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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第592話:精霊使いの判断力に期待

「ふいー、終わった終わった」


 黄の民フェイさんの新族長就任の祝いと、それに続く掃討戦跡地をどうするかの会議は終了した。

 冬なのに、これだけ人が集まると暑いもんだ。

 カラーズ全体、さらにはドーラの将来にも関わるということで、熱気がある議論だったからかもしれないが。


 実際に掃討戦跡地をどうするかの具体的な議論があったわけじゃない。

 今日決まったのは、今後来る移民のために開墾しておくぞーっていう、極めて大雑把な方針だけだ。

 細かいことは各色の民の族長で決めてくれりゃいいよ。

 おゼゼは出すけど口は出さないあたしカッコいい。


「精霊使いユーラシアよ」

「あ、フェイさん」


 札取りゲームの木の部分ができたかな?

 札取りゲームの試作も進められるな。

 アレクケスハヤテにお任せの案件だが、これも割と楽しみ。


「族長就任おめでとう!」

「ハハハ、今までとやることが変わるわけではないのでな」


 うん、堂々としている。

 確かにフェイさんのやることは変わらないだろうけど、正式に族長に就任したことによって、カラーズの盟主と見る向きは多くなるんじゃないかな?

 ま、フェイさんがそーゆー役割を担ってくれると安心だから、よろしくお願いしまーす。


 少し引いた位置に控えているインウェンをチラッと見る。

 ……うん、フェイさんの縁談について特に進展や新しい情報はないようだ。

 了解。


「これ、依頼されていたものだ」


 木箱を二つ渡される。

 おお、札の角を丸めてくれたんだな。

 配慮が嬉しいよ。


「ありがとう。これでこっちも動けるよ」


 アレクに届けとこ。

 あれ、誰か来た。

 ディオ君とオイゲンさんだ。


「精霊使い殿、よかったのですかな? 大金ですが」

「ああ、いいのいいの。使ってこそのおゼゼだからね」


 皆してすげえって目で見てるけど、もっと尊敬してもいいんだよ。

 まーでも初動の資金にはなるだろうけど、あの三〇〇万ゴールドだけじゃ半端なところで尽きちゃう気がする。

 その辺は考えてくださいな。


「金だけ出して口出さないって、随分太っ腹じゃないか」

「おっ、サイナスさん。一五歳の乙女に太っ腹は禁句だよ。あたしは身も心も言動もスマートがウリだからね」


 アハハと笑い合う。

 ディオ君が聞いてくる。


「やはり水の確保が先ですか?」

「最優先でお願いしたいね。掃討戦跡地の地味自体は肥えてるんだよ。水があれば大丈夫そうなんだ」

「飲料用の井戸と、農業用の水路が必要だな」

「やっぱクー川のやや上流の方から水を引くってことになるかな。魔物が邪魔になるね。あたしが必要なら呼んでよ」


 サイナスさんを含めた四人が頷く。

 仕留めた魔物で焼き肉パーティーやるなら、タダで参加してやんよ。

 魔物退治はさておき。


「ディオ君。セレシアさんの服、あれは帝国への輸出品として有望かもしれないから、明日会うドーラ新政府の首脳に紹介してみる予定。でもこれセレシアさんにはまだ内緒にしといて。絶対暴走させんなよ?」

「わ、わかりました」

「オイゲンさん。例の札取りゲームの木の部分ができたんだ。まず一個ちゃんとした試作品作ってから、ヨハンさんに売り込みに行きたいんだよね。また今度相談に行くから、印刷・版画関係の人紹介してよ」

「ふむ、了解しましたぞ」


 さて、メインイベントのラブい話だ。

 インウェンの様子からすると動きはないっぽいが。


「フェイさんに縁談出てるんでしょ? どうなってるの?」

「ほう、めでたいですな」

「おめでとうございます!」


 オイゲンさんとディオ君が口々に言う。

 ハハッ、外堀埋めて逃げられなくしたったぞ?

 フェイさんがどういう気でいるのか、想像できることはあるけど全く聞こえてこない。

 フェイさんがどう認識しているかを直接聞きたいのだ。


「ハハハ、耳が早いな。まだ親族しか知らない話だと思ったが」

「この前フェイさんが何か言いかけてやめたことあったからさー。ピンと来た」

「呆れたカンの良さだな。まだ具体化した話は何もないのだ。ただ親族どもが話を積極的に進めたがっておってな」


 なるほど、周囲が結婚とゆー流れに持っていこうとしてるのか。

 もっとも族長を継いだなら跡継ぎをという話には当然なるだろうから、遅かれ早かれ嫁を取れという雰囲気にはなったろうが。


「段階を踏めばよいものを、周りが過熱気味でな。ブレーキがかからん。俺も少々手を焼いておるのだ。お主の力を貸してくれ」

「え? そー言われてもあたし、フェイさんの親類も相手の人も知らないんだけど?」

「必要あるまい。精霊使いの判断力に期待しているぞ」


 判断力に期待されたぞ?

 おまけに何も知らなくていいらしいぞ?

 いや、あたしは勝手に調べるだろうからてことかな?

 あるいはインウェンがある程度聞いてることに感付いてるからか?


「では、さらばだ。族長達にはまた連絡しますぞ」

「お待ちしておりますぞ。わしも帰ります」

「失礼いたします」

「ではまた」

「さよーならー」


 帰途に就く。

 むーん?


「ユーラシア。弁当を買っていってくれないか? 売れ行きが悪いみたいだ」

「もー。今日は会議なんだから出かける人少ないでしょ。見通しが甘いなー」


 あたしがフェイさんのラブ話に検討を加えているとゆーのに、何て間抜けなことを言い出すんだか。

 あ、アレク、ケス、ハヤテが来た。

 輸送隊の通達事項も終わったか。


「これ、札取りゲームの木の部分の試作品。紙の試作品と同じサイズのやつと、間伐材使って安く作れる小さいサイズがあるよ。どっちがいいと思う?」


 三人が箱と木札を代わる代わる見ている。

 真剣な表情はいいね。


「……うん、小さい方で全然問題ないね。価格重視でいいと思うけど」

「値段の方が大事だと思うだ。高いとそれだけで足かせになるだ」

「字の大きさを考えても安い方でいいぜ」


 ふむ、やはり小さい方でいいのか。

 しかしハヤテは精霊のクセに値段にうるさいのは何でだろう?


「じゃ、これ渡しとく」

「いや、ボクとケスは明日から輸送隊でいないんだ。ユー姉持っててよ」

「ん、わかった」


 じゃあ早めに緑の民の村へ行きたいな。

 アレクケスが帰ってくる前に話だけでもしときたいけど、あたしも時間がないからムリか。

 まあ可能ならでいいや。


「こんなところでお弁当食べてると邪魔か。じゃあ灰の民の村に急いで撤収」

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