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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第631話:とっとと片付けねば

「サイナスさん、こんばんはー」


 夕食後に恒例のヴィル通信だ。


『ああ、こんばんは。……ちょっと声に元気がないんじゃないか? そうか、気のせいだったか』

「決めつけないで欲しいなー。元気がないのはお察しの通りかもしれない」

『ん? 緑の民の村へ行った時は絶好調だったじゃないか。あれから何かあったのかい?』

「乙女の心を寒からしめる、ショッキングな出来事があったんだよ。そりゃあもう大騒ぎだった。可憐な乙女らしからぬ『ぎゃー』って叫び声が出ちゃうくらい」

『ユーラシアの心を寒からしめる? 宝箱開けたら魔法の葉だったとかか?』

「サイナスさん、すげえ!」


 今のは本当にビックリしたぞ?

 ノーヒントじゃないか。

 何でわかったんだろ?


「宝箱開けたら魔法の葉山盛り一杯なの。何と二箱も。どんな罠だ」

『えっ? 魔法の葉が一枚しか入ってなくてショック受けたとかじゃないのか?』


 あ、方向性がちょっと違ってたわ。


「あたし魔法の葉大嫌いなんだよ。一枚だったらこんなにショック受けてない」

『君の感覚はわからないけれども』

「何日か前も同じことあってさ。宝箱の中に五〇〇枚以上入ってたんだよ。多分今日のやつも同じくらいじゃないかな。数えてないけど」

『結構な収入になるじゃないか』

「なるけれども、そんなんで癒されるのがすごく嫌」

『君の感覚は本当にわからないけれども』


 もー女心のわからないやつだなー。

 お金で買えるような癒しは本物の癒しじゃないってことだよ。

 でもおゼゼジャブジャブだったらメッチャ楽しそうだな?


「で、本題だけど、灰の民の村で魔法の葉欲しい? 一枚一〇ゴールドで売るよ」


 灰の民の村はポーション作れる人がいるから、欲しいかなと思ったのだ。

 この前魔法の葉を一箱分売った後に気付いたことだが。

 加工品は儲けが大きいもんな。


『欲しいが、さすがに一〇〇〇枚は必要ないな。一五〇枚もらおう』

「毎度あり。一四〇〇ゴールドにまけとくよ。明日持っていくね」


 残りはふつーにギルドで処分だな。


「ヨハンさんの息子のラルフ君と連絡取れたよ」

『緑の民の村へ来ることに関しては大丈夫だって?』

「うん、この前会った時に少し話してあったんだけどね。もうヨハンさんも、ラルフ君が緑の村に来ることは認めてるって」

『話が進展しそうで何よりだ』


 うむ、ここで進展させなければいけない。

 せっかくイシュトバーンさんの美人画集を作っても、ヨハンさんが関わるなら緑の民の村から出さないなんてことになると面倒だし。

 まー面倒なだけでやりようはいくらでもあるけど。

 ……サイナスさんの声が嬉しそうだから、なるたけ穏便にすますよ。


「三日後にラルフ君と緑の民の村行くけどいいかな? パーティーメンバーも連れてくることになった」

『え? 大人数になるな。四人か?』

「冒険者だってのを強調しといた方がいいでしょ。緑の民族長には興味がないよってゆー、一つのサインになるじゃん?」

『ふうん、君は仕掛けが細かいよな』

「神経が繊細だから、心配りが行き届いてるんだよね」

『自分で全部言っちゃうところがユーラシアだなあ』


 アハハ。

 自己主張はしておくんだよ。


「人数が多くなっちゃうから、うちの子達は置いてくね」

『ではオイゲン族長にはそう伝えておこう』


 三日後にはラルフ君パーティーを連れて、緑の民族長宅へ行くのが決定だな。

 これでかなり決定的な状況を作れるはず。


「ただラルフ君にも、長老ズが乗り気な理由はわからないって」

『緑の民と直接関係がないからなあ』

「長老ズは喜んでたよねえ?」

『うん、あれは確かに……』

「サイナスさんにも見当つかない?」

『サッパリ。緑の民じゃないと窺えない機微のようなものがあるのかもしれないな』


 やっぱサイナスさんも緑の民の特殊事情と見るか。

 ヨハンさんを血筋で嫌うのに、息子ラルフ君を歓迎する理由は何だ?


「一応、ヨハンさんにもわけを聞いといてくれって言っといたんだけど」


 ヨハンさんにも何のことやら意味不明かもしれないな。

 オイゲンさんとの手紙のやり取りでは、友好を深めることはできても、盗み読まれる危険から突っ込んだ話し合いはできないに違いないし。


『構わないだろう? リスク要因じゃなさそうだ』

「まあね。言ってなかったけど、ラルフ君は『威厳』って固有能力持ちなんだ」

『『威厳』? どんな能力だ?』

「相手が人でも魔物でも、自分よりレベルの低い者に対して優位に立てるってやつ」

『ラルフ君のレベルは?』

「五〇越えてる。あたしの弟子だもん」


 サイナスさんが呆れて言う。


『なら長老達に会わせさえすれば楽勝じゃないか。だからラルフ君連れてこようって言い出したのか?』

「正解ではあるけど」

『ん? 何か問題があるのかい?』

「『威厳』で決着しましたじゃ、あんまりあたし好みのエンターテインメントにならなさそうなんだよね。あ、でもラルフ様のお通りだー下にー下にーってのもそれなりにありかな?」

『君のエンタメを追求する姿勢には感心させられるよ』


 全然感心してなさそーじゃん。

 緑の民が交易に参加してくれない問題が長引くと、画集や札取りゲームの出荷販売に響くからなー。

 エンターテインメントばかりに目を向けていられないのだ。

 とっとと片付けねば。


「カラーズで変わったことなかった?」

『輸送隊のお団子副隊長が来た。ユーラシアと話したいことがあるそうだ』

「インウェンが? どうやらあたし好みの話を持ってきたみたいだね」


 フェイさん絡みの縁談話に進展があったに違いない。

 どーゆー展開になるか楽しみだなあニヤニヤ。


『明日輸送隊の出発前に話したいということだったぞ?』

「あっ、明日輸送隊の日か。出発って何時だったっけ?」

『八時だ』

「うーん、睡眠時間は乙女に必須だけど、ラブい話も乙女の潤いなんだよな」

『ハハハ、つまり行くんだろう?』

「行く。天が呼ぶ地が呼ぶインウェンが呼ぶ。ラブい気配があたしを呼ぶから」


 まーあたしはいつも七時ちょい過ぎくらいに起きるから、特に問題はない。

 ケスが迎えに来る前にインウェンの話を聞きに行くべし。


「今日の連絡はお終い。サイナスさんおやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 明日は白の民の村か。

 どんな子がいるかなー。

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