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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第620話:召喚?

 続いてオイゲンさんと眼帯男に指示を出す。


「オイゲンさんと眼帯君と輸送隊は、入手したアイテム・素材・お肉の運搬をしながら先行する隊と柵設置隊の間のルートの確保をお願い。運搬の指揮は輸送隊に準じて眼帯君とインウェンが執って。でも戦闘になったら、経験豊富なオイゲンさんの言うことに従ってね」

「へェい!」「承知した!」

「あたしとエルマはフェイさんに同行する。ヴィルカモン!」


 赤プレートに話しかける。


「ヴィルちゃんを呼ぶんですか?」

「うん。まーデミアンがいれば大丈夫だと思うけど、あっちとこっちで分断されると面白くないからね」


 連絡が取れなかったり、自分のポジションがわからない状況というのは不安になるものだから。

 あ、来た来た。


「御主人に呼ばれてヴィル登場ぬ!」

「今日のヴィルの働きは重要だぞ! 皆のところをパトロールして、ヤバい魔物が出たらすぐあたしを呼ぶんだよ」

「はいだぬ!」

「いいかな? もし強そうな魔物が出たら、ヴィルの報告に従ってすぐにうちのパーティーが助っ人に行くよ。ムリに戦わなくていいから、様子をよく観察しながら人員の安全を最優先して」

「「「おう!」」」

「エルマの役割は、あたしがいない時にフェイさん達を守る係だよ。決して戦う係じゃないから、勘違いしないように」

「はい!」


 よーし、こんなもんだろ。

 フェイさんが眉を寄せて言う。


「ユーラシアはハイレベルの魔物が出ると見るのか?」

「デミアンが派遣されるほどのクエストなら荒事だと思うんだ。こんなんでもギルドの誇る天才冒険者だから」

「こんなん扱い、悪くない」


 正直何が起きるかなんてわからん。

 でも焼き肉パーティーまで含めて、多くの人が参加する作戦だ。

 ヤバい魔物が現れて暴れられるのが一番困る。

 ケガ人でも出ようものなら、開墾の士気に関わっちゃうわ。

 ぜひともエンタメ方向のイベントに持っていかないと。


「よーし、行ってみようかあ!」


 転移石碑にて、いざ現地へ。


          ◇


「あっ、すごい! もうかなり水路掘れてるんだね?」

「いや、まだどこを通すかの道筋を示しているだけだ。幅も深さも足りない」


 でもあたしの想像よりずっと早いよ。

 さすがフェイさんだなあ。


「では、手筈通りに作業を始める」

「「「「「「「「おー!」」」」」」」」


 フェイさんの宣言とともに作戦が開始される。

 クー側沿い北側の柵が取り払われると、早速魔物が。

 お肉だ!


「薙ぎ払い!」


 幸先良く突進熊二体を仕留めた。


「これ、なかなかおいしいんだよ。あとで焼き肉パーティーだっ!」

「「「「「「「「おう!」」」」」」」」


 お肉は盛り上がるなあ。

 大柵設置班と調理班が作業に取りかかる。


「じゃ、デミアンこっち頼むね」

「悪くない」

「先行隊と輸送隊出発するよー」


 クー川沿いを北に向けてゴー。


「どう見る?」


 道中、フェイさんが話しかけてくる。


「うん。注意してると微かな悪意を感じるね。これだけ気配を消せるのは相当なやつだと思うよ」


 思えばあたしが今朝調子悪かったのは、この悪意を放つ存在のせいなんじゃないかな。

 あたしを焼き肉パーティーに参加できなくしておいて、現地で騒ぎを起こすつもりだったとすると、因果関係が奇麗に繋がる。

 しかしあたしが現にこうやって参加できていることで、こいつの目論見は外れているわけだから……。


「……どうってことはないな。強いて言えば、あたしがちょっと忙しくなるかも」

「ハハハ、任せたぞ」


 フェイさんが豪快に笑う。

 ザコを掃討しながら、一時間以上進んだろうか。フェイさんが立ち止まる。


「ここから水を引き込むことを検討していたのだ。地図上の話だがな」


 東から支流が流れ込み、流量の増えるところだ。

 確かにここなら水に海からの塩が混じることもないだろう。

 うちの子達も頷く。


「うん、うちの子達も賛成みたい」

「よし、こちらからも柵を設置する」

「「「「「「「「おー!」」」」」」」」


 いい感じに士気が上がってるね。

 しかし……。


「敵が仕掛けてくるとすると、動線の伸びきったこのタイミングか?」

「ありそうだねえ」


 突然赤プレートからヴィルの声が響く。


『御主人! 輸送隊がドラゴン三体に襲われてるぬ!』

「すぐ行く!」


 敵の仕掛けが的確で早いな。

 しかしドラゴンなんてどこから現れたんだ?

 厄介な能力を持ってるやつが相手らしい。

 

「エルマ、わかってるね? こっちに強敵が出たって、必ずしも倒す必要はないんだぞ。引き気味に対応して、時間引き延ばして」

「わかりました!」


 『遊歩』で現地に急行。


          ◇


「雑魚は往ねっ!」

「「「「「「「「うおおおおお!」」」」」」」」


 一撃でドラゴン三体を倒すと歓声が上がる。

 オイゲンさんビックリしてるけど、輸送隊はあたしがドラゴン倒すの見たことあるもんな。

 アトラクションとしてはこんなもんだろ。


「リフレッシュ!」 

「いやはや、驚きましたぞ! 『雑魚は往ね』のスキル、話には聞いたことがありましたが」

「この手の魔物はうちのパーティーに任せてよ」

「ハハッ、頼もしいですな』

「でもレッドドラゴン、アイスドラゴン、サンダードラゴンの編成は珍しいねえ。初めて見たわ」


 オイゲンさんも首をかしげる。


「確かに奇妙ですな。ファイアードラゴン以外の竜種は、そもそも群れること自体が稀でありますのに」


 ファイアードラゴンは群れるのか。

 てかレッドドラゴンとファイアードラゴンは別物なんだな?

 一応覚えとこ。


「ドラゴンが出現するのに、前触れあった?」

「突然でしたな。いきなり魔力が膨れ上がったかと思うと魔物が現れた。召喚だと思われますぞ」

「召喚かー。でも魔力が膨れ上がったってことは……」


 まあいい。

 どうせあちこちに魔物を召喚して混乱させる策に決まってる。

 次はどこにくるかな?


『御主人! 大柵隊のところにヒドラ出現! 強そうぬ!』

「ヒドラかー。今行く!」


 真のドラゴンの次にランクの下がる亜竜かよ。

 テンション下がるなー。

 出現させる魔物の順番くらい考えてくれんものか。

 でもヴィルが強そうって言ってたし、ちょっとは期待してもいいのかな?


「オイゲンさん。ドラゴンの『逆鱗』は回収しといてよ。いい収入になるから」

「わかりましたぞ」


 大柵を設置しているところに急行する。

 ヒドラだとデミアンが倒しちゃってるかもしれないけど。

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