表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/2453

第62話:経験値ボーナスデーの巻

「ふんふーん。絶好調だ。実に気分がいいなあ」

「嬢よ、ちぃーと手加減してくれんかの。訓練にならんわ」


 アンセリやダンを含めた合同戦闘訓練中、マウ爺が呆れたようにこぼす。

 マウ爺の用意してくれたフィールドが絶妙なのだ。

 出現する魔物が弱くはないけど、特殊な攻撃をしてくる厄介なやつらはほとんどいない。

 あたしの必殺技と実に相性がいい。

 手加減言われても困っちゃうな。

 どーすりゃいいのか。

 

「あたしのこの技、前衛多い方が安定するんだよ。このメンバー構成だと効率的に使えるんで、見逃してちょうだい」


 この技とは、言わずと知れた『雑魚は往ね』のこと。

 溜め技だから相手の先制を許す弱点はあるが、発動さえすればザコどもを一撃でやっつけることができる。

 しかもノーコストという反則級に強力なバトルスキルだ。


 おまけに今日は先ほど、ペペさんからバトルスキル『実りある経験』を購入している。

 おわかりでしょうか?

 習得したダンテが戦闘のたびに使用しているので、獲得経験値倍のおまけつきなのだ。 

 『実りある経験』の使用マジックポイント小さいわ。

 さすがペペさん。

 クララとアン、白魔法使いが二人もいるから、ただでさえ低い事故の確率がゼロに近いしなー。


 ダンが他人事みたいに言う。


「爺さん、今日は楽して経験値ボーナスデーでいいんじゃねえか? いつも楽できるわけじゃねえんだしよ」

「いつも楽できると幸せなんだけどなあ」

「ユーラシアさんは天下泰平ですねえ」

「やれやれ、たまにはよいか。アンよ、嬢が『前衛が多い方が安定する』と言った理由は?」


 お、マウ爺の戦闘講座か?

 あたしも聞いてよっと。


「はい、『雑魚は往ね』は出の遅いスキルなので、発動前に状態異常や戦闘不能になるのが怖いです。盾役が多ければそのリスクを減らせます」

「よし、ではセリカよ。この場合の後衛の立ち回りとしては?」

「状態異常攻撃、即死攻撃を持つ魔物、あるいは攻撃力の強い魔物を先に倒すことによってユーラシアさんを守り、味方のダメージを減らすことを考えます」

「いいじゃろう。よくできた」


 優秀な弟子達の回答に満足げなマウ爺。

 アンセリはさすがに戦闘のカンを掴んでるな。

 アンセリほどの理解度なら、ソル君とパーティー組んでからも全然問題ないだろう。


「な。爺さんの戦闘講座は役に立つだろ?」

「うん、ありがたみを感じる。けど何でダンが得意げなのよ?」


 全くわけがわからん。

 マウさんが重々しく宣言する。


「攻撃は嬢に基本全て任せる。ダン、ワシらは盾として防御主体じゃ。アンは『ヒール』ないし『キュア』が必要なとき以外は待機。セリカはマジックポイントを温存し、もし不測の事態となったらマジックポイント効率度外視でよいから最大ダメージの魔法を使え。足元の状態、光線と風の方向に注意し、不覚を取らぬよう」

「「「「はい!」」」」


 よーし、働くぞお!


          ◇


 二時間ほど共同訓練し、その後ギルドで落ち合った。

 まあ体を動かすと腹が減るのは永久不変の原理。

 大皿料理を摘まみながら皆でお話だ。


「結論から言やあ、こんな楽なことはなかったな」


 ダンがコップをマドラーでかき混ぜながら言う。

 何故なら勝ちパターンが完全に機能したから。

 ダンテが経験値倍増スキル『実りある経験』をかけ、マウ爺、ダン、アトムの前衛陣が盾になり、クララのノーコスト魔法『些細な癒し』で全体回復。

 で、とどめに『雑魚は往ね』で魔物を一層。

 あたしの低コスト全体回復魔法『リフレッシュ』も、出番が一回もなかったくらい。


 あたしらのパーティーはレベルが一ずつ上がり、あたしとクララ、アトムが一三、ダンテが一二になった。

 クララが全体攻撃風魔法『トルネード』を覚えたのは収穫だ。

 『ウインドカッター』と同じカマイタチのような風魔法だが、単体に対するダメージも『ウインドカッター』より大きい。

 かなりの強力さを誇る魔法だ。


 もっとも『雑魚は往ね』のあるうちのパーティーにおいては、おそらく使う場面はほとんどないと思われる。

 でもいざという時、ダンテだけしか全体攻撃魔法を持っていないのと後衛二人ともが使えるのとでは、安心感が違うもんな。


 ちなみにアンとセリカは二ずつレベルが上がり九となった。


「ユーラシアさん、すまないな。ほとんど働けなかったのに……」

「本当です。何か悪くって」

「いいんだよ、あたし達も前衛多くて楽だったし。あんた達は今、少しでもレベル上げとくことが仕事でしょうに」


 恐縮することなんてないのだ。

 あたしは今日の経験から、共闘がもっと流行ればいいなと思ってる。

 もっともうちのパーティーは精霊が多いから、ノーマル人としょっちゅう共闘ってわけにはいかないだろうけどなあ。


 マウ爺が何か考えごとをしている。


「マウさん、今日はありがとう。大変ためになったよ」

「そう言ってもらえると嬉しいが、まあほとんどいらん世話だったかも知れんな」

「いらなくはないってば」


 実際、あたし達も得たものや知ったことは多かった。

 ギルドカードでの連携の仕方。

 『実りある経験』や『些細な癒し』が八人くらいなら一つのパーティーとして認識すること。

 レアではないが新しい素材を得たこと。

 レベルだって上がったし。


 ポジションについては特に参考になった。

 今まで風上風下に拘った位置取りはしていなかった。

 けど『眠りの花粉』とか使ってくる魔物なら風上の方がいいし、でなければ気配に感付かれにくい風下がいいしな。

 クララやダンテも、回復・支援魔法を使う際の立ち位置は勉強になったんじゃないだろーか?


「しかし嬢よ、あのスキルは何だ?」


 『雑魚は往ね』のことだろう。

 何だと言われても。


「レベル九になった時覚えたんだ。固有能力『発気術』持ちがたまに習得することがあるらしいの。最初危なっかしくてどうにも使えなかったけど、盾役アトムに敵の攻撃を集めるパワーカードを装備させたら実戦で使えるようになって」

「この目で見るのは初めてのスキルじゃ」


 マウ爺がしみじみ言う。


「爺さんが初めて見るスキル? どんだけレアなんだよ……」


 何だよ、ダンまで。

 いいネタ仕入れられたぜ、くらいの軽口叩けよ。

 アンセリが尊敬の眼差しでこっち見てるじゃないか。

 いや、尊敬はもっとしてもいいけれども。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ