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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第665話:可愛い悪魔もいるんだな

 フイィィーンシュパパパッ。

 プリンスルキウスを連れてギルドにやって来た。

 レイノスのイシュトバーンさん家から行政府に戻ってもいいんだけど、まだちょっと時間もあるし、武装も必要だから。

 何だかんだで『アトラスの冒険者』は実力者揃いなので、プリンスと顔繋ぎしたいという意味もある。

 いずれ役に立つかもしれないし。


「やあ、チャーミングなユーラシアさん。いらっしゃい。こちらの方は?」

「こんにちはー、ポロックさん。こちらはカル帝国第四皇子ルキウス殿下だよ」

「えっ、新大使の?」

「そうそう」

「よろしく、ミスター・ポロック」

「いえいえ、こちらこそ。殿下」


 うむ、総合受付のポロックさんに認知してもらえば、とりあえず目標達成。

 ギルドの中へ足を進める。


「御主人!」


 ヴィルが飛びついてきた。

 よしよし、いい子だね。


「……君の配下の悪魔か?」

「うん。うちのヴィルだよ」

「御主人、この人は誰だぬ?」

「プリンスルキウスだよ」

「よろしくお願いしますぬ!」

「ほう。可愛い悪魔もいるんだな。よしよし」


 プリンスったら、デレデレじゃないですか。

 バアルの件で悪魔を相当警戒してたみたいなのにな。

 ……ロリの国の住人じゃないよね?


「プリンスは行政府のオルムスさんの隣の部屋にいるからね」

「わかったぬ!」

「む? 予の部屋の位置に何かあるのか?」

「好きなところにワープできるヴィルは、うちの連絡係を務めてくれているんだ」

「御主人の言う通りぬよ?」

「ほう? どことでも連絡が取れるということか?」

「理屈ではね。だけど、相手が悪魔大丈夫な人じゃないとダメじゃん?」


 悪魔を怖がる人や極端に嫌う人のところへはさすがに送れない。

 ヴィルだって、自分を見て悪感情を催す人のところなんか行きたくないだろうしな。


「プリンスはヴィルを可愛がってくれる人だから、今後用があったらヴィルを飛ばすよ」

「ああ。待っているぞ」


 これでよし。

 武器・防具屋さんへ。

 プリンスに装備させるパワーカード買っていこ。


「こんにちはー」

「はい、ユーラシアさん。『遊歩』のカード来ておりますよ」

「うん、それから他にもカード買っていくよ」

「はい、何にいたしましょう?」

「えーと『スラッシュ』『スナイプ』『シンプルガード』『武神の守護』『スカロップ』『ホワイトベーシック』『オールレジスト』一枚ずつで」

「確認いたします。『遊歩』二〇〇〇ゴールドが二枚と、『スラッシュ』『スナイプ』『シンプルガード』『武神の守護』『スカロップ』『ホワイトベーシック』『オールレジスト』全て一五〇〇ゴールドが一枚ずつ、計一四五〇〇ゴールドになります」


 支払いを済ませ、パワーカードを受け取る。

 中途半端な編成ではあるが、プリンスルキウスは冒険者じゃない。

 守りに重点を置いて、攻撃も回復もできることが望ましいからこんなもんだろ。


「おい、ユーラシア」


 この声は。

 やはりダンか。


「彼は『ギルドのパパラッチ』ダンだよ。情報屋って言ってるけど、前衛冒険者としての実力も大したもんなんだ」

「誰だこいつ」

「カル帝国第四皇子ルキウス殿下にあらせられるよ」

「えっ?」


 ハハハ。

 ダンがこんな驚いた顔するのは、『ファントマイト』を持とうとして『メチャクチャ重っ?』って言ってた時以来だな。


「よろしく、ミスター・ダン」

「お、おう」

「はい、皆注目!」


 何事かとこちらを見る冒険者達。


「今度帝国の在ドーラ大使として赴任してきたルキウス皇子殿下だよ。皇子の印象を良くしておくとドーラが助かるので、どこかで見かけて困ってたら力になってあげてねー」

「おう!」

「よろしくな殿下」


 皆から握手を求められ、揉みくちゃになるプリンス。

 まあ嫌われるよりいいだろ。


          ◇


 ギルドから外に出て、プリンスにパワーカードのレクチャーを行う。


「ここからレイノスまで、歩くと三〇分くらいなんだ。飛ぶ練習しまーす」

「飛ぶ、とは?」


 先ほど買った『スラッシュ』『スナイプ』『シンプルガード』『武神の守護』『スカロップ』『ホワイトベーシック』『オールレジスト』と『遊歩』のパワーカードを渡し、貸してあった『三光輪』のカードを返してもらう。


「いいのか? もらってしまって。結構な価格だったが」

「いいよ。有力者に貸し作るのは趣味なんだ」


 変な笑いを浮かべるプリンス。

 いいんだよ、魔宝玉売って儲かったし。


「ふうむ、これが装備品なのか?」

「プリンスに貸してあった『三光輪』は耐性と魔法防御上昇だけだから、効果がわかりづらかったかもしれないね。『スラッシュ』を起動してみ?」

「おお、刃が出る!」


 起動すりゃ武器防具になるものだ、とゆーことは理解できるだろ。


「七枚は普通の装備品なんだけど、この『遊歩』はちょっと特殊なんだ。装備して起動すると、『ソロフライ』っていう一人用飛行魔法が常時発動状態になるの。しかも実質マジックポイント不使用で」

「ほう? 面白いな」

「すごく面白いんだよ。やってみて。念じるだけで飛べるから。でも念じ過ぎると……」


 びゅーんと飛んでった。

 レベル五〇でも結構なスピードが出るんだな?

 あ、安定した。

 もう慣れたのか。

 プリンスは身体が丸っこいクセに運動神経はいいなあ。

 つまらん。


「向こうに大きな町が見えた。あれがレイノスだな?」

「そゆこと。じゃ、レイノスの西門まで飛んでいくよ。レイノス市内には飛んだまま入らないでね。怒られるから」

「わかった」

「ヴィル、一緒に飛んでいくよ」

「はいだぬ!」

「可愛い悪魔だなあ」

「可愛いぬよ?」


 びゅーんとレイノス西門まで飛ぶ。


「こんにちはー」

「やあ、精霊使いと悪魔ちゃんだね。そちらの方は?」

「カル帝国第四皇子ルキウス殿下だよ」

「「「「えっ?」」」」


 ビビる警備兵さん達。

 噛みついたりはしないとゆーのに。


「新任在ドーラ大使の皇子殿下? 供も連れずに?」

「あたしとゆー美少女が目に入らんか。何の不足があるってゆーんだ」

「不足はないぬ!」


 プリンスは苦笑してる。

 段々楽しくなってきてるんじゃないかな。

 あたしのペースに慣れてください。


「ここから行政府までは歩きだよ。ヴィル、通常任務に戻ってね。あとでまた呼ぶから」

「了解だぬ!」


 ヴィルと離れてプリンスが名残惜しそうだ。

 またいくらでも会わせてやんよ。

 西門からレイノス市内へ。

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