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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第729話:パワーカード『撃ち滅ぼすもの』

 ――――――――――一四四日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「アルアさーん、おっはよー」

「はいよ。アンタは朝から元気だね」


 美少女精霊使いたるあたしが朝から元気なのは、それが神様から与えられた使命だからだ。

 誰だ、笑いの神だろなんて言ってるやつは。

 あえて否定はしないけれども。


 ともかく今日はまずパワーカード工房だ。

 昨日宝箱からザクザク素材が出てきたからなー。

 空箱と相まって家を狭くしてしまう。


「今日はフルメンバーかい? しかも随分と大荷物だね?」

「大荷物だぬ!」

「今請けてるクエストで、素材がてんこ盛りで出ちゃって」


 工房へはあたしとアトムで来ることが多いのだが、今日はヴィルまで含めた全員でないと素材が運べないのだ。


「換金お願いしまーす」

「あいよ」


 交換ポイントは一七〇一となる。

 おお、かなりポイント貯まったじゃないか。

 当然だが、こんなに一気にポイント増えたのは初めてだ。


「どうする? カードと交換していくかい?」

「今必要な新しいカードってないんだよね……アルアさん、物理攻撃に聖属性がつくカードって心当たりないかな?」


 しわ深い顔でじっと見つめてくるアルアさん。


「……かつてあったということは知っているが、アタシじゃ作れないねえ。聖属性が必要なのかい?」

「悪い悪魔を相手にしなきゃいけないっぽいんだ。あれば助かるの」


 とはゆーものの、聖属性付きのカードを持っていたとしても、バアルを必ず倒せるわけじゃないけどな?

 聖属性カードを持ってたヒバリさんでも逃げられちゃったみたいだし。

 あるいは必ず倒さなきゃいけないものでもない気がする。

 物好きと言われるのは承知の上だが、あたしはバアルの言い分も聞いてみたいのだ。


「情報があったら教えてあげるよ。でもあんまり期待しないでおくれ」

「はーい、お願いしまーす」


 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「宝箱とかけて大晦日と解く」

「その心は?」

「どちらも開ければ(明ければ)ハッピーでしょう」

「おお、綺麗にまとまってやすね」

「でしょ? 久しぶりに才能が溢れ出ちゃったなー」


 アハハと笑いながら一六個の宝箱を見渡す。

 本日もまたザクザク宝箱クエストにやってきたのだ。

 しかし……。


「まったくもってつまらん」

「同感です」

「同感だぜ」

「同感ね」


 何がつまらんって、全ての宝箱の蓋が開いてるのだ。

 どーゆーことだ。


「これはないでやすぜ」

「ふざけんな! 何が出るかな? 何が出るかな? のドキドキ感を返せー!」

「エンターテインメントのパーツすら感じられないね」

「どーゆーことだ! 主催者とっ捕まえて、エンターテインメントの何たるかをこんこんと説教してやりたいわ!」

「でも姐御はそういう面倒なことはやらないんでやしょう?」

「おゼゼがもらえないならね」


 アハハ、足りないエンタメ成分を掛け合いで補ったった。

 ん? クララは立札を読んでるね?


「……裏側の注意事項が増えています」

「ふーん?」


 注六:既に蓋の開いている宝箱は、内部のものに触れると開けたという扱いになります。


「デザイアーに任せてタッチするとアウトのケースがあるね」

「なるほど?」


 新しい趣向には違いない。

 でも当たりは引かないから関係ないな。


「あっ、じゃああんた達どれが当たりか予想してみなさい。その前にガンガンする人!」

「「「はい!」」」

「グオングオングオングオングオングオーン!」×四。


 うむ、惚れ惚れするようないい音だな。

 全然飽きない。

 相も変わらず心がスッとする。


「さて、選んでみようか。見るだけね」


 うちの子達がそれぞれの宝箱を見ていく。

 風景画、人物画、抽象画、犬の絵、細かい白黒の絵、片目の女性の像、手と足の像、レア素材『緑岩綿』、『ワイバーンの爪』五個、コモン素材詰め合わせ、現金五〇〇〇ゴールド、『ヒール』のスキルスクロール、『撃ち滅ぼすもの』のパワーカード、魔法の手袋、怪しげな銀色の円盤、箱一杯の魔法の葉の一六個だが?


「中が見えると余計に迷いますねえ」

「ヤベえとすると、中の見えない素材詰め合わせか魔法の葉?」

「メイビーシンプルじゃないね。アイシンク、トリックね」

「むしろ魔法の葉だけ置いて、他はもらっていきたいわ。当たりのわけないわと言いつつ、裏をかく罠だったり」


 アハハ、迷ってる迷ってる。

 うちの子達のこういう様子を見るのは、思ったより面白いぞ?

 ちょっとだけ主催者に感謝。


「さあどーれだ!」

「「「降参!」」」


 おっと降参か。


「正解はパワーカードでーす!」


 アトムの無念そうな顔もわかる。

 『撃ち滅ぼすもの』の説明書きに『【聖】、攻撃力+二〇%』とあるのだ。

 おそらくはヒバリさんの持っていたという、念願の聖属性攻撃カード。


「姐御、罰則覚悟でそのパワーカード取っちまう手もありやすぜ」

「あるねえ。でも主催者の狙いは完全にパワーカード取れだから、思い通りになるのはひっじょーに面白くないね」

「スルーね?」

「スルーだねえ」


 まあガッカリしなくてもいいよ。

 聖属性攻撃のカードの名前を知れたことだけでも収穫なんだから。

 銅鑼を思いっきり鳴らす。


「グオングオングオングオングオングオーン!」

「はーい、しゅ~りょ~! 心残りかもしれないけど、あたしは既に寂しい感情は吹っ切ったぞ? 宝箱一つ残すたびにどれほどの未練があったことか。ともかく今日もたくさんのお宝を手に入れることができました! 性格の悪い主催者に感謝!」


 さて検証だ。


「よくわかんないのはこの輪っかみたいな円盤だけど? マジックアイテムだよねえ?」

「イエス、ボス」

「あっ、外側の円周が刃になっていやすぜ!」

「ということは武器?」

「どうやら投擲武器のようですね」


 ふーむ、変わったものがあるもんだ。


「『ヒール』のスキルスクロールはどうしましょう?」

「アトム覚えといてくれる?」

「へい!」


 うちのパーティーではアトムのみ回復の魔法もバトルスキルも持っていないので一応。

 アトムが『ヒール』を使う場面なんかなくていいが。


「よーし、今日もいい感じだった! 最後にガンガンする人っ!」

「「「はい!」」」


 皆でガンガン鳴らしまくる。

 重要なパワーカードを手に入れ損ねたストレスが抜けていくなあ。

 満足したところで、転移の玉を起動し帰宅した。

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