表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

605/2453

第605話:魔法の葉の楽しい利用法

 ――――――――――一二八日目。


 フイィィーンシュパパパッ。

 朝からギルドにやって来た。

 我ながらよく働くわ。


「やあ、おはよう。チャーミングなユーラシアさん」

「おっはよー、ポロックさん。と、シバさん」


 何故かシバさんがギルドのエントランスにおるがな。

 ポロックさんの娘さんに凄草あげた時以来か。

 シバさんが頭を下げてくる。


「孫娘のこと、感謝する。今ではすっかりお転婆だ」

「お転婆?」

「元気を通り越して、家の中が嵐に襲われているようなんだ」

「えっ?」


 娘さん、虚弱だったんじゃないの?

 どんだけステータスアップの薬草を食べさせたんだよ。

 これっていいことなのかな? 悪いことなのかな?

 でもシバさんもポロックさんも嬉しそうだからいいか。


 あれ? どーしたシバさん。

 改まった顔して。


「ユーラシア君に相談があるのだ」

「何だろ?」

「ドーラ新政府のことだ。首脳として会議に参加しろと言われた。オレは政治のことなどわからん」


 ははあ、なるほど?

 シバさんは実力者ではあるけど、冒険者畑の人だもんな。

 ドーラの首脳として何かしろって言われたって面食らうだろうな。


「いいんじゃないの? 政治のことなんかプロに任せておけば。具体的に言えばオルムスさんに押しつけておけば」

「「えっ?」」


 シバさんもポロックさんもポカンとしてるけど。


「ドーラを運営するのは、オルムスさんみたいな政治家のお仕事じゃん? でも政治家は支持を欲しがるんだよ。でないと国民を納得させることができないから。シバさんは支持してあげて、代わりにああしろこうしろと要求を出せばいいよ」

「し、しかし要求と言っても……」

「独立前のドーラ、そんなに悪くなかったと思わない?」


 シバさんとポロックさんが顔を見合わせる。

 独立前のドーラは田舎の植民地だ。

 敵は他人や他所の国でなく、魔物だけだった。

 魔物を排除してノーマル人の住める地域を増やしていく、初期と思われる段階でさえもまだ途上の国。

 ある意味無法地帯だけど、人が人を敵にしないことで何となく治まっていたとも言える。


「……うむ。不満がなくはないが、悪くなかった」

「なのにオルムスさんが税金取るぞーとか言い出したから、話がおかしくなったじゃん?」

「まさに」

「昨日行政府行って、色々話してきたんだよ。国民から幅広く税金取る話はなしになった。今まで通り、旧総督府の統治範囲でのみ執り行う、と」


 だって国民皆から税金取るなんてムリだもん。

 旧総督府の統治を踏襲して、貿易の振興と政府事業で収入が増えたらやれること多くしようねってスタンスでいいよ。

 ホッとした表情になるシバさん。


「今までと変わらぬのだな?」

「統治方法は変わんないよ。でも変わらざるを得ないところもあって……」

「移民か。大量にやってくるという」


 その通り。


「治安の悪化が予想されるよ。要するに『アトラスの冒険者』は、犯罪を取り締まる力を新政府に提供すればいい」

「ソール君の言っていた、悪者はしばいていいという権限とはそういう……」

「凶悪犯罪はもちろんだけど、詐欺行為や贋金は新政府の信用を落とし、社会が荒れるよ。絶対に許さないで」

「ふむ、任せよ!」


 バサッとマントを翻すシバさん。


「移民の方は任せて。お腹さえ満たしておけば問題にならないと思うんだ。カラーズに発破かけて掃討戦獲得地を開墾、受け入れ態勢を整えることになってるから、あっちはまず大丈夫だよ」

「うむ、君が言うならば!」

「シバさんはソル君ペペさんと意見を共有しておくことと、他の『アトラスの冒険者』にパトロールを周知させることをお願いしまーす」

「承知! さらばだ!」


 シバさんが転移の玉を起動して去った。


「ユーラシアさんが来ると、驚くほど話が早くまとまるね」

「あたし我が儘だからなー。自分のやりたいようにしたいんだよね。面倒なこと嫌いだし」

「ところで、その宝箱は何です?」

「何だと思う? クエストでゲットしたんだけど、中身が相当ひどいの」


 興味津々でポロックさんが宝箱を開ける。


「これは……魔法の葉?」

「すっごい不味いから嫌いなんだけどなー。こんなの詰まってて目を疑ったよ。開けた時のワクワクドキドキを返して欲しい」


 あーんど被った精神的ダメージに対して、慰謝料を請求したい。


「ハハハ、でもこれだけあるなら、結構な売却価格になるでしょう?」

「とゆー期待だけがあたしの心を癒すよ」


 買い取り屋さんで数えたら、魔法の葉は五〇〇枚以上あった。

 一枚の買い取り価格は一〇ゴールドなんだけど、これだけ数があると結構な収入になるもんだ。


「不味い食材がおゼゼになったと思えば許せるかな」

「このまま食べる人はほとんどいないですけど、加工材料としては非常に需要がありますからね」


 魔法の葉はマジックウォーターの主原料なのだ。


「でもあえてゲテモノ食いする人もいるらしいですよ」

「マジっすか」


 衝撃だ。

 そーゆー人類的な味覚を持たない人とは知り合いになりたくないな。

 わかりあえる気がしない。


「ユーラシアさんなら、不味さを逆手にとって何かしそうですけれども」

「期待されちゃうのか。じゃあとっ捕まえた犯罪者に、魔法の葉青汁を飲ませる刑罰っていうのはどーだろ?」

「ハハッ、ひどい」

「いや、ありなんじゃないですかね?」


 ただの冗談のつもりが、隣の武器・防具屋さんまで話に乗ってきたぞ?

 魔境に捨ててくるのと魔法の葉青汁を飲ませるの、どっちが人道的だろう?

 あたしが受刑者ならば魔境に捨ててもらった方がいいけれども。

 魔法の葉は安いから、刑罰としてはお手軽でいい気がする。


 注文していた『遊歩』のパワーカード二枚を受け取り、転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「アルアさーん、こんにちはー!」


 パワーカード工房にやって来た。


「はいよ、アンタはいつも元気だね。素材換金かい?」

「うん、換金もだけど、エルマ貸してちょうだい。エルフの里行ってきまーす」

「例のエルフのパワーカードの製法の習得だね? 難しかったら困るが」

「コルム兄も引っ張ってくから大丈夫だと思う」

「ああ、なら問題ないね」


 エルマが嬉しそうにこちらへ来る。


「お姉さま!」

「よし、行こうか」


 残り交換ポイントは二六八だ。

 フレンドで転移の玉を起動し、ホームへ飛ぶ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ