表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

679/2453

第679話:物好きにも程がある

「サイナスさん、こんばんはー」


 夕食後に恒例のヴィル通信だ。

 ちなみに今日もチュートリアルルームに新人は来てなかった。

 イベントが思い通り進行しないとヤキモキする乙女心。


『ああ、こんばんは』

「向かって北カラーズ方面は何事もなく?」

『何だ向かって北カラーズ方面って』


 あたしん家から見て向かって北に灰の民の村があるんだよ。

 あたしが帰ったあと、ヨハンさんラルフ君が緑の民の村に残ってたので、一応様子を聞いてみただけだ。


『ユーラシアには残念かもしれないけど、緑の民の村では何もなかったね』

「そーかー」


 本当にちょっぴり残念なのが悔しい。

 ただあたしが帰ってから愉快な展開になってたりしたら、それはそれで癪だしな?


『緑の民からの輸送隊の選抜をいつにするかって話が出たんだ。君の都合のいい時でいいらしいが、どうする?』


 選ばせてもらえるのは、毎度のことながら嬉しいな。

 メンバー決めちゃったら即レベリングした方が効率がいい。

 でも誰かフレンドで飛べる『アトラスの冒険者』に付き合ってもらわないといけない。

 緑の民が絡んでるからエルマがいいか。

 エルマの予定を聞いてこよう。


「あたしだけの都合で決められないな。でも明日と明後日はなし。三日後以降になる。決まったら連絡するよ」

『わかった。そう伝えておく』


 現在の輸送隊の人員が足りてないわけじゃないしな。

 ゆっくりでもいい。


「水路の開通はそろそろなんだっけ?」

『明日の朝に開通式だな。君も来るかい?』

「明日の午前中はレイノスなんだなー。午後どっかで見に行くと思う」


 魔境でクレソン取ってから行くのが最高だな。


『ふうん。ユーラシアの好きそうな式をスルーしてまでレイノスか。何があるんだ?』

「えーと、公開処刑イベント?」

『え?』

「だからユーラシアペナルティの」

『全然わからない』


 わかるまい。


「犯罪者に対して魔法の葉青汁を飲ませるって刑罰ができたんだよ。それに『ユーラシアペナルティ』っていう、輝かしくも神々しい名前がついたの」

『……どっちかと言うと不名誉な名称なんじゃないか?』

「やっぱサイナスさんも不名誉だと思う? これ新聞社が名付けて割と広まっちゃったんだ。今から訂正するの難しいんだよねえ」


 まあいい。

 名誉毀損を口実に新聞記者ズにも魔法の葉青汁飲ませよっと。


「でもこれ刑罰としてぬるいんじゃないかって意見と、逆に残酷極まるって意見があるらしいんだ。だから市民の皆様に御理解いただこうってゆー、啓蒙イベントを明日やることになったの」

『ふむ、具体的には?』

「道行く人に魔法の葉青汁を試飲してもらう。魔法の葉はあたしが提供するの」

『ははあ、それで公開処刑か。しかし?』


 あっ、サイナスさんもよくわかってないらしい。

 しめしめ。


『魔法の葉が苦いと、聞いたことはあるが』

「身体に害はないけど、只事じゃない不味さだよ。サイナスさんも試しに飲んでみる?」

『後学のためにいただこうかな』


 冗談のつもりだったのにマジで飲むのかよ?

 とゆーか正気かよ?

 サイナスさんが割と知りたがりってことはわかってたけど、物好きにも程があるだろ。


「じゃ、明日お土産で持っていくよ。どうせ余るだろうし」

『頼むね』


 頼まれたぞ?

 いいのか?

 しーらないっと。


「塔の村にも行ってきたんだ。デス爺とリリーの従者と、メキスさんっていう潜入工作兵の隊長さんに言っときたいことがあったから。主に大使として来たプリンスルキウスの立場と、ドーラの今後の立ち回りについて」

『その隊長さんというのは達者なのか?』


 ん? どういう意味かな?

 戦争で最前線の部隊の隊長を務めるのなんか、普通に考えて頑健な人に決まってると思うけど。


「普通に元気だよ。四〇前くらいの人だし」

『いや、そういうことじゃなくてな。敗軍の将だろう? 気落ちしてないかって心配なんだが』

「サイナスさんも意外と細かいね」


 あたしの中でメキスさんは重要人物扱いなんだが。


「大丈夫だよ。気配りの美少女精霊使いだからね」

『自称だろう?』

「気配りの超絶美少女精霊使いだからね」

『盛るなあ』


 笑い合う。


「帝国軍とゆーものを知ってる貴重な存在だし、ドーラではチヤホヤするよ」

『故郷には帰れないんだろう?』

「ちょっとムリだな。さすがに超絶美少女精霊使いの気配りが及ばない領域とゆーか、チャーミングユーラシアにも限界はあるとゆーか」


 潜入工作部隊の存在はドーラ独立の影の部分だ。

 ドーラは実質戦勝国の気分でいるから鷹揚に受け入れられるけど、帝国とってはなあ。

 特に第二皇子にとっては、自分の失敗を肩代わりしてくれるスケープゴートにしか見えないんじゃないの?

 将来ドーラと帝国が信頼で結ばれれば帰国できる目もあるかもしれないけど、何十年先のことになるやら。


「エルフに作り方教えてもらった温かくなるパワーカード、コルム兄にたくさん作ってって頼んできたよ。輸出するんだ」

『今からか? 冬の間じゃないと売れないだろう?』

「とゆーか来月の貿易正常化に間に合いそうな、目新しいブツが他にないんだよね」

『わけのわからないものは、認知させるのに時間がかかるんじゃないか?』

「プリンスルキウスに紹介レポート書いてもらってるから大丈夫」

『使い倒すなあ』


 ドーラのためだし、プリンスのためでもあるんだってばよ。


「おっぱいさんのオーケーもらったんだ。画集もいよいよスタートするよ」

『これも輸出するんだな?』

「する。ドーラだけだと頑張って五〇〇〇部くらいだろうね。けど帝国は人口多いから、輸送費で高くなっちゃうことを考えても、軽く一〇倍は売れそうじゃない?」

『五〇〇〇部って……まあいいけど』


 ドーラの男性人口が五万人として、一〇人に一人が買う勘定。

 五〇〇〇部は売れて欲しいものだ。


「残念なことに、『精霊使いユーラシアのサーガ』の執筆依頼はキャンセルになっちゃったんだって」

『ハハハ、モデル料を請求されると困るからだろう』

「もっと華々しい伝説をたくさん作ってからってことじゃない?」

『まあ大概にしておけよ?』


 本日は以上。


「じゃ、サイナスさんおやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 明日はレイノス、午後は魔境でクレソン取ってくるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ