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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第710話:ソル君の許可が出たぞ

 フイィィーンシュパパパッ。

 チュートリアルルームと塔の村に顔を出したあと、ギルドに来た。

 チュートリアルルームは特に変化なし、塔の村ではワイバーンの卵が大歓迎されたわ。

 ハッハッハッ、あたしを崇めろ。

 

「やあ、いらっしゃい。チャーミングなユーラシアさん。こんな時間に来るのは珍しいね?」

「こんにちはー、ポロックさん。たまには食堂で食べていこうかと思って」

「また空箱をたくさん持ってきたね?」

「『初心者の館』に配ってくるよ」


 階下へ降りる。

 研究者達ならこーゆーものを欲しがるんじゃないか説。

 有効に利用してくれりゃ、それはそれで嬉しい。


「聖風樹でできてる宝箱なんだ。中に入れといたものが、どーゆーわけだか悪くなりにくいの」

「ほう、聖風樹。こりゃあ貴重な宝箱だなあ。すまないね、もらってしまっていいのかい?」

「うん、もらってくれるとありがたいんだ。今まだ継続中のクエストで、どんどん宝箱が手に入るから、段々居住スペースが圧迫されてく恐怖」

「えっ? 意味がわからない」


 自分でもバカみたいだと思うけど事実だぞ?

 箱自体に価値があると知ったら放置しておけない乙女心。


「さすが宝箱だけあってきちんとした作りだな。総聖風樹製だとすると、蓋を開けさえしなければ、中のものが腐っていくスピードは二〇分の一くらいになるはずだ。例えば肉を入れといたとすると、一ヶ月は持つだろう」

「一ヶ月もなのかー。こっちこそ教えてくれてありがとう!」

「いやいや、どういたしまして」


 やっぱメッチャ使える宝箱やんけ。

 いよいよ全部回収してこなければいけない。

 『初心者の館』にはこういうことに詳しい人もいるんだなあ。

 階段を昇って、依頼受付所おっぱいさんの元へ。


「オニオンさんの了解取れたんだ。明後日の夜どうかな?」

「はい、大丈夫ですよ」

「よかった! じゃあ五時頃迎えに来るね」

「わかりました。お待ちしています」


 おっぱいさんニッコリ。

 よし、これで明後日の夜に、オニオンさんおっぱいさんの会食とイシュトバーンさんの絵か。

 おっぱいさんのどんなポーズを描きたがるか、興味あるなあ。


 さて、アイテムを処分せねばな。

 買い取り屋さんへ。

 結構な金額になった。

 何たって魔法の葉だけで一万ゴールド以上だしなあ。

 新入り輸送隊員用のパワーカードを購入してから食堂へ。


「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 先行させていたヴィルが飛びついてくる。

 ソル君パーティーに遊んでもらってたのか。

 よしよし、よかったね。


「ソル君、アンセリ、久しぶり」

「「「ユーラシアさん!」」」


 テーブルをくっつけて大きく使えるようにする。

 大将に注文入れて、と。


「ねえ、これもらってくれない?」

「何ですか、これ?」

「箱? あっ、宝箱ですね?」


 先ほど買い取り屋さんで処分した魔法の葉の入っていた二つの空き箱だ。


「これ聖風樹製の宝箱なんだ。中に入れたものが悪くなりにくいって特性があるの」

「食材の保存に最適ではないですか」

「でしょ? さっき『初心者の館』で聞いたんだけど、蓋開けなきゃお肉を入れといても一ヶ月腐らないって」


 アンセリ達の表情がほころぶ。

 最近は料理も教わってるんだろうから、こーゆーものはありがたいだろう。


「よろしいんですか? そんなに貴重なものをいただいてしまって」

「貴重かもしれないけど、もらって欲しいんだ。今請けてるクエストでどんどん手に入るの。段々居住空間がなくなってくから困ってるんだ」

「ユーラシアさんに起きている事態は測りがたいな」


 アンが笑う。


「代わりといっては何だけど、アンセリに請けてもらいたいお仕事があるんだよ」

「「何でしょう?」」


 例のクララの絵を出す。


「これはセクシーですね。あっ、イシュトバーンさんの絵ですか?」


 ソル君が気付いたらしい。

 さすが男の子。


「イシュトバーンさんの絵は皆が見たがるじゃん? 画集出版しようと思ってるの。モデル二〇人くらいで、販売価格は六〇ゴールドの予定」

「「「六〇ゴールド?」」」


 驚く三人。

 

「すごく安いですね」

「今までの本の価格の常識からすると破格でしょ? かなーり売れるのは間違いないよ。で、モデル紹介しろって言われてるんだ。イシュトバーンさんはいい女じゃないと描きゃしないから、アンセリに頼もうと思ったの。ソル君、いいかな?」

「どうしてオレに聞くんですか?」

「いくらアンセリを口説いても、ソル君が嫌ならこの話は流れるじゃん」


 そら見ろ、アンセリも頷いてるだろうが。

 二人がソル君の嫁なのは衆目の一致するところなんだぞニヤニヤ。


「……アンとセリカがいいなら」

「やたっ! ソル君の許可が出たぞ! いつが空いてる?」


 アンセリの許可?

 いらないだろ、そんなん。

 えーと三日後の午後ね。


「ありがとう! 大ヒットさせてみせるからね」

「発行部数はどれくらいを予定してるんですか?」

「予定じゃなくて予想だけど、一〇万部くらいかな」

「「「えっ!」」」

「いや、これ輸出もするつもりなの。帝国で大人気の皇女がこっち来てるでしょ?」

「リリー皇女ですよね?」

「リリーにもモデルオーケーもらってるんだ。知名度でドカーンと売るよ!」


 御飯が来たぞー。

 いただきまーす!


          ◇


「ふーごちそうさまっ!」

「満足だぬ!」


 ヴィルがあたしの気持ちを代弁してくれた。

 ギルドの御飯は安くておいしい、量も多い。

 素晴らしいなー。

 ハーブティーを手にしていたソル君が、何かを考えるような表情になっている。


「リリー皇女……飛空艇破壊後の報告の時にお目にかかって、お茶がおいしかったとユーラシアさんに伝えてくれと言われました。何のことだかわからなかったのですが」

「独立前にさ、リリーがお茶を欲しがってたんだ。塔の村じゃなかなか本物のお茶なんて手に入らないじゃん?」

「ええ」

「ちょうどドーラでお茶作ってるとこ見つけてさ。ドーラ産のをあげて感想聞かせてくれって言ってあったの。淹れるのメッチャ難しいけどすげえ美味しいお茶ってのもあるんだ。これも帝国の貴族向けに輸出する予定で、行政府が一括で買い上げることになってる」

「輸出が大事と見ていますか」

「ドーラの生命線って言っていいね。最初にいい印象与えておくと、貿易商の注目度は高くなるかと思ってる」


 来月には貿易再開だしな。

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