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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第726話:天国まで損害賠償請求しに行く

 フイィィーンシュパパパッ。


「おう、来たか精霊使い!」

「来たんだぬ!」

「またこんなところにいて。体調崩すって」

「心配してくれるのかよ?」

「ポックリ逝って画集の計画がパーになったらどうしてくれるんだ。天国まで損害賠償請求しに行くぞ?」

「ハハッ、相変わらずひでえな」

「『地獄』じゃなくて『天国』のところに、あたしの気配りが垣間見えるだろーが」


 アハハと笑い合う。

 うちの子達はもちろんだが、今日はおっぱいさんとオニオンさんを連れてイシュトバーンさん家に来た。

 そして当たり前みたいに転送先に待ち構えていたイシュトバーンさん。

 日も暮れてるのに、庭の片隅は寒いぞ。

 自分の年齢考えなよ。


「紹介するね。魔境ガイドのオニオンさんと、ギルド依頼受付所のサクラさんだよ」

「「お招きに与り恐縮です」」

「おう、ゆっくりしてってくれ」


 ハハッ、オニオンさんとおっぱいさんの声がピッタリ合ってたわニヤニヤ。

 屋敷に案内される。


「で、どうする? 絵が先か飯が先か」

「そりゃ御飯だよ。でないとお腹を納得させられない」


 お腹が切なげに栄養を要求しています。

 今日のお昼は聖火教礼拝堂でいただいた。

 おいしかったけど、聖火教も食糧事情は大変だろうから、おかわりできなかったしな。


 それにしても?

 コソっとイシュトバーンさんに話しかける。


「……えらく大人しいね。おっぱいさん見てメチャクチャテンション上がるかと思ってたけど」

「……あんたが美人だおっぱいだ言う理由がわかったぜ。しかし本能が大人しくしてろと囁くんだ」

「わかる」


 うむ、おっぱいさんは逆らっちゃいけない系の人だから。

 一目で見抜くとは、さすがにイシュトバーンさんは見る目ある。


 屋敷の中へ。

 あ、もう肉の焼けた匂いが漂ってきている。

 ギルドの終わる時間は五時だって決まってるから、すぐに食べられるように用意していてくれたらしい。

 そして絵じゃなくて御飯が先だと完全に読まれていました。


「幸せの香りがする」

「ハハッ、すぐだ。もう少し待ってろ」


 意外だな?

 オニオンさんを興味深そうに見るイシュトバーンさん。


「オニオンさんは魔境ガイドとのことだが」

「あっ、あたしはオニオンさんって呼んでるけど、確か本名は別にあるんだった」

「そうなのかよ? 早く言えよ」

「ペコロスと申します」


 オニオンさんが頭を下げる。


「大変だろう? 我が儘な冒険者もいるから」

「何でこっち見るんだよ。失敬だな」


 アハハと皆で笑い合う。


「オニオンさんは物知りだからすごく頼りになるんだ」

「いえいえ、ユーラシアさんには大変お世話になっていて。魔境の魔物や植生の解明が大いに進みましたよ。いずれ本でも書きたいくらいです」

「こいつ一時期、高級魔宝玉を持ってこいってクエストやってたろ?」


 おっぱいさんの眼鏡がキラッと光ったような気がするけどスルーする。

 ヴィルが避難してきたわ。

 ぎゅっとしたろ。


「ウィッカーマンに一番詳しかったのはオニオンさんなんだよ。あれ倒せたのは、オニオンさんのおかげ」

「とんでもない。過分な評価です」

「ギルドも結構な利益になりました」

「ハハッ、バカな依頼者が精霊使いを侮ったからだ」


 おっぱいさんブラックなニッコリ。

 あっ、お肉焼けてきた!


「今朝、精霊使いが狩ってきた肉だぜ。この塩かけて食べてくれ」

「「「いただきます」」」


 炙りコブタ肉を口にするオニオンさんとおっぱいさん。

 ハッハッハッ、驚いてるね?

 炙りコブタ肉とフルコンブ塩の組み合わせは最強だよ。


「これは驚くほど美味しいですね!」

「ええ、本当に……この塩は何ですか?」


 おっぱいさんもさすが。

 塩が違うって気付いたか。


「海の王国産の特別な海藻を粉にして混ぜ込んだ塩だぜ」

「炙り焼きにこれが最高だって教わったの」


 感心しきりの二人。


「この海藻、帝国に輸出できるんじゃねえか?」

「うーん、海藻だけだと良さが伝わりにくいんじゃないかなあ。製塩事業起こしてフルコンブ塩にしてから、貴族向けにお肉の炙り焼き用として売った方が評判になるんじゃないかと思ってるんだ」

「一手間かけてぼったくるわけだな?」

「そうそう」

「ユーラシアさんがいろんなことを手がけてらっしゃるのは知っていましたが」

「そんなことよりどんどん食べてよ」

「あんたが仕切るなよ」


 笑いの中で食が進む。

 輸出は仕掛けどころが難しいな。

 輸出品の品数を増やしたいのは山々なんだが、第二皇子の出方によってはまた貿易が細るおそれもあるしな?


「ふーごちそうさまっ! もう入んない」

「入んないぬ!」

「ハハッ。じゃあサクラさんよ。絵を描かせてもらっていいかい?」

「はい、お願いします」

「おい、アレを」

「はい、ただ今」


 アレって何だろ?

 イシュトバーンさんがお付きの女性に指示を出してる。

 画材の他に必要なものがあるのか?

 描き方かポーズかに工夫があるらしい。


「これは……脚立?」

「そうだぜ。上から描くんだ」


 おっぱいさんに会ったこともないのに、大分考えてたみたいだな。

 脚立の上に画板と紙を設置し、自身は『遊歩』で浮遊して描くようだ。


「上を見上げるポーズで」

「はい」


 あっ、すごい!

 顎のラインがシャープでおっぱいさんの美しさを引き立てている。

 かつおっぱいの存在感も十分な構図になるじゃないか。

 もう描く前から名作の予感がするわ。


「やるなあ、イシュトバーンさん」

「だろ……しまったな。上からだと手元が暗い」

「あたしが『光る石』持ってようか?」

「おう、すまねえな」

「わっちも一つ持つぬ!」


 ヴィルとあたしが飛びながら『光る石』を持ち、見づらくなる影を消した。

 イシュトバーンさんが筆を進めていく。


「ペコロスさんは、魔境以外にはどんな特技があるんだ?」

「特技・魔境(笑)。オニオンさんはいろんなこと知ってるけど、特にスキルに詳しいかな」

「いえいえ、そんな……『初心者の館』の研究者に比べれば、ワタクシなどほんの少々齧っただけで」

「あたしの後輩のソル君も、オニオンさんのおかげでドラゴンスレイヤーになったようなもん」

「いやいや、ユーラシアさんの貢献の方がよっぽど」


 イシュトバーンさんはオニオンさんを気に入ったみたいだ。

 ところでソル君がゲレゲレさんから教わったスキルって何だったんろうな?

 今更ながら気になってきた。

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