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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第717話:お肉を食べたいです

「ユーラシアさん、お肉を食べたいです」

「はい?」


 顔を見るなり何言ってるんだ、この眼鏡白エルフは。

 それともエルフ流の挨拶なのかな?

 カナダライさんが宥める。


「族長、諦めてください」

「諦めたらそこで試合終了ですよ?」

「何の試合だ」


 どーゆーことだってばよ?


「族長は最近、肉食がマイブームのようでして」

「ははあ?」


 まあアビーの気持ちはわかる。

 お肉は世界平和の象徴だしな。


「この辺で食べられる肉と言えば、ウサギか野鳥くらいのものなのです」

「両方ともおいしいお肉だと思うけど?」

「おいしいですけれども! 私の身体は脂を求めているのです!」

「わかる」


 痛いほど共感できてしまう。

 サッパリ系の肉は確かにおいしいけれども、それだけじゃ舌も頭も消化器官も納得しないのだ。

 脂の暴力に屈したい切なる思い。


 いや、アビーみたいな天然の言うことに共感するのは、人間としてアウトな気もちょっとだけする。

 ただアビーは自分の欲望に正直だからなのか、その欲求はあたしの心に直接響くんだよな。

 

「ちょっと待ってて。すぐ戻る」


 転移の玉を起動して帰宅、コブタ肉を持ち、取って返す。


「ただいまっ! お肉参上!」

「まあ素敵!」

「脂が乗ってることに関しては定評のあるお肉だよ。焼いてみて」

「ええ、ありがとうございます!」


 家政婦さんにコブタ肉を渡すと、早速厨房で焼き始めた。


「ユーラシア殿。今のは何の肉ですかな?」

「コブタマンっていう魔物の肉だよ。煮ても焼いてもおいしいから、時々狩ってキープしてあるんだ。うちの主食だね」


 あ、もう焼けてきた。


「これです! このジューシーな脂です!」

「実によくわかる」


 アビー大喜びだ。

 あたしも一口いただく。

 うむ、まあまあ。


「はむはむ、大変美味です!」

「よかったねえ」


 ただ焼いて塩を振っただけだ。

 炙り焼きしてフルコンブ塩したものには勝てない。

 いずれアビーにもうまーい調理法で食べさせてやりたいな。


「族長、ユーラシア殿から要望が出ておりましたが」

「何でしょう?」

「おっと、何故かいきなりお肉イベントになったから忘れてた。こういうの」


 例のクララの絵を見せる。


「美人絵画集を作って売るんだけど、アビーにもモデルになって欲しいんだ」

「よろしいですよ」

「やたっ!」


 よーし、アビーも確保だな。


「今日のコブタ肉は大体どうやったって美味いんだけど、その中でも至高とされている食べ方があるんだよ。お礼としてそれ食べさせてあげるから、今度レイノス来てくれる?」

「もちろんです!」

「族長!」

「心配ならカナダライさんもおいでよ」

「そ、そういうことであれば……」

「ヴィルカモン!」

「何ですか?」

「悪魔召喚の呪文だよ」

「「悪魔?」」


 まー実際には召喚呪文ではないけどな。

 そーいや戦闘中でも即座に来るという、『召喚:ヴィル』の呪文って使ったことないわ。

 アビーとカナダライさんが疑問符浮かべてる内に来た。


「御主人に呼ばれてヴィル参上ぬ!」

「本当、可愛い悪魔ちゃんですね」


 うむ、問題はなさそう。

 アビーはヒバリさんパーティーの一員としてバアルと戦ったことあるはずだが、特に悪魔だからと言って抵抗はないみたいだな。

 カナダライさんはビックリしてるけど。


「好感情が好きないい悪魔ヴィルだよ。連絡がある時寄越すから、可愛がってやってね」

「わかりました」

「ヴィル、アビーとカナダライさんだよ。挨拶しときなさい」

「よろしくお願いしますぬ!」

「あ、ああ。よろしく」


 よしよしヴィルいい子。

 紹介もできたし、今日のノルマは達成だな。


「お肉の日が決まったら、連絡のためにヴィルを飛ばすからね」

「はい」

「じゃ、あたし帰る」

「あっ、ユーラシアさん待ってください!」


 ん、何だろ?


「ヴィルちゃんをぎゅーしていいですか?」

「あはは、いいよ」

「ぎゅー」

「ふおおおおおおおおお?」


 よかったね。

 転移の玉を起動、ヴィルを連れて帰宅する。


          ◇


 戻ったところでうちの子達と小会議だ。


「エルフの里であったことを報告します。アビーの頭がお肉に支配されていました」

「姐御、全然わからねえ」


 察しろ。


「だからコブタ肉を持っていったんですね?」

「おーさすがクララ! 絵のモデルは承知してもらったので、近い内にイシュトバーンさんのところ連れていくことになるな」


 三人が頷く。


「『ウインドエッセンス』のパワーカードは買ってきたよ」

「見た目ガールウィッチと世界樹は確認すべきね」

「うん。明日ギルドでペペさんに会えれば……」


 お茶用水魔法の開発がどこまで進んでるかも気になるしな。

 ペペさんは天才だから、その気になればすぐ完成するだろう。

 けどいつもと毛色の違う魔法にどれだけロマンを感じているかはわからん。


「話変わるけど、アビーにヴィルを会わせてきたんだよ」

「どうでやした?」

「どうということはなかったな。普通に受け入れてもらえた」

「気持ち良かったぬ!」


 クララが考えつつ言う。


「ヴィルがそう言うのならば、アビゲイルさんには特に悪魔に関しての悪感情はないのだと思います。しかし……」

「アビーは天然だからなー」


 海の女王は、ヒバリさんがドワーフとエルフと獣人を連れていた、と言っていた。

 アビーは一時的なパーティーメンバーではなく、レギュラーだったに違いない。

 となればヒバリさんがバアルと戦った場にいたはずだ。

 貴重な情報源には違いないのだが。


「リッスンしてみればいいね」

「そうなんだけど、アビーだからなー。単に悪魔と戦ったこと忘れてて、思い出した途端に怒り爆発させるとかありそうじゃない?」


 うちの子達が揃って難しげな顔になる。

 まさかでももしかして、とゆー顔だ。


「といっても突っ込んでみるしかないか。カナダライさんもヴィルを呼んだ時にいてさ。ビックリはしてたけど比較的冷静だったから」

「大丈夫だと思うぬよ?」

「だよね。じゃ、イシュトバーンさんとこ連れてった時に、バアルについても聞いてみようねえ」


 海の女王にヴィルを会わせるよりは、アビーにバアルのことを聞く方がうんとリスクは低い。

 いずれ女王にもヴィルを紹介したいってことはあるけどな。

 時期尚早だ。

 おそらくバアルの件が片付いてからになるだろう。


「よし、この話はここまで。宝箱漁りに行くぞーっ!」

「「「了解!」」」

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