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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第678話:悪趣味な催し

 ダンが話題を変えてきた。


「そういやあ、ユーラシアペナルティのイベントをやるって話なのか?」

「よく知ってるね。明日の午前中、レイノスの階段下広場でだよ」


 セレシアさんの服屋の前とも言う。


「ユーラシアペナルティって名前は迷惑なんだけど。魔法の葉青汁の刑でよくない?」

「インパクトとそこはかとない恐怖感が違うな。犯罪抑止力を重視したネーミングの方がいいぜ」


 そこはかとない恐怖感と犯罪抑止力があるのかよ。

 『ユーラシア』の方に?

 『ペナルティ』の方に?

 

「イベントがあることは皆知ってるのかな?」

「今朝の新聞に告知があったって、読んだ連中が言ってたんだぜ」

「新聞記事だったか。これ新聞社の主催なんだよ」

「前々から企画してたのか?」

「違くて。昨日レイノスで新聞記者ズに捕まってさ。面白いことやってくれって言われたの。魔法の葉青汁の、刑罰としての厳しさがイマイチ伝わってない問題点があるって聞いたからさ。いい機会だ、やってみよってことになったんだよ。魔法の葉はあたしが提供する」

「はーん?」


 ダンが面白そうな目を向けてくる。


「要するに魔法の葉の不味さを知らねえ一般大衆に飲ませて、反応を楽しもうっていう、悪趣味な催しだな?」

「そゆこと。笑えてくるでしょ?」

「笑えてくるな」


 ニヤニヤ。

 クララよ、またユー様はエンターテインメントで物事考えて、いつかバチ当たりますよなんて目で見るな。

 今回はバチを当てる試みの企画だわ。


「プリンスルキウスが刑罰として軽過ぎないかなんて寝ぼけたこと言いやがるから、飲ませてやろうかと思って」

「いよいよ笑えてくるな。俺も見に行くぜ」

「ダンが飲む分も用意しとくよ」

「全力で拒否する」


 遠慮深いな。

 今日奢ってもらったからお返ししたいのに。


「さて、帰ろうかな。あたしん家おいでよ。フレンドで飛ぶよ」

「デートのお誘いか?」

「空箱持ってけってことだよ。農場で使うでしょ?」

「おう、忘れてた」


 フレンドで転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


「パラキアスさーん、聞こえる?」


 ダンに宝箱の空き箱をたくさん引き取ってもらった後、ヴィルを介してパラキアスさんと連絡を取る。

 ちなみにあたしは次いつギルドへ行くかわからないので、おっぱいさん用の箱も持っていって渡してもらうことにした。


『よく聞こえる。ユーラシアだな?』

「うん。例のお茶の産地行きだけど、明後日の午前中どうだろ?」


 茶の産地ザバンへ、政府関係者からも訪問してもらいたかったのだ。


『構わんぞ。ザバンだな? では現地集合でいいか?』

「はーい、お願いしまーす」


 よーし、これで茶葉の生産にも気合い入るだろ。


『大使をレベル上げしてくれたらしいな』

「どう考えても必要だったから」

『完全に同意するが、君どうやって三時間でレベル五〇なんて離れ技ができるんだ?』

「魔境北辺に人形系レア魔物がすごくたくさん出るところがあるんだよ。デカダンスを狙って倒すの。あとペペさんから買った、戦闘中の獲得経験値が倍になるバトルスキルを併用してる」


 くぐもった笑い声がする。


『イシュトバーン殿に聞いていた通りか。まあ高レベルの人形系がキーなんだろうとは思ったが。なるほど、他の者にはマネできないな』

「プリンスはあたしが好きに玩具するね」

『ああ、好きに玩具してくれ。結果として大使を目立たせることになりそうだ』


 許可もらったぞ?


『では、二日後午前中にザバンで』

「うん。パラキアスさん、またね。ヴィルありがとう。通常任務に戻ってね」

『はいだぬ!』


 ヴィルはいい子だ。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「吾輩は宝箱である」

「姐御?」

「若き宝箱の悩み」

「ユー様?」

「宝箱畑でつかまえて」

「ボス?」


 うちの子達が何やら心配そうな目で見てくるけど。


「うん、最後のが一番いいかな。宝箱がゴロゴロ転がってる情景を想像できるねえ」

「いつものおふざけでやすかい?」

「昨日今日と真面目な展開だったからねえ。肩凝っちゃって」

「……真面目な展開がありましたっけ?」

「うんうん、なかったね。クララは偉い」

「えへへー」


 アトムとダンテが、また始まったぞーって顔をしている。


「……フーン、どことなくラフなインプレッションね?」

「あ、ダンテもわかるようになった?」


 この宝箱部屋、最初に比べるときちっとした感じが失われているのだ。

 艶がないとゆーか覇気がないとゆーか。

 部屋にそーゆー表現が適切かわからんけど。


「あっしはわからねえ」

「私もです」

「いや、宝箱の中身がアグレッシブなら、部屋なんかどうでもいいんだけどさ」


 うむ、問題は中身なのだ。


「立て札の記述、変化ありません」

「よーし、今日は五個ずつ三列、計一五個の宝箱か。真ん中が当たりだから開けないでね」

「姐御はどうしやす?」

「明日使う魔法の葉は十分足りるだろうから、今日はいいや。あんた達で開けなさい」

「「「了解!」」」


 景気良くいくか!


「グオングオングオングオングオングオーン!」


          ◇


 まあ今日は特筆すべきことはなかった。

 何故なら全ての宝箱から現金五〇〇〇ゴールドが出てきたから。


「締めて七万ゴールドか」

「ありがたいですね」

「うん、今現金いくらでも欲しいところだからありがたい」


 あったかパワーカードもだけど、輸出品増産のために先回りして資金を出さなきゃいけない時だから。

 ドーラ全体におゼゼがない今、これはドーラのヒロインたるあたしの役目なのだ。

 

「でもつまんないな。エンターテインメントの精神が足りないと思わない?」


 うちの子達が苦笑する。


「きっと魔法の葉をセットする時に全力出してるんですぜ?」

「嫌なこと言うなあ」


 あたししか魔法の葉引かないのは何故だ?

 導かれちゃうのか?


「ボスのエンターテインメントスピリッツがエクスプロージョンしてるからね」

「嫌なこと言うなあ」


 ただ全部の宝箱から現金とは芸がないな?

 まだ全部の宝箱から魔法の葉の方が、ネタとして面白い。


「お宝も品切れなのかもしれませんねえ」

「あり得るね。残念だなあ」


 こんな頭おかしいクエストがいつまでも続くとは思っていなかった。

 でも終わっちゃうと考えるのは寂しいもんだ。


「よーし、ガンガン鳴らして帰ろうか!」

「「「了解!」」」


 満足するまで銅鑼を鳴らし、転移の玉を起動し帰宅した。

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