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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第722話:聖火教徒、緊急の会議

 さらにイシュトバーンさんが教えてくれる。


「邪神像と一三の魔物人形は作者同じだぜ。熱狂的なファンがいる」

「作者一緒なん? そしてやっぱ邪神像なのか。うちの子達がこれ枕元に飾ってるんだよ。止めさせる方法ないかなあ?」

「いい趣味じゃねえか」

「悪い趣味じゃないかなー?」

「高価なものだぜ? 金を枕元に置いてると思えばいい」

「おゼゼを枕元に飾るんだったら、あたしも文句言わないのに。あのフィギュアは魔除けって言われた方が腑に落ちるよ。いや、魔寄せかな?」

「結構な芸術品なんだぜ?」

「芸術って言っておけば何でも許されるのには物申したい」

「やけにつっかかるじゃねえか。どうした? 腹でも減ったのか?」

「減ったけれども!」


 笑うな。

 まだお昼まで時間あるし。


「そーだ。コブタマンの骨いる?」

「骨?」

「いいダシがとれるの。うちではいつもコブタマンの骨を煮たスープをストックしてあるんだよ」

「ほお。もらっていいか?」

「美術品と一緒に持っていくよ」


 結構な量だったので、うちの子達にも手伝ってもらい、イシュトバーンさん家に運んだ。

 でも一番持っていって欲しかったフィギュア群は、変わらず枕元なのだ。

 解せぬ?


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「お肉はここじゃなくて北の開拓地の方がいいよね。クララ、お願い」

「はい。フライ!」


 聖火教の本部礼拝堂にやって来た。

 帝国の山の集落から移住してきた人達が住む北へ飛ぶ。


「精霊使いユーラシアがお肉とともに参上!」

「これは精霊使い殿!」


 皆が集まり、もじゃもじゃの長老が話しかけてきた。


「かなり落ち着いたねえ。お肉お土産に持ってきたから、皆で食べてね」

「これはこれは、すみませんな」


 村人達の嬉しそうなこと。

 やはりお肉は絶対正義にして平和の象徴。


「それからこっちは不思議な箱」

「箱?」


 皆が首をかしげる。


「丈夫そうな箱ですな? 宝箱にも見えますが」

「あたしが今請けてるクエストで手に入る宝箱だよ。これ聖風樹製でね、中に入れといたものが悪くなりにくいっていう性質があるの。例えば中にお肉入れとくとするでしょ? 蓋開けなきゃ一ヶ月は持つって」

「ほう、それは大層なものを」

「いくつか置いてくから、有効に使ってね」


 どっと沸く村人達。

 喜んでもらえるのはいいとして……。


「今日は聖騎士やハイプリーストは見回りしてないの? ここ、魔物が出ることあるんだよ。危ないのになあ」

「いやいや、パワーカードがあるので何とかなりますぞ。今、緊急の会議をしておるようで、ここを離れているのです」

「会議?」


 しかも緊急?

 戦争終わってドーラ独立も果たしたのに穏やかじゃないね。

 こんなのんびりした場所なのに何ぞ?


「先ほどパラキアスという、なかなかに精悍な男がまいりまして、緊急の情報が入ったということで主だった者が礼拝堂に集められたのです」

「ふーん? なのに長老が呼ばれないってことは、多分広い意味での聖火教の運営に関わることだから……」


 聖火教徒の移民が予想よりかなり多いということを早船で知ったっぽいな。

 パラキアスさんもそれを知らせに来たんだろう。


「あたしにも関係あることみたいだから行ってくる!」

「はい、よろしくお願いいたしますぞ!」


 本部礼拝堂へ急ぐ。


「こんにちはー」

「あっ、精霊使いさん! 本当に来た!」

「はい?」


 修道女の反応がおかしい。

 どーゆーこと?


「パラキアス様が仰っていたのです。精霊使いはカンがいいから、面白そうな予感を嗅ぎつけて現れるかもしれない。もし来たら通せと」

「もーヒロインは遅れて登場するからって理由にしてくれればいいのに」


 笑いながら奥の間へ通される。


「こんにちはー」

「やはり来たか、ユーラシア」


 パラキアスさんが笑顔で言う。

 他にいるのは大祭司のミスティさんに聖騎士二人と男性のハイプリースト二人、女性のハイプリーストおそらく修道女長が一人だ。


「移民のこと聞いたか?」

「聞いた聞いた」

「情報をすり合わせよう。君の聞いたことを教えてくれ」

「移民の第一陣約九五〇人を乗せた船が三日後にはレイノスに到着。内、聖火教徒が四〇〇人、年間通して一五〇〇人だって?」

「ほう、聖火教徒は一年で一五〇〇人か」


 あ、パラキアスさんそこまでは知らなかったか。


「確かな情報源だな?」

「うん。ついさっき聞いたところなんだ。聖火教徒の数多いからどうしようかと思って、ミスティさんに相談しに来たの」


 確かな情報源とは、『全てを知る者』こと本の世界のマスターであるアリスからの情報であることを意味する。

 ミスティさんが言う。


「……年間一五〇〇人ならば予想の範囲内です」

「でも初回でいきなり四〇〇人は難しくない? 掃討戦跡地は余裕あるから、ムリなら向こうで引き受けるよ」


 山の集落からの移民はビックリするほど馴染んでいた。

 よほど信徒達が頑張ったんだろう。

 これ以上は負担が大き過ぎるんじゃないか。


「ワフロス、地図を」

「はっ!」


 ミスティさんの指示でハイプリーストワッフーが地図を広げる。

 礼拝堂周辺の様子がよくわかる地図だ。

 信徒達が描いたのかな?

 ミスティさんが指差しながら説明する。


「ここからここまでが池、こちらが岩場の崖になっています。一帯から魔物を駆逐できれば、居住区を確保できます」


 皆が押し黙る。

 いや、ミスティさんの言うこともわかるけど、やたらと広くね?


「ユーラシアさん。手伝っていただけませんか?」

「あたしは構わないけど」


 うちのパーティーだけじゃどうにもなんないぞ、これ。

 かといって移民を受け入れていかなきゃいけない聖火教に、他の冒険者を雇うほど余裕はないだろうし。

 聖騎士やハイプリーストは非戦闘民を守るのが精一杯だろうし。


「ミスティ。聖水はどれほどある?」


 パラキアスさんの発言だ。

 聖水じゃ魔物はやっつけられないだろ。

 寄せつけなくすることくらいしかできないんじゃないの?


「いくらでも」

「おおう、いくらでもってすげえ!」

「ならば信徒全員を使って、聖水で魔物を端まで追い込め。追い込んだ魔物をユーラシアがまとめて始末することは可能じゃないか?」

「あっ、狭い範囲に追い込んでくれれば、退治は任されるよ!」


 聖水をふんだんに使えると、こういう力技ができるのか。

 好きだなあ、パワープレイ。

 腕が鳴るぞー。

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