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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第643話:あたしの楽しみ、あたし達共通の楽しみ

「ただいまー」

「お帰りなさい」


 ニルエを送り、チュートリアルルームをチェックして帰ってきた。


「ルーキーはどうね?」

「今日は来てなかったって」

「姐御、もう新人は放っといていいんじゃないでやすか?」

「行き詰まってから手助けしてやりゃいいんだけど」


 新人さんが冒険者としてどうか、脱落しないかってことならおそらく問題ないんじゃないかと思う。

 何故ならレベル二だという話だったから。


 レベルが低い内の一違いは全然強さが違うというのが理由の一つ。

 レベル二ならば戦闘初心者ではないというのが二つ目の理由。

 そして『アトラスの冒険者』でなくともレベルを上げられることが三つ目の理由だ。

 ギルドまで来るのに先輩の手助けが必要だとは思えん。


「にも拘らず、ユー様はその子を構うのですね?」

「インタレスティングスメルがするね?」

「いえーす。何故ならバエちゃんが悪い子って言ってたから」


 ただしバエちゃんの話を聞く限り、あたしは問題の新人が悪い子だとは特に思わない。

 慎重で疑い深いだけなんじゃないかな?

 冒険者として必要な資質ではあるけど、最初から壁を作ってバエちゃんの話を聞こうとしないのはちょっといただけない。

 先輩としてえらそーに注意したいじゃないか。


「ま、新人さんはあたしの楽しみだからいいんだ。あたし達共通の楽しみに出かけるぞー」

「「「了解!」」」


 ザクザク宝箱クエストへゴー。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 日課のザクザク宝箱のクエストにやって来た。

 日課があるということは嬉しいことだなあ。

 セリフがワーカホリックだって?

 かもなー。

 あたしに宝箱を、宝箱をちょうだい。

 あっ、これじゃただの宝箱中毒だわ。


「何故宝箱を開けるのか。そこに宝箱があるから!」

「姐御、今日は名言風でやすね」

「口から知性がこぼれ落ちてしまったよ」


 アハハと笑って宝箱を見渡す。


「前列から三、四、四個の三列、合わせて一一個か」

「一〇個も開けられるんですねえ」

「あんた達開けなさい。一人三つずつと、ジャンケン勝った人がもう一つボーナスね」

「姐御は開けないんでやすか?」

「いいよ。また魔法の葉に当たったりしたら立ち直れないから」


 苦笑するうちの子達。

 何かあたしが開けるとマジで魔法の葉みたいな気がするしな?


「ナイスアイデアがあるね。一個オープンするごとに、ボスがガンガンすればいいね」

「あっ、ダンテ偉い! 採用!」


 今日も幸せだなあ。

 ジャンケンはアトムが勝ったか。


「今日は文言に変化ありませんね」


 注意深く立札を見ていたクララが言う。


「よーし、宝箱開けちゃおうか!」

「「「了解!」」」

「ボス、トゥデイはどれがヒットね?」

「真ん中の列の左端だぞー!」


 よーし景気よくいってみようかあ!


「グオングオングオングオングオングオーン!」

「さあ、開けちゃってくださいな!」

「五〇〇〇ゴールドでやす!」

「よーし、次!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「『風の連続衝』のスキルスクロールです!」

「いいじゃんいいじゃん。どんどんいくぞー!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「ベリーシュールな絵ね!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「魔法使いが着るようなローブだぜ!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」


 いやあ、テンポがいい。

 なかなか爽快じゃないか。

 連続でガンガンしてると気分が高揚してくるわ。


「絵です! 女性の肖像画!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「コモンマテリアル詰め合わせね!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「五〇〇〇ゴールドでやす!」

「あと一箱ずつだね。より気合いを込めて開けてみようか!」

「「「了解!」」」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「魔法の盾です!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「シッティングメンの像ね!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」

「最後の宝箱は気持ち悪い絵だぜ!」


 これにて打ち止め!


「今日も大漁でした! おめでとう、あたし達! ありがとう、宝箱!」

「「「パチパチパチパチパチ!」」」


 うちの子達も拍手だ。


「開けるたびにガンガンはとてもいいものだとわかったよ。明日からもガンガニズムだな」


 アハハと笑い合い、お宝の検証だ。


「ユー様、『風の連続衝』のスクロールは、アトムが使うでいいですか?」

「うん、覚えちゃってよ」


 連続衝系のスキルは、属性強攻撃を連続で叩き込める上射程が長いという、かなり強力な技だ。

 武器の種類も選ばないという、汎用性もある。

 いずれアトムに覚えさせたいと思ってはいた。


 ただ、うちのパーティーのメイン火力はあたしだということ、スクロールの価格がかなり高価なことから導入していなかったのだ。

 わざわざ買うほどの必要性はなかった。

 しかし手に入ったのなら習得させるのにためらいはない。


「この宝箱はスキルスクロールも出るんだねえ。いらん子が出たら売れるのかな?」


 スキルスクロールを買ったことはあるけど、売ったことはないな?

 バエちゃんが以前、『アトラスの冒険者』とその関係者にしか売らないみたいなこと言ってた。

 売買に規制があるとは思わんけど、無意味にスキルスクロールを流すのは倫理的に問題がある気はする。


「スキルを覚えてソンはないね」

「まあね。いらん子を手に入れたらその時考えよう」


 絵とか像とか、価値わかんないしなー。

 高価なものではあるんだろうけど、実用性のないものだから。


「装備品は誰かにくれてやるんですかい?」

「武器防具は実用品だよ。売ってどこかに死蔵されちゃったりするより、知ってる誰かに使ってもらった方が有意義だわ」


 うちの子達が頷く。

 せっかくドーラには優秀な冒険者が多くいるんだから。


「さて、帰ろうか。ガンガン鳴らしてく人!」

「あっしは鳴らしやすぜ!」

「私も鳴らしたいです!」

「ミーもね! ガンガンするね!」


 皆に愛される銅鑼、いいじゃないか。

 あたしも十分に鳴らしたつもりだったけど、足りない気がしてきたわ。

 今日やらねばならないことはやっておくべきだ。

 そーゆー意味の言葉じゃない気がするけど、こんなことで後悔はしてらんないしな。

 皆で銅鑼を満足するまで鳴らし、転移の玉を起動し帰宅した。

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