こうと思ってるから、午後多分ここへは来られないんだよね」

「ユーちゃんは忙しいのね」

「バエちゃんの顔を見て癒されるのは今しかないのだ」

「いやーん、ユーちゃんハンサム!」


 高速クネクネ出ました。

 これも芸だなあ。


「さすがにこんな朝早くは新人さん来ないよね?」

「どうだろう?」


 今日みたいな天気のいい日は、他にやることあるかもしれないしな。


「お土産があるよ。面白いもの手に入れたんだ。これ」

「何これ。種?」

「そうそう。ダイコンの種。育つのやたらと早い小型種みたいなんだ。家庭菜園は趣味じゃない?」

「やったことないの。……でもチュートリアルルームに赴任する時、プランターのセットを渡されたような?」


 控え室の倉庫からそいつは出てきた。

 細長くてデカい容器みたいなものと培養土のセットだ。


「何これすごい。水やりも自動でできるし、光量まで調節可じゃん」

「いろんなお野菜の種もあるわ。試しに栽培してみればよかったかな」

「ま、せっかくだから」


 水受けを排水溝と繋いで、プランターに培養土を入れる。


「種蒔いてから二〇日間で収穫できるって話だけど、この環境だったらもっと早くていいと思う」

「ええ? 二〇日間以下でできちゃうの?」

「特急で育つお宝のダイコンなんだ。培養土はバエちゃんの世界から持ってこられるのかな? このダイコン、土から栄養吸い上げる力が強いから、一度作ると土が痩せちゃうみたいなんだ。収穫したら土換えた方がいいよ」

「うん、わかった」

「一ヶ所につき三粒ずつ種蒔いてあるから、本葉が出たら一番強そうなやつだけ残して、間引いたやつはサラダにして食べちゃって」

「うんうん」


 バエちゃんったら物珍しそうに見てくるけど、マジで全然こういうものに関わりなかったみたいだな?


「バエちゃんとこの世界の人は畑とか作らないの?」

「農業に従事している専門の人だけだわねえ」

「なるほど、つまり完全に分業が進んでるとゆーことだな?」


 バエちゃんみたいな聖職者は、農業とほぼ関わらないようだ。

 確かにプロが作った方が効率がいいもんな。

 納得はできる。


「これでよし」

「難しいの?」

「簡単だよ。収穫までにバエちゃんがやるのは間引くとこだけ」

「そうなんだ? じゃあ楽しみに毎日見ることにする」


 成長の早い作物は見てるとワクワクすると思うよ。

 さて、やっぱり今日も新人さんには会えなかったか。


「じゃ、あたし帰る。またね」

「うん。またね」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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