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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第613話:感謝は形にならない

 正直バアルが何をしてくるか、予想することは難しい。


「正面からやつが現れるなら倒せるのか?」

「結論として、逃がさずに倒すことは難しいかなーって感じ。もっともこっちのレベルがカンストしてることくらい調べりゃわかるだろうから、目の前にのこのこ現れることもないのかもしれないけど」

「裏でコソコソ嫌がらせか」

「その可能性が高いかな。嫌がらせを逆手にとって、第四皇子に手柄立てさせる方向性でいけばいいんじゃないの?」


 ヴィル以外の悪魔なんて後ろ暗い存在に違いない。

 つまらん工作の証拠掴んだら、第四皇子の名前で公表してやる。

 相対的に第二皇子の影響力は低下するだろ。

 

 しかし状況から考えて、バアルに操られているわけではないと思われる第二皇子は、バアルの力を使ってドーラに何かしようとは考えないんじゃないか?

 新大使第四皇子にちょっかいかけてくる可能性はある。

 でも自分の評判を下げるリスクがあるから、第四皇子を島流ししたことで満足して放置する可能性が高いのでは?

 ならばバアルは第二皇子とは関係なくあたしに何かしてくる?


「ごちそーさま。ボチボチ帰るよ」

「おう、今日も面白かったぜ」

「明日からもどんどん知らないアイテム手に入りそうだからさ、またどんな効果あるか教えてよ」

「ハハッ、楽しみだな。また来い」

「じゃねー」


 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇

 

「サイナスさん、こんばんはー」


 寝る前恒例のヴィル通信だ。


『ああ、こんばんは。眠そうな声だね?』

「わかる? イシュトバーンさん家で腹一杯ごちそーになったの。お腹が膨れると眠くなっちゃう人間の神秘」

『ハハッ、そりゃ結構なことだ』


 眠いとゆーか、いい気分だな。


「今日、コルム兄と緑の民のエルマを連れてエルフの里行ってきた。エルフ独自に発達したパワーカードの作り方教えてもらったんだ」

『コルムはわかるが、エルマって子は冒険者なんだろう? 確か緑の民の』

「うん。話してなかったっけ? エルマは高レベルの『アトラスの冒険者』だけど、本業は冒険者活動じゃなくてパワーカード職人なんだよ。コルム兄が以前に修行してた、ドワーフのアルアさんとこでね」

『ははあ、コルムの妹弟子なんだ』

「そゆこと」


 これである程度の『クールプレート』と『ウォームプレート』の生産は可能になった。

 塔の村で『遊歩』も作れるし。


「エルフに製作法教えてもらったカードが、ただ温まるだけ、ただ涼しくなるだけっていうものなんだ。武器とかじゃなくて」

『この前言ってたやつだな』

「帝国への輸出品になるかなーって考えてるの」

『輸出も考えてるのか。色々やってるなあ』

「輸出品が少ないとドーラがビンボーになっちゃうからね」


 輸出が増えなければ帝国からの輸入を制限して、貿易収支のバランスを取ることになりそう。

 ビンボーも輸入制限も嫌なので、とにかくドーラからの輸出を増やすのだ。

 帝国の商人さんに、ドーラの産物にはこーゆーもんがあるって紹介したいな。


「あとマルーさん連れてレイノス行ってきた」

『新政府関連の話かい?』

「うん。マルーさん家にパラキアスさんが来てたんだよ。新政府支持してくれってことでさ。でもマルーさんえらく機嫌悪くて。あたしは別件でカトマス行ったんだけど、奢ってもらえそーな雰囲気になったから、皆で行政府行ってゴチになった」

『君にとってゴチになったことが重要なのはわかるが、結局新政府の支持不支持についてはどうなったんだ?』

「もちろん支持だよ。マルーさん、あたしが押しつけた魔宝玉をたくさん持ってるじゃん? ドーラじゃ売れないけど帝国になら売れるぞー、だからレイノス押さえてる新政府に味方した方が得だぞーって言ったら一発だよ」

『君の説得は悪魔的だな』


 うちのヴィルは悪魔的なこと言わないんだけど。


「昨日パラキアスさんに飛ぶパワーカードを売ったんだよ。もう使いこなしてて、塔の村や聖火教本部礼拝堂に飛んでたみたいでさ、デス爺やミスティさんの支持を取りつけてるの」

『働き者だな』

「抜け目ないわ。で、新聞記者が集まってきたから、バルバロスさん以外の有力者は全員行政府支持だぞーってぶち上げてきたんだ。当面行政府は大丈夫かな」

『バルバロス氏の動向についてはわからないのか?』

「わかんないねえ」


 西域で支持のある人だし、イシュトバーンさんが通貨については協定結んどけって言ってたくらいだ。

 重要じゃないはずはないのだが、どこにいるかが不明だもんな?

 パラキアスさんもバルバロスさんの重要性はわかってるだろうけど、連絡の取りやすいデス爺とミスティさんを優先したに違いない。

 今西域に手を出せないから、バルバロスさんが思う通りにやってても害はないと見てるということもあるんだろう。


『君もかなり働いてるだろう?』

「おっ、サイナスさんもあたしの苦労をわかってきたかな?」

『でも感謝は形にならないぞ?』

「先にゆーなよもー!」


 笑い合う。

 サイナスさんのツッコミスキルも形になってきたなあ。

 なのにどーして感謝が形にならないのか?


『クー川沿いの魔物退治の件だが、明後日はどうかって話になったんだ。君の都合はどうだ?』

「あたしは大丈夫だよ。明後日の朝、緩衝地帯に行けばいいかな?」

『では頼む』


 輸送隊が帰ってくるのが明日だから、明後日かその次の日だろうとは思ってたし。


「大人数かけてやるんだ?」

『ああ。魔物退治して同時に柵を立てて、一日で決着できれば最高だ』


 まあ掃討戦の時ほど確保しなきゃいけない面積は広くない。

 参加する戦闘メンバーが少ないとはいえレベルは高いから、半日あれば十分だと思うぞ?


『焼き肉パーティーもオーケーが出たぞ』

「やたっ! 張り切って獲物を狩るよ! 楽しみだなー」


 働いた後、皆で食べる御飯はおいしいんだよなー。

 あたしは大勢で騒ぐの好きだから。


『今日の報告は以上か?』

「あの宝箱の空箱ね。『氷晶石』がなくても中に入れてるものが悪くなりにくい、不思議な箱なのかもしれないんだ。明後日いくつか持ってくから、そっちでも調べてくれないかな?」

『うむ、わかったよ』

「じゃ、サイナスさんおやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『はいだぬ!』


 明日はまずギルドか。

 その後は……。

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