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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第714話:大量の木材?

「おーい、フェイさーん!」

「おお、精霊使いユーラシアか」


 フェイさんは最近いつも黄の民のショップのところにいる。

 連絡を取りやすいのでありがたい。


「これ、イーチィ含め新人輸送隊員三人の装備品だよ。渡してあげてね」

「これはすまんな」

「今日はまだ、新人三人は輸送隊に組み入れられてないんだよね?」

「いや、三人ともレイノスへ行っているぞ」

「え?」


 何故に?

 レベル上げは終わってるから足手まといにはならないだろうけど。


「皆輸送隊任務を体験したい、レイノスを見聞したいという、三人のたっての希望でな。食事・弁当は支給するが給金はなし、という条件でついて行ったのだ」

「へー。やる気あるなあ」

「ちょうどアレクとケスが行ってるから、話が合うかもしれないね」

「あっ、そうだね」


 年齢の近い子同士で刺激し合うかも。

 いいことだ。


「精霊使いのアイデアのこれ、今日から試験的に出荷だ」

「何だっけ? ああ、積み木か」


 縁談デストロイイベントの際にインウェンに話した、木切れの形を揃えて重ねやすく遊びやすくした玩具だ。

 レイノスになら売れるかもと思ったのだが。


「仕事早いねえ。もう製品になってるんだ?」

「ヨハン氏に話したところ、値段次第で面白いとのことだったのでな。アイデア料はどうする?」

「いいよそんなの」


 安いから売れるのだ。

 黄の民にしてもゴミが売れるならくらいの気持ちだろうし。

 ん? フェイさんが真顔になったぞ?


「ところで掃討戦跡地に移民が大勢来ると、木材がたくさん必要になるのだ」

「そーか、家建てなきゃだもんねえ」


 正直食べ物の方に考えが行ってて、住む方までは気が回らなかったな。


「天幕くらいは持ってくるんだろうが、いつまでも天幕に頼るわけにもいかん」

「ちゃんとした住処が必要ってことか」

「この地に生えてる木だけでは早晩足りなくなるのは目に見えている。大量の木材に心当たりはないか?」

「木材?」


 木は専門外なんだけど。

 いずれ掃討戦跡地の北の森から魔物を追い出して木材を供給できるようにしたいけど、大がかりな作戦になるから当面はムリだな。

 大量の木材って言われても……。


「あっ、あるある!」

「何、本当か!」


 フェイさん嬉しそう。


「三ヶ月くらい前にペペさんっていう魔道士が、世界樹を根元から折っちゃったって事件があったんだ。あれそのまま放置してあるから持ってこよう!」


 サイナスさんが首をかしげる。


「世界樹を持ってくる? 一体どうやって?」

「デス爺はクー川西の転移石碑のところまで直接飛べるよね? じゃあ協力してもらおうよ。世界樹まで連れてって、風魔法でバラした部分部分を運んでもらえばいい」

「ハハハ、簡単に解決するものだな」

「サイナスさんはじっちゃん来た時、木材運び手伝ってくれって言っといてよ。あたしはペペさんに世界樹の確認取っとくから」

「わかった」


 誰かに『ユーラシアは折れた世界樹まで働かせる』とか言われそう。

 有効利用だとゆーのに。

 拾う神だとゆーのに。

 

「フェイさん、またね」

「おう、さらばだ」


 フェイさんに別れを告げ、緑の民の村へ。


          ◇


「ほう、これもいいな。この前のやつと同じ絵師か?」

「そうそう。画集用の絵だよ。全部で二〇枚くらいになる。描けた順に持ってくるから、版は頼むね」

「よし、金属版は一枚二〇〇ゴールドだ。で、刷り賃について相談なんだが」


 ん? 以前一冊当たり二〇ゴールドくらいになるって話じゃなかったか?

 刷り賃が高くなるなら考え直さなきゃいけないけど。


「これからもこのクラスの美人画を持ってくるんだろ?」

「もちろんだよ。絵師が美女美少女しか描こうとしないから。あたしもモデル集めるのが大変」

「ほほー、やるじゃねえか。こっちの条件を呑んでくれれば、刷り賃は三枚一ゴールドでいい」


 ということは一冊当たりの刷り賃は六、七ゴールドか。

 えらく安くなったな?

 ありがたいけれども……。


「条件は何なの?」

「こっちでも同じ版を使わせてくれ。ポスターを刷って販売したいんだ」

「ははあ、画集が出る前に一儲けしようという魂胆だね?」

「そ、そうとも言えるかな」


 怯む版画屋。


「いいよ」

「えっ?」


 意外だったかな?

 画集の主戦場は人口の多い帝国になるから、ドーラでポスター売ったって全然構わん。

 却っていい宣伝になるとみた。


「売り上げの二割はこっちに寄こしてね。代わりにポスターの販売価格についてはいくらでも文句言わないよ。画集にも隠し玉が欲しいから、モデル二人だけはポスターにするの禁止。金属版が傷んだらそっちで作り直し。どう?」

「よし、乗った! 二割でいいのかい? ありがたいね。で、今日原画もらったこの子の絵はポスターにしていいのかい?」

「いいよ。この前頼んだ精霊の絵あるじゃん? あれはちょっと事情があって画集に入れる予定がないんだけど、よかったらポスターにするのは可だよ」


 版画屋の喜ぶまいことか。


「本当かい? いや、実はこんなこと言いだしたのも、この前の絵が好評でな」

「よーし、お互いに儲けよう」


 握手。

 刷り賃が安くなったからギリギリ五〇ゴールドで売ることもできそう。

 でもどこかに販売委託するんだと、そっちも儲けさせてやらないといけないしな。

 やはり小売価格は六〇ゴールドか。


「じゃねー」

「おう、またな!」


 さて、次は赤の民の村だな。

 サイナスさんが聞いてくる。


「ポスターは許してよかったのかい?」

「いいよ。海賊版作られるよりよっぽどマシだな。版画屋さんも小遣い稼ぎしたいだろうし、いい目をみれば次も気持ちよく仕事してくれるよ」

「ユーラシアはマジで人を使う時、大らかだなあ」

「女神のようでしょ」

「名前に相応しいな」


 あたしの名前は汎神教神話上の地母神から取ったものだそーな。

 あたしはその神話知らんけど。


「で、お待ちかねの『光る石』スタンドだな」

「待ちかねられたぞ!」

「何だそれ?」

「あたしのセリフだってばよ。クララといいサイナスさんといい、何で楽しみなの?」


 サイナスさんとクララが言う。


「すごく楽しみだなあ」

「すごく楽しみですよ」

「答えになってねー!」


 便利は便利な道具かもしれんけど、あたしにとってさほど嬉しくない。

 大っぴらに売れないとなると萎えるんだが。

 クララが欲しがらなきゃお蔵入りのアイデアだったぞ?

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