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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第725話:おっぱいさんが初めて見せるラブサイン

 フイィィーンシュパパパッ。


「迎えに来ましたよー」

「いらっしゃいませ、ユーラシアさん」


 うちの子達とともに、魔境ベースキャンプへオニオンさんを迎えに来た。

 これからおっぱいさんも連れて、イシュトバーンさん家で会食だ。

 オニオンさん、ちょっと緊張してるっぽいな。


「魔境に来るとワクワクするねえ。いつもお淑やかなあたしの血が滾るよ」

「アハハハハ!」


 今、どこに笑いの要素があったかな?

 オニオンさん、テンションおかしくなってない?

 ま、いいか。


「本日のミッションを説明しまーす!」

「はい、お願いします」

「要するにおっぱいさんを画集のモデルにしたい。代わりにオニオンさんとの会食をセッティングしてくれっていう、おっぱいさんとの取り引きなんだよね」

「今聞いても信じられないんですけど、本当なんですよね?」

「本当だとゆーのに」


 もう一度説明しといてよかったわ。

 どーもオニオンさん浮き足立ってるみたいだったから。


「おっぱいさんが初めて見せるラブサインだぞ? 腹を括りなさい」

「は、はい。しかし何故ワタクシが……」

「眼鏡同士でお似合いだとゆーのに」


 考えてみれば人と人との相性とは不思議なものだ。

 でもあたしの見る限り、オニオンさんとおっぱいさんの相性はかなりいい。

 絶対にうまくいくから、その点は心配せんでいい。


「で、今からイシュトバーンさん家でおっぱいさんの絵を描いてもらって、夕御飯をごちそーになる寸法でーす」

「はい、ワタクシもお邪魔してしまってよろしいんですよね?」

「構わない構わない。イシュトバーンさんはイベント好きとゆーか、面白いことが起こって欲しい人だから」

「粗相がないように気をつけねばなりませんね。緊張します」

「大丈夫だって」


 とゆーかおっぱいさんとあたし、美女が二人もいるのにイシュトバーンさんの機嫌が悪くなるわけないじゃん。


「確認するの忘れたけど、帰りは大丈夫なんだっけ? ギルドの職員さんは皆転移の玉持ってるんだよね?」

「はい、問題ないです。転移の玉は正規職員だけでなく、嘱託の店主も所持しておりますよ」


 ふむ、ならば帰りの心配はいらない、と。


「ベースキャンプは魔道の時計があるから便利だねえ」

「そうですね。勤務時間が定められていますから」


 魔道の時計はいかにも高価そうだ。

 あれ、ひょっとして黒妖石の小石固める技術使えば、魔道の時計も安く作れるのかな?

 もっとも正確な時間を知る必要性って、冒険者にはあまりないんだけど。

 皆時間にはアバウトだしな。

 ただうちには比較的時間に厳密なクララがいるから、あたしも七時過ぎには起こされるけれども。


「クエストで機械式のすごい格好いい時計手に入れたんだよ。でもメンテナンスできる職人がドーラにいないって話なんだ」

「ああ、残念なことですねえ」

「ドーラには発展の余地あり過ぎだよ。いろんな人が移民で来て欲しいなあ」


 多くの人がニッチな分野で活躍できるためには、どうしても人口が必要だ。

 スペシャリストは需要がないと食べていけないもんな。

 オニオンさんが笑って頷く。


「五時になりました。勤務時間終了です。ありがとうございました」

「ギルドでおっぱいさん誘ってこ」


 ベースキャンプにはギルド行きの転送魔法陣が設置されているのだ。

 地味に便利だなあ。

 

 フイィィーンシュパパパッ。

 ギルドにやって来た。

 やはりもうポロックさんは帰ったようだ。

 中に足を踏み入れる。


「御主人!」


 ヴィルが飛びついてくる。

 おっぱいさんに構ってもらっていたか。

 よしよし、いい子。


「ユーラシアさん、ペコロスさん、今日はよろしくお願いします」


 おっぱいさんが頭を下げる。

 揺れる。


「じゃあ行こうか。あっ、ちょっと待って!」


 お店ゾーンで一人突っ伏している小柄な魔道士がいる。

 言わずと知れたペペさんだが。


「たのもう!」

「ふあっ?」


 突っ伏していた店主が飛び起きる。


「あっ、ユーラシアちゃん!」

「こんにちはー、こんばんはかな?」

「私的にはおはようかな」


 アハハと笑い合う。

 おっと、どうでもいい個人的解釈より重要な用件が。


「ペペさんにちょっと聞きたいことがあるんだよ。例の折れちゃった世界樹、今どうなってるかな?」

「どうって、放置してるわよ?」

「もらっちゃってもいいかなあ?」

「えっ? 所有者がいないから構わないでしょうけど、あんなもの一体どうするの?」


 そりゃ不思議だろう。

 説明する。


「帝国から移民が一杯来るでしょ? 移民が住むと目されてる掃討戦の跡地の開拓に従事してる人からさ。木材が足んないって指摘があったんだ。ちょうどいいから世界樹の残骸を使おうかと思って」

「あっ、有効利用ってことね! えっ、ちょっと待って? どうやって持っていくの?」

「現地で風魔法使って斬って小さくするでしょ? それをデス爺の転移術で、掃討戦跡地の今開墾進めてるところまで運べばいいかなって考えてる」

「なるほどお!」


 納得いただけたようだ。

 こういう表情のペペさんはマジ幼女だな。


「私も手伝った方がいい?」


 何の手伝いだ。

 ロマン砲撃たれたりすると、全てが台無しになるからいらん。

 撃たせないためには……。


「……手伝いは特に必要ないけど、案内は欲しいかな。お弁当持っていくから、当日一緒に食べない?」

「あっ、食べる食べる! 嬉しい!」


 ペペさんも食べ物で釣れるタイプの人だ……やたらと食べるから、ペペさん用に三つくらい余計にお弁当買っておくことにしよう。


「明後日の朝、ギルドで待ち合わせでいいかな?」

「わかったわ。ギルドで寝てることにする」

「寝てるのかよ」


 再びアハハと笑い合う。

 明日中にデス爺とカラーズの族長連に連絡すれば、移民用の材木確保の件は問題ないだろ。

 ところでペペさんの睡眠時間って、一日どれくらいなんだろうな?


「とっくに五時過ぎたって気付いてた?」

「あっ、もうそんな時間だった?」

「お家で寝た方がゆっくりできるよ」

「帰るわ。じゃ、明後日の朝ね」

「ばいばーい」

「バイバイぬ!」


 ペペさんが荷物をまとめ始める。

 水魔法の進捗とモデルの依頼についても聞いておきたいが、急ぎの用ではないしな。

 明後日以降でいいだろ。


「お待たせ。ギルカ出してくれる?」


 フレンドで転移の珠を起動、オニオンさんとおっぱいさんを連れて、一旦ホームへ。

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