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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第617話:超すごいお茶を知らせにザバンへ

 『遊歩』でびゅーんと飛んできて、街道沿いの自由開拓民集落に降り立つ。

 砂糖とお茶の村ザバンだ。

 うちの子達は家に置いて、一人で来た。


「こんにちはー」

「へい、らっしゃい!」


 前に来た時、肉饅頭を食べた店だ。

 あれはおいしかったな。

 カトマスで会ったスリの実家でもある。


「レギュラーメニューは何があるのかなっと。お団子ちょうだい」

「おっ、お嬢さん、精霊使いユーラシアじゃないか。また来てくれたのかい?」

「テオさんのお茶の最高の淹れ方がわかったんだ。それを教えにいこうかと思って」

「手に持ってる、そのガラスの器の中のが最高のお茶かい?」


 軽食屋の大将が興味津々だ。


「飲んでみる? すげー美味いよ」

「ありがたいね。おいシルヴァン、コップ持ってこい!」


 こげ茶色がかった赤毛とソバカスの男がコップを持ってくる。

 そーだ、スリの名前はシルヴァンだった。


「例のお茶だな? 淹れ方が完成したのか?」

「うん、まず飲んでみてよ」


 超すごいお茶を飲む二人。


「「!」」


 飲んで驚け。

 どう? すんごいでしょ?


「お、おいお嬢さん。これってテオんとこの薄い葉色のお茶だよな?」

「そうそう。これがあのお茶の真の実力」

「……これほどとは。さすがだぜ精霊使い!」

「でも淹れ方がメッチャ難しいんだ。混じりけのない水じゃないとこの味出ないから、魔法で出した水が必要。しかも熱すると香りが飛んじゃうんで、常温以下じゃないといけない」

「熱しちゃダメだったのか。とすると、これは水出し?」

「一二時間の水出しだよ。一五時間以上になると苦味が強くなる感じ。あたしはこれくらいが好きだけど、抽出時間短めの方がいいって人もいるから、飲み手の好みもあるな」

「……ザバン以上の味を求めると、魔法の水が必要なのか。厄介だな」


 ため息を吐くシルヴァン。

 水魔法もペペさんが作ってくれるから大丈夫だぞ?


「これ帝国の貴族向けに輸出してぼったくってやろうと思うんだ。この品質なら少々高くても絶対売れる」

「で、でも、淹れ方が面倒だと売れないんじゃないか?」

「だから上流階級向けに売るんだよ。これを飲めることがステータスになるような」

「「あっ!」」


 近侍に水魔法使いがいるような身分じゃないと飲めない、最高のお茶。

 茶会で出したらそれだけで格の上がるような。


「テオ呼んでくるぜ!」

「急ぎ過ぎて転ぶなよー」


          ◇


「……信じられない。これが、本当に?」


 お茶を飲み干し、感動の余韻に浸るテオさん。


「テオさんの作ったお茶だよ。あたしは超すごいお茶って呼んでる」

「そのネーミングセンスは何とかならねえか?」

「……超すごいお茶(仮)にしておく」


 こら、笑うな。

 名前については当てがあるのだ。


「いやあ、美味い。実に幸せな気分だ。今までの淹れ方では真価を発揮できないとは、こういうことだったのか。よく理解できたよ」

「これもう、新政府のパラキアスさん、オルムス知事、それから元大商人のイシュトバーンさんには飲ませたんだ。輸出品として最適だってことに意見は固まってる。協力してくれる?」

「協力、とは?」


 首をかしげるテオさん。


「帝国から輸入するばっかりじゃドーラのおゼゼがなくなっちゃうんだよ。だからどーんと輸出してドーラを裕福にしたいの」


 シルヴァンが大きな声を上げる。


「あっ、あんたの言ってた、皆を金持ちにするってやつか!」

「このお茶を最高級ブランドとして確立できれば、ドーラ産の他のお茶の格も上がる。ドーラ産のものはいいって思わせることができれば、他の商品だって高く売ることができる。大儲けだ!」

「お嬢さんのドリームはワクワクするほどジャンボだな!」


 大将が笑う。


「新しいお茶の収穫っていつ頃からなの?」

「一番茶は草笛の月の終わりからだ」

「四の月か。まだ三ヶ月以上あるね。了解、たかーく売りつける手段については任せて。テオさんは生産の方頼むね。こっちで進捗あったら報告するから」

「わかった、任せてくれ」


 やる気になってくれると嬉しいなあ。

 ここのお茶は素晴らしいもんな。


「あんた、リリー皇女に飲ませるって言ってなかったか?」


 おっ、シルヴァンいいところに気付いたね。


「よく覚えてるね。でもまだなんだ。やっぱり最初に飲んだ時の感動が最高だからさ。飲ませるタイミングを計ってるところなの」

「……何か企んでるんだな?」

「企みは乙女のたしなみなんだよ」


 ニッと笑って見せる。


「じゃ、今日は帰るよ」

「ああ、ありがとう。茶の未来が見えた気がしたよ」

「その内輝かしいドーラの未来も見えてくるってばよ」


 戦略商品だもんな。

 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「宝箱はいいねえ。実にいい」

「姐御、表現がしょぼいですぜ?」

「表現がしょぼい分だけ、中身がゴージャスになるよう祈ろうか」

「何に祈るんですか?」

「美少女精霊使いに決まってるだろ」


 アハハと笑い合う。

 最近の日課、ザクザク宝箱のクエストに来た。

 今日は前列に三つ、後列に四つの計七個の宝箱が並んでいる。


「六個のお宝が手に入るのかー。幸せだなあ」

「ボス、トゥデイはどれがヒットね?」

「前列真ん中だねえ。あんた達二個ずつ開けてきなさい」

「ユー様はいいんですか?」

「あたしは二回ガンガンしてくるよ」


 吊るされた銅鑼。

 何と魅惑的なフォルムだろうか。

 何も知らない人に見せても、絶対に叩くものだってわかると思う。


「この銅鑼をデザインした人すごい才能あるねえ」


 うちの子達が皆熱心に頷く。

 思わず叩きたくなってしまうのは警報としてどうなんだとは思うが、それだけの魅力があるのだ。


「よーし、いくぞお!」

「グオングオングオングオングオングオーン!」


 もう一回!


「グオングオングオングオングオングオーン!」


 いやー感動するほどいい音だ。

 素晴らしい。

 毎日鳴らせるかと思うと実にいい気分だ。


「ところでユー様。立札の記述が再び変わっていますよ。裏の部分ですが」

「またか。何だろ?」


 注:お宝が入っている宝箱に罠はありません。

 注二:銅鑼を鳴らさないでください。

 注三:鳴らした場合、ハズレ宝箱での罰則が強化されます。


 ふーん?

 とゆーかもう鳴らしちゃってるじゃん。

 クララの指摘遅くない?

 まー誰が何を言おうとガンガンすることには変わりないわけだが。

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