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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第660話:何故か魔法の葉

 ――――――――――一三六日目。


「今日は凄草の株分け日なのだ」

「おっ、ナレーター気味だな。ユーちゃんの新しい芸風かい?」

「あたしも日々進化していかなきゃならないからね」

「進化の方向性が斜め上だぜ」


 アハハと笑い合う。

 畑番の精霊カカシも機嫌が良さそうだ。

 今日いい天気だしな。


「魔力の供給は問題なさそうかな?」

「ああ、どうやら株を増やしても、魔力が足りなくなるってことはなさそうだと気付いたぜ。おそらく濃度の関係で、こっちの黒妖石に溜められる量が決まるんじゃねえかな。だがすまん、これ以上はオイラの手が回らねえ」

「いやいや、十分だよ」


 カカシはすまながるが、凄草の栽培なんて他の誰にもできないのだ。

 毎日凄草を食べられるなんて、本当にありがたいことであーる。


「当面は最大五〇株くらいを上限にしとくよ」


 四人が毎日一株食べるのに必要な株数が四八株、それプラス非常用二株ということだ。


「おう、任せとけ!」

「カカシかっくいー!」


 正直凄草の栽培体制は十分だ。

 今後あたしが行ける転送先が増えたら、実験的に栽培したい植物も増えると思う。

 もしカカシの手の届く範囲が増えるとしたら、凄草じゃない植物をお願いしたいな。

 さて、出かけるか。 


「じゃ、行ってくる」

「おう」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「おお麗しの宝箱よ! 君は箱より美しい!」

「姐御。それは褒めてるんでやすよね?」

「大絶賛のつもりだったわ。高度な文学的表現過ぎたかな?」


 朝からザクザク宝箱へ来るのは、実は初めてなのだ。


「まだ一日経ってないですけれど、宝箱はちゃんと設置されていますねえ」

「デイが変わると、トレジャーボックスもおニューになるね?」

「そうみたいだねえ。夜中の一二時頃に来ると、必死こいて宝箱置いてる現場に立ち会えるかもしれない」

「趣味が悪いですよ」

「ダンテ、趣味が悪いってよ?」

「ミーじゃないね!」


 皆で笑う。

 今日はリリーを連れて新任在ドーラ大使の第四皇子に会いに行こうとゆー趣向だ。

 しかしこの時間どうせまだリリーが起きてないから、朝の内に日課の宝箱クエストをすませてしまえという考えだった。

 今まで何となくちょうど一日後を意識して午後に来てたけど、ザクザク宝箱は午前中でも大丈夫だとわかったのはいいことだ。


「宝箱を開けるためには、心を清めなければならないね」

「ガンガンするんでやすね?」

「ザッツライト! ガンガンする人!」

「「「はい!」」」


 ハハッ、皆ガンガンするんじゃないか。

 わかってたけど。

 銅鑼の音が四回? 四セット? 鳴り響く。

 うむ、気力が充実してくるね。


「ユー様、立て札の記述には変わりありません」

「クララはちゃんとチェックしてて偉いな。よーし、宝箱開けるぞー!」


 前列から四、五、五個の宝箱が並んでいる。

 全部で一四個か。

 開けられるのは一三個。


「……どーしても一個開けずに帰還するってのは乙女の精神に負担をかけるね」

「ユー様、自分の心に折り合いをつけたんじゃないんですか?」

「いや、もちろん開けられる宝箱は全部開けて、主催者をヒーヒー言わす方針は変わらないんだけどさ。あたしのハートにもダメージが蓄積するとゆーかしないとゆーか」

「ボス、ヒットトレジャーボックスはどれね?」

「おおう、あたしの悩みを露骨にスルーしたな? でもヒットトレジャーボックスって響きはいいから許す。えーと、真ん中の列の左端だよ」


 今日も部屋の元気がなさそーな気がするのは気にはなるが、宝箱の中身には影響がないようだから。


「今日はあたしも最後の一個開けるよ。あんた達は四つずつオープンしてね」

「姐御、大丈夫でやすか?」


 またあたしが魔法の葉を引くのではないかと心配なのだろう。


「いや、レイノスへ行くから、魔法の葉が当たったらそれでもいいんだよね」

「「「?」」」


 ラルフ君の話だと、魔法の葉青汁を飲ませる刑罰ユーラシアペナルティが問題になってるということだった。

 ならばレイノスの新聞社に魔法の葉を持っていって記事を書いてもらい、ユーラシアペナルティの恐怖を周知させるのもいいかもしれないから。


「よーし、準備はいいかな? いくぞお!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「現金五〇〇〇ゴールドです!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「絵だぜ! 人物画!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「アームリングね! マジックアイテム!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「手をモチーフにした彫刻です!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「ヒドラの牙三本だぜ!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「キャッシュ五〇〇〇ゴールドね!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「レア素材『逆鱗』です!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「絵だぜ! 落書きみてえなやつ!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「ツリーね?」


 木?

 変なものが入ってるな。


「グオングオングオングオングオングオーン!」

「絵です! 人物画!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「人の頭の像だぜ!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「ブックね!」


 最後にあたしの番だ!


「おめでとう! 満タンの魔法の葉!」


 予想通り過ぎて笑えてくるなあ。

 何であたしが引くと高確率で魔法の葉なんだろうな?

 今日はショックはないけど。


「しゅ~りょ~。本日もたくさんのお宝を手に入れることができました。おめでとう! そしてありがとう!」


 さて、お宝の検証開始だ。

 木の苗を見ていたクララが言う。


「ツバキの木ですね。特殊な品種かもしれません」


 お茶の木と近い樹種で、ドーラにはごく少ないんだそうな。

 お宝扱いだとすると、すごく綺麗な花が咲くとかだろーか?


「ダンテの引いた本はどんなやつ?」

「料理の本ですぜ。作り方が書いてありやす」

「あっ、お菓子の作り方がたくさん収められています。これは素敵です……いや、難解ですね?」


 お菓子のレシピ本か。

 いいかもしれないが、クララが難解って言ってるようじゃ一筋縄ではいかないな。


「帰る前にガンガン鳴らしてく人!」

「「「はい!」」」


 飽きるまで銅鑼をガンガン鳴らし、転移の玉を起動し帰宅した。

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