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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第625話:犯人は決定

「ただいまー」

「お帰りなさい」


 あたしがチュートリアルルームに様子を見に行っている間、うちの子達には休憩してもらっていた。

 何だかんだで人の多いところじゃ、精霊は気疲れするだろうから。


「……御主人?」

「ヴィル、起きた?」

「起きたぬ」


 よしよし、いい子だね。

 今日はヴィルも連絡係として大活躍だった。

 ぎゅっとしたろ。


「ボス、トゥデイのモンスターアピアーは明らかにストレンジね」

「あんな具合にドラゴンクラスの魔物を召喚されちゃたまらねえぜ」

「定期的に召喚してくれるなら、警報鳴らしてすぐに高レベルの冒険者が駆けつけるシステムを作れば儲かる気はするけどな?」

「今朝のユー様の状態異常だって変ですよ? おそらく連動したものです。悪意を感じます」

「ま、皆の言う通りだな。でもお茶目な悪さしそうなやつに心当たりがあるじゃん?」


 ヴィルに聞いてみる。


「ねえヴィル。バアルって魔物を召喚することができるのかな?」

「できると思うぬ。バアルは呪術について詳しいんだぬ。召喚にはワープの技術と呪術の魔法陣と魔力が必要なんだぬ。バアルにはその三つが揃っているぬ」

「とゆーことは、バアルもワープできる子なんだ?」

「できるぬ」

「うん、ありがとう」


 ワープを転移術に言い換えりゃ、デス爺のやってることにも通ずるな。


「とゆーわけで、犯人は悪魔バアルでーす」

「決めつけちゃっていいでやすか?」

「あたしに関係するところで悪さする動機があって、なおかつメッチャ儲かる魔物を召喚してくれそーなやつは他にいないわ」

「ユー様、感謝してるみたいに聞こえますよ?」

「ちょっと本音が出ちゃった」


 アハハと笑い合う。

 ブラックデモンズドラゴンは災害級の魔物かもしれんけど、うちのパーティーにかかれば五枚の『逆鱗』以外の何ものでもないしな。


「ボスの身体がヘビーだったのはワッツ?」

「あれは何だろうな? バアルってそんなことできる?」

「わからないぬよ?」


 まーいーや。

 クララの『キュア』で治る、どうってことない小細工だ。


「さて、ザクザク宝箱行くぞお! ヴィルは通常任務に戻っててね」

「「「了解!」」」「了解だぬ!」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 今日もまたザクザク宝箱のクエストにやって来た。


「おお宝箱よ、君はこんなにも美しい!」

「姐御、今日は情熱的でやすね」

「お肉一杯食べたから、気が高ぶってるのかもしれないなー」

「トレジャーボックスの中にメニーミートだったらどうね?」

「あたし的にはありだなあ。でもうまーい肉じゃないとお宝とは言えないぞ?」


 アハハと笑い合う。

 お宝肉か、実にいい響きだなあ。

 ……メッチャ食べたい気がしてきたわ。


「ユー様。最後のブラックデモンズドラゴン戦は危なかったですよ」

「調子に乗り過ぎた。反省してる」


 凄草結構食べてるからイケるとは思ったんだけど、実際はギリギリだった。

 ブラックデモンズドラゴンのヒットポイントは、パッと見で感じるよりも多かった気がする。

 負けることはまあなくとも、向こうにターン渡すことはあり得たのだ。

 『豊穣祈念』でドロップを欲張ったのは、戦術として良くなかった。


「結果としては最高でやしたぜ?」

「まあね。幽玄浮島珠を拾えたしね」


 でもギリギリの戦いをしなきゃいけない場面じゃなかったからな。


「ダンテ用に『ミスターフリーザ』をもらっとくのがいいかな」

「攻撃の幅は広がりますねえ」


 パワーカード『ミスターフリーザ』には、知ってる中で最強の氷属性魔法『アダマスフリーズダブル』が付属している。

 『豊穣祈念』の代わりに『アダマスフリーズダブル』を使える状況だったなら、余裕を持ってブラックデモンズドラゴンを倒せていただろう。


「さて、宝箱開けようか」


 今日は前列四、後列四の、合わせて八個の宝箱が並んでいる。


「立札の記述に変わりありません」

「ボス、トゥデイはどれがヒットね?」

「後列左から二番目だな。あんた達二個ずつ開けてきなさい」

「「「了解!」」」


 嬉しそうだこと。

 宝箱を順に開けていく。

 何が出るかな?


「何かの像です。彫刻ですかね?」

「レア素材『魔血石』でやす!」

「パワーカードね。『ミスターフリーザ』!」

「ラッキー! 欲しかったやつがすぐ手に入ったじゃん」


 きっと心がけがいいからだな。


「何でしょう? あっ、頭部の装備品です。後衛女性用と思われます!」

「絵だぜ!」

「こっちもピクチャーね!」


 いい感じのお宝だね。

 像と絵の価値がわからんけれども。

 たくさん手に入ると美術館を作れるかもしれないな。


「ラストワンはボスね!」

「うん、ちょっと待って。気合い入れてくる!」


 吊るされた銅鑼の前に立つ。


「我を叩け、って声が聞こえる気がする」

「そうですねえ」


 うちの子達皆頷いてるけれども。


「いくぞお!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」


 もう一回!


「グオングオングオングオングオングオーン!」

「よーし、最後の宝箱開けるぞー!」


 重い蓋を除けると……。


「本?」

「『魔法スキル大全』ですね」

「ハズレだったかー」


 本は高価だけれども、既に持っているやつだ。

 今は灰の民の村の図書室に置いてある。


「ユー様! これすごいです! 『デトネートストライク』も記載されています!」

「え?」


 ほんの四ヶ月前にペペさんから買ったばかりの魔法だぞ?

 そんなのが載ってるってことは……。


「この本は新版なのかな?」

「新版なのか、あるいは研究者が追補した写本なのかはちょっと。奥付には何も書いてませんけど」


 さすがにそれ以降ペペさんが作ったスキルは載っていなかったが、以前の『魔法スキル大全』に載っていなかった『勇者の旋律』の項はあった。


「ふーん、クララよかったねえ」

「はい!」


 まあクララが喜んでるし、ハズレではないな。


「さて、お宝と空箱持って帰るぞー。ところであんた達はガンガンしていかなくていいの?」

「姐御! あっしはガンガンしていきやす!」

「私も鳴らしたいです!」

「ミーもガンガンガンガンしちゃうね!」

「今日という日は今しかないぞ! 後悔しないようガンガンいこうぜ!」

「「「了解!」」」


 銅鑼の音が響く。

 いい音だなあ。

 マジでスッキリする。

 これひょっとして魔を払う効果があるんじゃないだろうか?


 十分に満足した後、転移の玉を起動し帰宅する。

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