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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第666話:ユーラシアペナルティは軽過ぎる?

「レイノスは中町と呼ばれる港周辺地区と、それを囲む外町じゃ税制が違うんだよ」

「同じ平民なんだろう? おかしなシステムだな。不公平だろうが」


 プリンスルキウスと話をしながらレイノス外町を歩く。

 目指すは行政府だ。


「港周辺地区中町の人達は、ドーラ独立前は帝国の市民権を持ってたんだって」

「ということは、帝国政府が税を徴収してたわけか」

「うん。プリンスは次席執政官として政治に関わってたんでしょ? ドーラがどういう統治されてたかは知らないの?」

「知らないな。統治は植民地大臣の、税は財務大臣の管轄だ」


 帝国は分野ごとにトップの役人がいて管轄が分かれてるわけか。

 政治に関する有能な人材が多いんだろうなあ。

 ほぼオルムスさん一人で取り仕切ってるドーラがどんだけ原始的かわかるわ。

 もっとも帝国とドーラでは人口が全然違うけれども。


「中町の住人は自分らが特権階級だと思ってるから、税金取られても当然だと感じてるみたい」

「ふうん? しかし独立後の今はもう帝国の市民権を持たないのだ。いずれは税制も正していかなければならないだろう?」

「まあねえ。オルムスさんも公平に税金を課して平等に公共サービスを提供するって言ってたんだけど、ドーラの実力者の間で揉めちゃってさあ。だってドーラ政府に税金取るだけの信用がないし、住民にもおゼゼがないじゃん? 三〇年はムリだぞって言ったった」

「だから当面は貿易を活発化して関税ないし手数料収入を増やし、国民全員から税金を取るのは後回しにするという考え方になるのか」 

「中町住人からは引き続き税金を徴収して、代わりに輸入品の入手しやすさで優遇するみたいだけどね」


 中町住人は納得できるのかなあ?

 破綻する前に何とかしなきゃいけないが……。


「皆から税金を取ろうと思うと、そのための組織を整えなきゃいけない。組織を維持するだけでたっかい税金取らなきゃいけなくなっちゃうでしょ? 一方でドーラには海の王国のナワバリの関係で、レイノスからしか輸出入できないって特殊性があるの。政府は貿易を独占して儲ける代わりに、住民からは税金を徴収しないでもいいかと思ってる。あくまで個人的にはだけど」


 要するに政府に収入があればいいのだ。

 いずれは上級市民から取り立ててる税もなしにすればいいんじゃないか?

 貿易以外にも何か政府事業による収入があればなおよい。


「小さな政府的な思考か。軍はどうする?」

「いらないな。今までもドーラには軍隊らしきものは、レイノスの警備兵くらいしかないし」

「あれは警察組織だろう? 争いになった時どうするんだ?」

「人間同士は争うより協力し合うなー。ドーラは人口少ないからかもしれないけど。戦争はものを消費するばっかりだから損なんだよね。生み出す方が面白くない?」

「まさに真理だ。しかし刑罰とそれを執行する機関は必要だろう?」


 あれ、誰か出てきた。


「ドーラ日報です。精霊使いユーラシアさん。そちらの帝国風スーツの紳士はどなたですか? 逢引きですか?」

「レイノスタイムズです。醜聞ですか密会ですかスキャンダルですか?」


 新聞記者ズでした。

 どうでもいいけど、いつもこの二人ペアだな。


「こちらにおわすお方をどなたと心得る! 恐れ多くもカル帝国第四皇子ルキウス殿下にあらせられるぞ! ええい頭が高い! 控えおろうっ!」

「「へへーっ!」」


 すぐさま這いつくばる新聞記者ズ。

 テンポがなかなかよかったな。

 プリンスもドーラの芸として喜んでくれるんじゃないか。


「無礼があって外交問題になると、マジで首ちょんぱになりかねないから注意ね」

「「へへーっ!」」

「……一番無礼なのは君のような気がするが」


 何を言ってるのだ。

 プリンスも大概だな。


「トータルで判断してよ。あたしに無礼がないとは言わないけど、それ以上に功績があるでしょ。味方にしておいた方が得だぞ?」

「ハハッ、自分で言うんだな」


 正論で抑え込んだった。

 それ以上にチャーミングだろって言わなくてよかったっぽい。

 空気を読めるあたし偉い。


「で、記者さん達はどうしたの? ネタがないの?」

「慢性的にネタ不足です!」

「ユーラシアさん、また何か新聞が売れそうなことやってくださいよ」

「しょうがないなー。ドーラの識字率を上げるための玩具っていうネタがあるんだよ。もう少ししたら紹介できるから、協力してくれないかな? 識字率が上がれば、当然新聞の売り上げも増えるでしょ?」

「「はい!」」

「小ネタだけど、魔法の葉青汁を飲ませるって罰則があるじゃん?」

「ユーラシアペナルティですね?」

「ユーラシアペナルティ?」


 プリンスが聞き咎めたようだ。

 罰則の名前はあたしだって不本意だけど、定着しちゃったみたいだから仕方ない。


「ドーラには犯罪者を留置しとくほど余裕がないじゃん? だから悪いことした人をとっ捕まえたら、魔法の葉青汁を飲ませて改心させようってことを、ドーラ独立で治安が悪くなることが予想された最近始めたの」

「ユーラシアさんが提唱されたと言うことで、そう命名させていただきました」

「あんたらが名前つけたのかよ! すごい迷惑だよもー!」


 こっちが笑ってるのに、プリンスは真面目顔ですね?


「刑罰として軽過ぎないか?」

「うん、軽いと思ってる人も多いみたい。でも残虐の極みだって言ってる人もいて、意識の格差が問題になってると聞いた」

「魔法の葉に馴染みがないですから、正直私どもも何が厳しいのかわからなくてですね……」

「じゃ、あたしが魔法の葉五〇〇枚くらい提供するから、魔法の葉青汁はこんなに不味いんだぞってゆーキャンペーンやろうよ。犯罪抑止効果もあるいいことだよ?」

「え、そりゃよろしいですけど……」


 戸惑いつつ頷く新聞記者ズ。

 どうやらプリンスも新聞記者ズも魔法の葉の地獄の味を知らんようだ。

 青汁飲ませたらどんな顔するか楽しみだなあ。

 あたしもザクザク宝箱クエストで手に入れた魔法の葉を有効活用できるわニヤニヤ。


「プリンスも協力してよ」

「構わんが、何をすればいい?」

「明後日午前中にやろう。記者さん達今から行政府来て。大階段下の広場の使用許可取るから。プリンスが賛成してるって言えば通るわ。で、プリンスも明後日来てくれると嬉しいな。レイノス市民にお披露目だね」

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