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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第577話:フェイさんに意中の女性

 ディオ君に確認しておく。


「青のショップは売れ行き問題ないよね?」

「定番品は、はい」

「セレシアさんのファッションをカラーズで売ろうったって難しいもんな」


 セレシアさん本人と売り子達がいればある程度は売れるだろう。

 でもお金持ちの多いレイノスで展開すべきだわ。

 カラーズでは定番品売ってりゃいい気はするがな?

 レイノスで販売好調なセレシアさんと、意識の差は問題になるかもしれない。


「セレシアさんの店のいいところは取り込め」

「というと?」

「トータルコーディネートだよ。セレシアさんのファッションは独特だから、上から下まで欲しくなるでしょ? 結果的に売り上げが上がる」

「ふむ、客単価を高くせよということか」


 フェイさんは理解が早いな。


「うん。基本的に買ってくれる人って気に入ってくれてる人だからさ。付加価値やサービスを見せたらもっと買ってくれるって」


 ディオ君が感心している。


「姉上が年末に戻ってきまして、レイノスの状況は聞きました。しかし姉上の服をカラーズで売るのはムリなのではないかと」

「セレシアさん本人がいないとどーしてもね。カラーズはカラーズで売り上げ上げてりゃ文句言われないと思うけど」

「どうやってでしょうか?」

「トータルコーディネートの話の派生だけど、一セットまとめて買ったらお安くしますだったら売りやすいな。トップスはここから、ボトムスはここからっていう風に選択できるともっといいね」

「勉強になります」


 買ってくれる人数の問題もある。

 移民が来た時そっちに愛想よくしとけば売れるに決まってる。

 心配することなんかない。


「ところでユーラシアの用とは何だ?」

「ああ、インウェンに呼ばれてるんだった」

「インウェンに?」


 不審がらせたか?

 フェイさんのお相手がどうなるかの話だし、フェイさん自身がまだ情報を開示しないと決めてるみたいだからな?


「インウェンって、仲良く喋れる女の子いないみたいだからさあ」

「む、そうか」


 誤魔化したった。

 ただインウェンと仲良い女子がいなさそーなのは事実なんだよな。

 フェイさんが評価してるほどの子なのに何でだろ?


「インウェン! 精霊使いのお出ましだ」

「はい!」


 インウェンが裏から飛び出てくる。


「じゃ、インウェン借りるね」

「うむ。どうせ今日は暇だ。ゆっくりしてくるがいい」

「はい、そうさせていただきます」

「ディオ君もバーイ、またね」

「さようなら」


 フェイさんディオ君と別れる。


「何か面白い展開があった? 楽しみで楽しみで」


 他人の恋愛話はどーしてこんなに楽しいのかニヤニヤ。

 下世話じゃあるけど、インウェンには目一杯協力しますぞニヤニヤ。


「黄の民では年明け早々にでもフェイ様への族長委譲が行われます。これは決定事項です」

「うん。で、縁談の方は? 同時進行になるのかな?」

「……噂なのですが、フェイ様に意中の女性が存在するようなのです。それを族長家親族一同に明かしたところ大反対されたという」


 ほう?

 興味深い話だが……。


「確度の高い噂なのかな?」

「間違いないようです。誰が意中の女性なのかまでは漏れてきませんが」


 件の名家の娘のどちらかなら反対されるわけがない。

 意中の女性がインウェンと仮定して、大反対されるとするならば……。


「族長家親族一同も、家柄のいいお嬢さんのどっちを推すかで派閥があったりするのかな?」

「真っ二つに割れているらしいです」

「真っ二つかー」


 時間もなかったろうに、インウェンよく調べたな。

 普通に考えれば、族長家親族一同がフェイさんに二択を迫っているのだ。

 どっち選ぶか恨みっこなしだぞで、第三の選択肢を親族一同で寄ってたかって潰すということなのではないか。

 これだとインウェン嫁の目がなくなってしまう。

 インウェン推しのあたしにとって面白くない展開だ。

 どーすべ?


「ユーラシアさん、副隊長!」


 にこやかに話しかけてくる細身の女性、赤の民の輸送隊員ビルカだ。


「久しぶり。元気だった?」

「もちろんですよ。……あれ、ユーラシアさん、固有能力減ってますね?」


 ビルカは『鑑定』の固有能力持ちだ。

 よく見てるな。

 普段から見るクセをつけているのかもしれない。


「あたし死ぬ可能性が半分くらいあったんだって。能力の一部を犠牲にして生き残ったって、占い師に言われた」

「「えっ?」」


 驚くインウェンとビルカ。

 帝国本土に遠征していたことを明かす。


「大変だったんですねえ」

「本当だよ。危険従事手当も残業代もボーナスも出ないってどういうことだ。ドーラ政府にもの申したいわ」


 アハハと笑い合う。


「インウェン、ビルカの意見も聞いていいかな」

「え? はい」

「黄の民の族長代理とインウェンの相性どう思う?」

「!」


 ズバリ直球で聞く。

 インウェン驚くなよ。


「ピッタリだと思います」

「!」

「だよねえ。他人を見る目のある『鑑定』持ちの意見だよ。あたしもお似合いだと思うし、傍から見たごく常識的な感想だと思っていい。自信持ちなさい」

「は、はい」

「どういうことですか?」


 ビルカに黄の民族長家の話とフェイさんの縁談について説明する。


「ははあ。フェイ族長代理のようなリーダーシップ旺盛な男性には、副隊長のような女性が合っていると思いますが」

「まったくビルカの言う通りだわ。インウェン可愛いし」


 赤くなった。

 インウェン可愛いよインウェン。


「族長代理は何か仰ってるのですか?」

「何も。当事者のはずなのに、全然困ってるっぽく見えないんだよねえ。少なくとも外見上は」

「フェイ様はそういうお方ですから……」

「では、何か考えがあるのに違いありません」


 インウェンエンドで上手にまとめる方法あるだろうか?


「……基本的にあたしみたいな部外者が関わる話じゃないしな?」


 悲しそうな顔するなよ。

 

「あたしいつも緩衝地帯に来られるわけじゃないからさ。ビルカ相談に乗ってあげてよ」

「はい、もちろん」

「インウェン、フェイさんがあたしに何か言おうとしたってことは、あたしが協力できる策があるんだよ。全力で取り組んでやるから元気出しなさい」

「は、はい」


 フェイさんが振ってきたなら、あたしもエンターテインメントに参加できる。

 それまではどうにも。

 とりあえず後の楽しみかな。


「灰の民がお弁当の店出してるんだよ。奢るから食べてこ」

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