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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第736話:世界樹切り出し作業終了

 デス爺が言う。


「木材はこれで充分とのことじゃ。協力を感謝すると」


 まだ午前中だけしか働いてないのに、もう充分なんだ?

 作業班頑張ったな。

 

「皆ありがとう。獲得した魔宝玉を分けまーす。うちのパーティーは魔宝玉いらないから、素材もらっていいかな?」

「ああ」

「もちろん構わねえ」

「やったあ!」


 人形系レアがたくさんいた頃の名残なのか、クレイジーパペットに比較的遭遇したので、ちょうど透輝珠と藍珠を全員にセットで渡せるくらいあるわ。

 あたしも『逆鱗』とあまり手に入れることのできない『ベヘモス香』の、レア素材二個を得られたので嬉しい。

 それにしてもピンクマン、今日はペペさんいてもあんまり挙動がぎこちなくないのな?

 サフラン効果かな?


「そーだ。ペペさん画集のモデルやってくれないかな?」

「「画集?」」


 ペペさんに頼むの忘れてたわ。

 あ、デス爺も知らなかったっけか。

 塔の村三人娘に聞いてないのな?


「イシュトバーンさんに女性画を描いてもらって、画集にして売るっていう試みだよ」

「この前塔の村へバルバロス殿を連れてきた時、イシュトバーン殿もいたのは画集の含みだったのか?」

「うん。あの時はエルレイカリリーにモデルを頼みに行ったの」

「描くのはイシュトバーンさん? 別にいいわよ?」

「ありがとう! ちょっと日が決まらないけど、一週間以内の夜になる。ギルドで寝て待っててくれる? 結界張ってあるペペさん家には連絡取れないから」

「うん、わかったあ」


 ダンが言う。


「あんた、手あたり次第声かけてるんじゃねえだろうな?」

「そんなことあるか。いい女じゃないと描かない絵師だぞ?」

「おお、エロジジイだったな。で、モデルは誰だ?」

「今のところ考えてるのは二〇人だよ。もう描けてる人もまだ頼んでない人もいるけど」

「例えばどんなやつらだ?」

「あたしとサフランとペペさんでしょ? 塔の村の皇女とあたしじゃない方の精霊使いとおっぱい大きめ火魔法使い、黄の民の輸送隊副隊長、青の民の族長、緑の民の冒険者エルマ、マルーさんの孫娘、クエストで会った人形、海の女王、森エルフの族長、ほこら守りの村の幼女預言者と少女霊、チュートリアルルームのバエちゃんとその上司、ソル君パーティーのアンセリ、ギルドのおっぱいさんっていうラインナップ」

「すごいメンバーだな」

「光栄ですわ」


 ピンクマンの呟きにすごいメンバーの一人サフランが答える。

 ……ナチュラルにグッジョブだぞピンクマンニヤニヤ。


「販売ルートは決まってるのか?」

「いや、まだなんだ」


 といってもヨハンさんにお任せになると思う。

 ただ画集には輸出も関係するから、ヨハンさん以外の商人にも絡んで欲しいんだよな。

 輸出に関してドーラ行政府や帝国の貿易商と交渉できる商人が増えて欲しいのだ。


「最終的には、印刷物とか紙を扱ってるヘリオス・トニックっていうレイノスの商人さんに頼むことになりそうだけど」


 ダンが言う。


「俺に『精霊使いユーラシアのサーガ』の執筆を依頼してきたのそいつだぞ」

「あたしを死亡扱いにしたのはヘリオスさんだったか。しめた! 有利に交渉できるなー」

「ヘリオスさんが哀れに思えてきたぜ」

「思えてきたぬ!」


 アハハと笑う。

 よしよし、ヴィルいい子。


「ところでペペさん。制作頼んでた水魔法どうなってるかな?」

「作り終わったわよ」

「おお、さすが!」


 相変わらず仕事早いな、感心するわ。

 スキル作るのって大変なんでしょ?

 今回の依頼は、あんまペペさんのアートでロマンでドリームなハートを刺激しないんじゃないかと心配してたのに。


 ピンクマンが聞いてくる。


「水魔法というと、最近道具屋で売り始めた『アクアクリエイト』のスキルスクロールか? あれにユーラシアが関わっているのか?」

「名前からしてそれだな。ペペさん、説明してよ」

「術者の魔法力に関係なくコップ四、五杯分の水を生み出すという魔法よ。制御が難しいので、『プチウォーター』のようにノーコストにはならなかったけど。輸出するから作ってと、ユーラシアちゃんに言われたの」

「「「輸出?」」」


 意外みたいだな?

 デス爺以外はあのお茶飲んだことないし。


「……飲み水を出せる魔法となると、確かに有用ではあるが」

「すごくおいしいお茶作ってるとこ見つけたんだよ。でもそのお茶、ピュアな水じゃないとおいしくなんないの」

「ああ、だから魔法の水が必要なのか」

「プリンスの信用使って帝国の貴族とか大商人向けにお茶と水魔法スクロールをセットで売って、ぼろ儲けしてやろうと思ってる」


 一本売れたらいくらの契約にすれば、ペペさんもかなりの収入になるんじゃないかな。

 スキル制作などとゆー特異な技術を持ってるペペさんは経済的に潤ってもらいたいのだ。


 ピンクマンが言う。


「プリンス? 新大使として赴任したルキウス皇子のことか」

「カールは知らなかったか。最近こいつ、新大使の皇子を贔屓にしてるんだぜ? カル帝国の最高実力者の第二皇子だかは、ドーラ侵攻を計画したやつだから有害。追い落として新大使を次期皇帝にしたいんだとよ」

「何と!」


 ダンは面白おかしく言ってて、間違いではないんだけど。


「いや、ドーラ側でできることが少ないから、簡単に皇帝を立てられるなんて考えてないよ? でもプリンスルキウスの大使としてのお仕事に協力することで、存在感を高めてやることはできるから」

「対抗馬として育てよう、ということだな?」


 こっくり。


「ドーラのためにもなることなんだ。プリンスが推薦してくれれば、知名度と信用でドーラの産物は売れるじゃん? 移民の大量流入と合わせて、ドーラを飛躍的に発展させるチャンスだよ」

「ユーラシアさんの計画は夢がありますね」

「ロマンねえ」

「ハッハッハッ、サフランとペペさんは純粋だなあ。そこの男どもはあたしのことを、また胡散臭いこと企んでるとしか思ってないのに」

「「「!」」」


 だからわかるとゆーのに。

 胡散臭くはないとゆーのに。


「胡散臭くないぬよ?」

「だよねえ」


 よしよし、ヴィルはあたしに忠実でいい子だね。


「ごちそうさま。皆今日はありがとう。えーと、ここで解散でいいかな?」

「ああ」

「特に問題はないだろう」

「問題ないぬ!」


 アハハと笑って解散、転移の玉を起動して帰宅する。

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