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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第733話:信用できるかー!

 フイィィーンシュパパパッ。


「ユーちゃん、いらっしゃい」


 緑の村の版画屋へ行ってから、チュートリアルルームへ様子を見に来た。

 今日は夕御飯食べて寝るだけだな。


「お土産のお肉だよ」

「やったあ!」


 小躍りするバエちゃん。

 しーん。


「あれっ? 今日のユーちゃんは何だか静かなのね?」

「よくわかったね。それには海よりも深い理由があるんだよ」

「あっ、調子が出てきたわね」


 アハハと笑い合う。


「例の画集の計画、本格的に動き始めたんだ」

「よかったじゃないの。ユーちゃんが大人しい理由とどう関係するのかわからないけど」

「アンセリの二人いるじゃん?」

「ソール君のパーティーメンバーの女の子よね?」

「そうそう。今日あの二人の絵をギルドで描かせてもらってさ。盛り上がる盛り上がる」

「えっ?」


 バエちゃんはイシュトバーンさんの絵を知らなかったな。

 絵を描いてて盛り上がるってのがイメージできないか。


「絵師のイシュトバーンさんって人が謎技術を持ってるんだよね。描いた絵がどーゆーわけかえっちに見えてしまうという」

「そうなの?」

「うん。モデルのポーズがどうだってわけじゃないんだよ? ふつーの肖像画と何が違うんだって言われても指摘できないのにえっちなんだよね」

「不思議ねえ」


 不思議としか言いようがない。

 だから間違いなく売れると断言できるわけだが。


「だから後ろで絵を描くとこ見てた男性陣が盛り上がる盛り上がる」

「ああ、少しわかった気がするわ」

「画伯コールが起きてたわ」

「ふうん、絵を描くところ自体がショーになっちゃうわね」

「おおう、ショー仕立てはいいな。バエちゃん頭いい!」

「そ、そお?」


 嬉しそうにクネクネするバエちゃん。

 ただしショーとして見物料をいただくのは違う気がする。

 何故なら絵を描いてる時のイシュトバーンさんは商人モードじゃないから。

 絵を描いてるところ見せるのはありだけど、あくまで画集の宣伝か、あるいは何かのおまけ要素と捉えた方がよさそう。


「で、えっちな絵で盛り上がってる感情ってのは、どーもヴィルにとってはお酒飲んでいい気分になってる時の感情に似てるらしいんだ」

「ということは、ヴィルちゃんは寝ちゃう?」

「そゆこと! ヴィルを起こさないように静かにしてたから、あたしがさっきチュートリアルルームに来た端は静かだったのでした!」

「答え合わせまでに時間がかかったわねえ」


 アハハ、まあいいじゃないか。

 ドーラは今日の午前中雨降ってた。

 クエストに出かける連中も少なかったろうから、チュートリアルルームも暇だったろ。

 時間かけて正解だと思うわ。


「寝てるヴィルも可愛いから、ほっぺたをぷにぷにしてたわ。ところでバエちゃんとシスターの絵を描かせてもらいたいんだけど、いつがいいかな?」

「私はいつでもいいわよ。シスター・テレサの都合はわからないから、早めに聞いとくね」

「お願いしまーす」


 こっちはこれでよし、と。

 画集は順風満帆です、ようそろー。


「さて、本日のメインイベントです。例の新人さん来た?」

「午前中に来たの!」


 バエちゃんが『悪い子』と評する、ピンクマン担当の子だ。

 あれだけ放置してたのに、前回から四日で来たのか。

 相当気にはなってるようだな。

 人馴れしない野生動物に餌付けしてる気分だ。


「ドーラは雨だったからな。やることなくてチュートリアルルームの様子を見にきたのかもしれない」

「ユーちゃんに言われたように、『アトラスの冒険者』の実態と現状を話したの。見違えるように熱心に聞いてたわ」

「うんうん、興味のあるポイントのド真ん中だろうね。新人さんの住んでる場所わかる?」


 レベル二であることからすると、おそらくは魔物の生息している場所。

 『アトラスの冒険者』に不信感を持ってて実態と現状に食いつくなら、カトマスみたいに情報の得やすいところではない。


「クルクルっていう、小さな村だって。ユーちゃん知ってる?」

「知らないな。ということは西域の自由開拓民集落のどこかだと思う」

「あっ、そう言ってた!」


 西域の子だと、レイノスやカトマスへの憧れもあるだろう。

 とっととこっちの世界に飛び込んできてもいいものだが。

 もう一つきっかけが足りないらしい。


「あとちょっとだな。先輩冒険者の意見聞ければ、活動始めると思うよ」

「今日ちょうどカールさんとサフランさんが来てくれたのよ。でもダメだったわ」

「え? あの二人のレベル見れば納得するでしょ?」


 新人さんは『サーチャー』とかいう、他者のレベルを知ることのできる固有能力持ちということだった。

 ピンクマンはレベル五〇以上は余裕であるし、サフランだってレベル三〇オーバーだ。

 レベルで判断する子ならさすがって思うはず。

 理論的で物知りなピンクマンの話を聞けば『アトラスの冒険者』になることを了承するだろ、普通。


「格好がおかしすぎる、信用できるかーって」

「あちゃー」


 御説ごもっとも過ぎて反論できないわ。

 あたしは慣れちゃってたが、ピンク尽くしの装いは確かに怪しい。

 おまけにサフランの黒ドレスは、そもそも冒険者に相応しくないしな。

 ってサフランは冒険者じゃなかったわ。


「巡り合わせが悪かったね。ピンクマンは実力ある冒険者なのに、格好で判断されちゃうとなー。でもあたしも初めてピンクマンに会った時、何て怪しいやつなんだと思ったから、新人さんが信用できるかーって感じたのも仕方ないわ」


 ピンクマンは変態紳士だしな。

 本来の予定通り、ソル君が面倒みていたならと考えざるを得ない。


「もっと冒険者らしい冒険者に会わせろーって騒ぐの。私としてはユーちゃんを紹介したいのだけれど」

「うーん、あたしも毎日来てるのに会えないもんな。縁がないのかもしれないし」


 こればっかりは仕方ない。


「でももう新人の子大丈夫だよ。『アトラスの冒険者』にハマってきてるから。武器を手に取ったあとは、すごく熱心に働く」

「そお?」

「バエちゃんの給料に必ず貢献するって。目をかけてあげるといいよ」

「わかった。ユーちゃんが言うなら」


 誰かちゃんとした冒険者に会いさえすれば、問題なく自身の活動を始めると思われる。

 割と面白い子なんじゃないか?

 近い内に会えるといいな。


「あたし帰るね」

「うん、またね」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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