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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第576話:新年二日目の様子

 ――――――――――一二四日目。


 今日は凄草株分けの日だ。

 うちの畑番である涅土の精霊カカシと話をする。


「カカシはさー、メッチャやってみたいこととかある?」


 うちとしてはカカシの存在はひっじょーにありがたい。

 面倒な農作業の手間、とゆーか作物の世話が激減している上に、凄草の栽培などというおそらくは世界一凝った農業をしてもらっているからだ。

 一方でカカシに仕事を押しつけちゃってるなあ、という思いもある。

 カカシの希望があればかなえてやりたい。


「ん? 凄草を育てるという夢がかなったから満足だぜ」

「でも同じことやってると飽きない?」

「いや、そうでもねえんだ。今、凄草の株分けは六日サイクルだろ? 短くすることは可能じゃないかと考えているんだ」

「おお、すげえ!」


 カカシも色々考えてるんだなー。


「結論から言うと、五日サイクルにするのは可能なんだ。だが、ある程度の気温があって天候が安定してる時じゃないと、株が弱るんだな」

「うーん、株が弱ると甘みが足りなくなるよーな気がする。おいしい方がいいな」

「ハハッ。オイラが作物に対して弄れるのは土の中だけだから、まあ六日の方が安全だな」

「ふーん。わかったよ」


 でもカカシの管理下だと虫も湧かないよな?

 土の中じゃなくてもやれることはあるらしい。


「温度と日照時間をどうにかして、冬でも作物作るってアイデアを仕入れたんだよ。カカシの言うことと通じるねえ」

「ほう? そりゃ面白えじゃねえか」

「温度の方は何とかなりそうだけど、日照時間が難しいんだよなー。いや、どっちにしてもえらい初期投資が必要だからムリか。コスパ考えたらドーラの余ってる土地を畑にする方が先に決まってるわ」


 大量のガラスで覆うなんてことが可能ならイケるかもしれないが、実現するにはかなりの技術革新が必要だろう。

 どこかで似たような研究している人がいたら、カカシのためにうちでも実験的な温室を作ってもいいけどな。


「目先は有用な作物を作っていくってことになるよ。春になったらまた新しいの見つけてくるからよろしくね」

「任せてくれ」


 今年も楽しみだ。

 春から夏にかけての魔境なら、おそらくもっと多くの役に立つ植物を見つけられるに違いない。

 魔境はとにかく一年間は探索してみて、何が手に入るかはチェックしたい。


 おっと、ダンテの声だ。


「ボス、ブレックファーストができるね」

「あっ、凄草摘めたよ。これもよろしく」


 いただきまーす。

 今日も元気に朝御飯をいただく。


「あたしはカラーズの方に行ってくる。帰りの時間わかんないから、あんた達は適当にのんびりしててね」

「「「了解!」」」


 うんうん、ここのところ人混みばっかりだったからね。

 精霊にとっては気疲れすることが多かっただろう。

 今日くらいは休んで欲しいよ。


「あっしはあのウインドスライダー使ってみたいんでやすよ」

「あっ、ミーもね!」


 帝国の脱出用滑空装置?

 もうあんたら『遊歩』で自由に空飛べるじゃん。


「いやいや、ロマンでやすぜ?」

「ロマンね!」

「わからないなー」


 『遊歩』の練習した方が現実的なんじゃないの?

 クララが苦笑する。


「私は森を見てきます」

「うん、お願い」


 うちの子達も楽しく過ごしてくれるといいな。


「ごちそうさま、行ってくる!」


 びゅーんと飛んで緩衝地帯へ。

 うむ、かなり飛ぶのも上手になってきた気がする。

 すぐに緩衝地帯が見えてきた。

 さすがに年明け二日目だからか、ショップは少ないな。

 あれ、お弁当屋があるぞ?


「サイナスさん!」

「ああ、ユーラシアか」

「お弁当屋? 狙いがいいねえ」

「だろう? 転移で掃討戦跡地に遊びに行く人が多いから、ちょこちょこ売れるんだ」

「なるほどー」


 転移先が格好のレジャー地になっているらしい。

 クー川見たい、開発前の状態を覚えておきたいって人も多いんだろうな。


 さてさて、お弁当はいかに?

 あたしの持ってきたコブタ肉も入っている。

 こんなの肉入りだぞーレジャーに最適だぞーって転移石碑の近くで宣伝すれば、いっぺんに売れるだろうに。

 でもいらんこと言うとまたタダ働きさせられそうだから黙っとこ。


「もし昼まで売れ残ってたら、一つもらうよ」

「何か意見はないかい?」


 手伝わそうたってそーはいくか。


「お弁当の? 白の民とコラボしなよ。せっかくケスが遊びに来るんだから」

「コラボか」


 白の民は酪農品が得意だ。

 灰の民の野菜と合わせれば、より魅力的なお弁当になるに違いない。


「じゃねー」

「ああ」


 黄の民のショップへ。

 黄の木製品こそ正月から売れるもんじゃないだろうに、働き者だなあ。

 いつもやってる店だっていうアピールかも知れないな。


「フェイさーん、とディオ君?」


 青の民族長代理のディオ君だ。

 何故ここに?


「特に用があるわけではありませんが、勉強しに」

「ふーん? で、何でフェイさんは店開けてるの?」

「俺がここにいると相談しに来てくれる人もいるのでな。まあショップはおまけみたいなものだ」

「おまけだったかー」


 確かに村に引っ込んでるよりショップで顔出してた方がいい。

 緑の民オイゲン族長も相談に来やすいだろうしな。

 ニクい意図だなあ。


「物見台を特急で作ってくれたんだって? ありがとう」

「ハハハ、まあそれくらいはな」


 豪快にフェイさんが笑う。


「しかし暇過ぎるのも困りものだ。何とかならんか?」

「製品をウリにするより、大工集団であることを前面に出す方がいいかもしれないねえ。新築、解体、修理何でもやりますで、具体的にこんな仕事ならこれくらいの期間でいくらでやるって宣伝してさ。幸い昨日の物見台建設で黄の仕事の早さは知られたろうから」

「ほう、そうだな」

「で、建築のお客さんに安く家具譲るよでサービスしてやればいい。例えば五パーツくらいで完成の家具を二パーツつけてさ。もっと欲しければいつでも注文請けますよってすれば売れるって」


 頷くフェイさんとディオ君。


「早くて安いことが知られるといっぺんに仕事集まるよ。他色の民の大工がどうせ失業するから、吸収して仕込んでやってよ」

「ハハッ、考えておこう」

「服飾に応用するとどうなりますか?」

「ディオ君は熱心だなー」


 フェイさんよりディオ君が食いついてるじゃねーか。

 あれ? 青の民のショップで問題があるわけじゃないよね?

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