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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第608話:行政府支持を表明する

「こんにちはー」

「あっ、精霊使い君! と、パラキアス殿?」


 レイノスまでクララの飛行魔法で送ってもらった。

 うちの子達にパラキアスさんマルーさんニルエと、結構大人数だ。

 混乱する西門の警備兵達。


「精霊連れで街中歩くと混乱するから、行政府まで飛んでいくね」

「警備上許しがたいことだとは思うが、目を瞑ってくれ」

「まあ仕方ないですな」


 隊長が苦笑する。


「ありがとう! じゃあね」


 再びクララの『フライ』で行政府へ。


          ◇


 よーし、行政府に到着。

 パラキアスさんに続いて中へ。


「ところでアンタは何しにカトマスへ来たんだい?」

「ヨブノブのクエストの進捗が止まってるっぽいんだよね。サボってるのかもしれないから、ちょっと様子見に行ったんだよ」

「タダ飯の方が重要性が高いから、行政府へ来たということかい?」

「優先順位考えりゃ当然だよねえ」


 パラキアスさんの肩が笑ってるわ。

 ニルエが言う。


「私、レイノスは初めてなんですよ」

「あっ、そーだったんだ?」

「あとで町を見て回っていいですか?」

「ごめん、今日はダメなんだ。理由はすぐわかると思うけど」


 ニルエがちょっと悲しそうな顔になる。


「ばっちゃん、近い内にニルエ借りるよ。その時にレイノス案内するから」

「よろしく頼むよ」


 二階の広い部屋、『知事室』のプレートがついたんだな。

 オルムスさんはドーラの知事か、あるいはレイノスの知事か。


「ああ、いらっしゃい」


 にこやかにオルムスさんが挨拶する。


「大勢だね?」

「ちょうど精霊使いがマルー殿の家を訪れてな。話をまとめてくれた」

「お昼食べに来ただけだぞ?」

「急ぎ注文を入れたところだよ。待っていてくれたまえ」


 マルーさんがオルムスさんをしげしげと見ている。


「随分といい顔になったじゃないか。この前バルバロスの胸倉掴んでたのと同一人物とは思えないねい」

「もう勘弁してくださいよ」


 本当に余裕が出てきたな。

 一枚の書類を出してくる。


「こちらに署名を願います」

「ああ、わかった。でもアタシゃ本当に政府の仕事には関わらないよ?」

「もちろん構いません。意見があるようなら出していただければ」

「シバさんも似たようなこと言ってたんだよ。政治のことなどわからんって。ペペさんには最近会ってないけど、多分同じこと思ってるだろうから、ギルドでは面倒事はパラキアスさんとオルムスさんに押しつけるぞーって言ってあるよ」

「ハハッ、乱暴だな」


 肯定と受け取ったよ。

 まあ事務仕事はプロに任せとくとして。


「ユーラシア君は何か欲しいものはないのかな?」

「あるある! 漁網が欲しい。地引網できるやつ!」

「漁網? 移民の食料対策かい?」

「うん。レイノスから魚運ぶと高くなっちゃうし、鮮度も問題だからさ」


 パラキアスさんが腕組みする。


「網は使用していいのか? 海の一族との協定はどうなっているんだ?」

「陸地に足が接しているなら大丈夫だって。海の女王に直接聞いてるから間違いないよ。船で網を沖に広げるのはアウトだけど、飛行魔法で上から落として浜で引けばイケるじゃん?」

「「ほう!」」


 感心する二人。


「あと炊飯釜が欲しいかな。釜は移民が持ってくると思うから、それ参考にして作ってもらえばいいか」

「米を炊くやつか」

「うん。クー川の水を使って米作始めるの。今年は種籾少ないから試験栽培だけど、来年からは大規模に作るよ」

「本当にいろんなことやってるなあ」


 あたしが直接やってるのではないってばよ。


「失礼いたします」


 部屋の外から声がかかる。

 来たか。


「やたっ、御飯だ! いただきまーす!」


          ◇


「ごちそうさまっ! おいしかった!」

「変わった食感の魚フライでしたねえ。カリッとしていて」


 揚げた骨を荒く砕いたものを中に仕込んである。

 これは……。


「この工夫は多分、『ダヤン食堂』のやつだよ。みじん切りタマネギをまよねえずに忍ばせてつけるところが、フィッシュフライフェスの時より進化してるなー」

「アンタは変なこと知ってるねい」


 マルーさんが笑う。

 さて、腹を満たすという重要な用は終わった。

 帰ろうか。


「パラキアスさんとオルムスさんも玄関まで来てよ」

「ん、何故だい?」

「あとで呼びに行くのは二度手間だから」

「「?」」


 わかってないながらもついて来てくれる二人。

 あ、やっぱり。

 受付が騒がしい。


「何だ?」

「新聞記者じゃないかなー」

「君、わかってたのか?」

「レイノスで飛行魔法使うと目立つみたいでさ」


 まよねえず講習会の時もこうだった。

 今回人数多かったしな。

 ドアを開けて外へ。


「こんにちはー」

「ドーラ日報です。あっ、精霊使いユーラシアさん! 先ほどのレイノス侵入事件の犯人ですか?」

「レイノスタイムズです。陰謀ですか政変ですかスキャンダルですか?」


 いつも思うけど、あんたらがっつき過ぎだろ。

 でも参考になる煽りだなあ。


「飛んでレイノスに入ったことはごめんよ。急ぎだったんだ。西門の警備兵さんの許可は取ってあるから。それより重要なニュースがあるよ」

「えっ? 何ですか?」

「パワーナインの一人、『強欲魔女』ことマルーさんが新政府支持を表明したぞおー!」

「マルーさん、本当ですか?」

「本当だねい」

「どうしてですか? 十人会議はケンカ別れに終わったとのことでしたが」

「アタシゃケンカなんかしてないねい。結局ドーラをまとめるには、パラキアスとオルムスが無難だという判断さね」


 うむ、パーフェクト。

 パラキアスさんとアイコンタクトする。

 適当なところで抜けるから、あとお任せしまーす。


「塔の村のデス村長と聖火教ミスティ大祭司からも支持をいただいた」

「冒険者関係のシバさん、ソル君、ペペさんも行政府支持だよ。『アトラスの冒険者』はレイノス以外の警備を担当、重大違反者には世にも恐ろしい刑罰を執行するよ」

「世にも恐ろしい刑罰とは?」

「知りたい?」


 キメ顔を見せておく。


「生まれてきたことを後悔するほどの不味さ、魔法の葉の青汁をたっぷり飲ませる!」


 パラキアスさん噴き出してるし、マルーさんはすっごい嫌そうな顔してるぞ?


「じゃ、あたし達は帰るね。聞き足りないことは、パラキアスさんとオルムスさんに聞いてちょうだい」

「えっ、ちょっと待って……」

「待たない」

「フライ!」


 びゅーんと飛んでカトマスのマルーさん家に戻る。

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