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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第727話:モデルは二〇人

「スキルと言えば、精霊使いはなかなかおかしなスキル覚えてるだろ?」

「はい。特に『雑魚は往ね』と『リフレッシュ』は出色ですね」


 何故かスキルの話題で盛り上がるイシュトバーンさんとオニオンさん。

 おっぱいさんはモデルだから、あまり話しかけるわけにいかないというのはわかる。

 でもイシュトバーンさんがオニオンさんに興味持つのは、ちょっと予想外だな?


「イシュトバーンさんはオニオンさんのどこが面白いの?」

「これだけの美人のハートを射止める男には興味湧くじゃねえか」


 イシュトバーンさんはおっぱいさんがオニオンさんのこと好きってわかってたみたい。

 マジでやるなあ。

 赤タマネギとニッコリおっぱいさんのコントラストはなかなか。


「どこで気付いたの?」

「見ればわかるぜ。どうせあんたもわかってたから世話焼いてるんだろ?」

「いやー、初見じゃわかんなかったなー」


 イシュトバーンさんの眼力はかなりすごい。


「できる女のパートナーってのは案外難しいもんだ」

「うん、わかる」


 オニオンさんは謙遜するけど、知識が豊富でそれ以上に知的好奇心のある、尖ったところのない優しい人だ。

 おっぱいさんがキレのある人なだけに、包み込む真綿のようなオニオンさんはお似合いだと思う。

 理性でなのか本能でなのかはわかんないけど、おっぱいさん自身も自分にはオニオンさんが合うって理解してるしな。

 理解してないのはオニオンさんだけ。


「よし、大体描けた」

「実に素晴らしいねえ、実に素晴らしい」


 感動のあまり芸のないことを口にしてしまった。

 あたしらしくもない。

 おっぱいさんの美人さとボリュームと色っぽさ、イシュトバーンさんの謎技術が余すところなく表現されている絵だ。

 文句なし。

 オニオンさんとおっぱいさんにも見せる。


「こんなに綺麗に描いていただいて、ありがとうございます」

「とても美しいですね」

「実物とどっちが?」


 こら、茹でタマネギになるな。

 おっぱいさんニッコリ。


「イシュトバーンさん、ありがとう。これは画集の目玉になるわ」

「ハハッ、だろう?」

「予定通りこれはポスター禁止だな」

「ポスター? どういうことだ?」


 皆に説明する。


「版を作る業者が、画集とは別にポスター刷って売りたいって言ってたんだよ」

「はーん、許可したんだな?」

「版画屋さんにもいい目に遭って欲しいからね。でも二枚だけはポスターにするの禁止ってことにしてあるの」


 イシュトバーンさんがニヤニヤする。


「一番ウリになるところが見たきゃ画集買えってことか。ポスターが却って販促になると考えてるんだな?」

「そゆこと」

「もう一枚、ユーラシアさんがモデルのものをポスター販売しないということですか?」

「いや、あたしじゃなくて皇女リリーのやつをね」


 おっぱいさんの迫力画像と、もう一枚リリーの絵は帝国に輸出することを考えれば、ポスター売り禁止にしておきたい。

 帝国でのリリー人気は鉄板と知ったから。

 ドーラで販売するポスターは帝国に関係ないと思いたいけど、何らかのルートで画集発売前に帝国に流出するとえらいことだ。

 帝国での画集の売れ行きに影響してしまう。


 さて、お開きかな。

 おっぱいさんにお礼の透輝珠を渡す。


「本日はごちそうさまでした」

「ありがとうございました」

「おう、また来てくれ」

「おやすみなさーい」

「バイバイぬ!」


 オニオンさんとおっぱいさんが転移の玉を起動し、姿が見えなくなる。


「いやあ満足だぜ。あんたがおっぱいさんおっぱいさん言うのもよくわかる。まさしくおっぱいさんだったぜ」


 うんうん、実に同意。

 おっぱいさんしか言ってないけどな。

 本当に素晴らしいものは本質しか見えないから。


「絵師に満足してもらえると気分がいいなあ」

「次はいつ描かせてくれるんだ? 予定はあるのか?」

「おっと、言うの忘れてたわ。ドラゴンスレイヤーソル君のパーティーメンバーの二人から、絵のモデルの了承もらってるんだよ。明日の午後だけど大丈夫?」

「おう、覚えてるぜ。あの二人か。もちろん大丈夫だ」


 嬉しそうですね。

 アンセリもフレッシュ感溢れる女の子達だからなー。


「あとはどんなのからモデルのオーケーもらってるんだ?」

「えーとこの前会った塔の村の三人娘でしょ? お団子副隊長とチュートリアルルームの係員は言ったっけ? それから海の女王とエルフの族長、チュートリアルルームの係員の上司、緑の民のあたしの妹分の冒険者かな」

「ふむ、それ以外で考えてるのは?」

「ペペさんでしょ? 黒の民の呪術師、青の民セレシア族長、ほこら守りの村の幼女預言者と御神体の少女霊だね」

「おおう、バラエティに富んでるじゃねえか。様々なタイプのいい女に会えるってのは喜ばしい」

「喜ばしいぬ!」


 アハハと笑い合う。

 ヴィルの合いの手はタイミングが実にいい。


「一九人、あんたを加えれば二〇人か。人数としてちょうどいいだろう」

「うん、あたしも描いてくれる?」

「あんたは表紙だぜ。最初からの構想なんだ」

「表紙はおっぱいさんの方が、購買意欲をそそらない?」


 イシュトバーンさんがあたしを買ってくれるのは嬉しいが、あたしは画集を買ってもらえる方がより嬉しいのだ。


「いや、おっぱいさんは実際に画集を買って、開いて中を見たやつだけのお楽しみだぜ」

「なるほどー。その方が売れそーだな」


 ま、いいや。

 イシュトバーンさんにも考えがあるんだろ。

 構想に乗ってみよう。


「これ売れたら第二弾も考えてるのか?」

「いやー、新しいモデルを集める自信がないんだよね」

「モデルは同じでもいいじゃねえか」

「イシュトバーンさんはよくても、買う側の都合もあるじゃん?」


 イシュトバーンさんの絵ならモデルが全く一緒でも売れるとは思う。

 でも新鮮味がないからな。

 出すなら新しい趣向で出したいし。

 モデル次第だ。


「じゃ、あたし達も帰るね」

「おう、明日はどうすればいいんだ?」

「ギルドで描いてもらおうと思ってるんだ」


 イシュトバーンさんがえっちな目になる。


「冒険者からも口コミで宣伝しようってんだな? 実に商売熱心じゃねえか」

「普通だってばよ。昼過ぎくらいに迎えに来るね。今日の絵の完成したやつはその時に受け取ればいいかな?」

「おう、待ってるぜ」


 ヴィルを通常任務に戻し、転移の玉を起動し帰宅する。

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