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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第575話:首突っ込む気満々

 ソル君は今後のドーラをどーするかの会議に参加してるはずだ。

 それこそ政治家っぽいことやらされてるかもしれない。


「ソル君は真面目だから、仕事を抱え込み過ぎないか心配だな。ま、いいや。明後日ギルド行くからわかるだろ」

「あっ、ユーちゃんまだ帰ってきてからギルドに行ってないの?」

「行ってない。タイミングが合わないってこともあるけど」

「泣かれるわよお」


 誰にだ。

 いや、エルマも泣きそうだったか。

 『アトラスの冒険者』と言えば、今日ピンクマンとサフランに会わなかったな。

 転移石碑設置とゆー結構なイベントなのに。

 あんなに目立つ二人を見なかったってことは……。

 あれ? ひょっとして何かトラブルか?


「嫌な予感がする。明日行くところができたな」


 ってのはともかく。


「つかぬことを聞くけど、バエちゃんやシスターは絵を描かれることに興味はあるかな?」

「どういうことです?」


 セクシー画集のモデルを探してあーだこーだ。


「……っていう企画だよ。その絵師が、不思議なほど魅力的な女性画を描く人であることは保証する」

「面白いですわね!」

「私も全然問題ないわ」

「まだ本決まりじゃないんだ。大したお礼もできないと思うんだけど」

「「楽しみだわ!」」


 あれえ?

 皆ノリノリだな。

 何でだ?


「いいのよ。どうせユーちゃんが仕掛けるなら売れるんでしょう?」

「メッチャ売れる。ドーラで発行される、あるいはされた本の中ではぶっちぎりになると思う」

「記録的に売れる画集のモデルになれるなんて名誉ですわ」


 ふーん?

 描くのイシュトバーンさんだぞ?


「最初は冗談のつもりだったんだけどさ。何か今までこの話した人、皆賛成してくれてるんだ。あたしも本気で取りかかってみることにするよ」

「わあい、楽しみい!」


 高速クネクネ出ました。

 これただの思いつきで、まだ何も進めてないからな?

 動き始めりゃ早いと思うけど。

 何故ならとっととモデルを紹介しろって言うに決まってるから。


 イシュトバーンさんがオーケー出すことは間違いないとして、どれくらいの質のものがいくらで出版できるのかは調べとかなきゃいけないな。

 緑の民とは積極的に接触を持った方がいいか。


「ありがとう、ごちそーさま」

「こちらこそ。またお肉持ってきてね」

「もちろんだよ」

「わあい、楽しみい!」


 高速クネクネ再び出ました。


「ところでユーちゃん、シスター・テレサに新年のアドバイスある?」

「え? 唐突だね。正月休みの内に部屋片付けなよ」

「どきっ!」


 笑いの中、お開きとなった。

 転移の玉を起動し帰宅する。


          ◇


「サイナスさん、こんばんはー」


 寝る前恒例のヴィル通信だ。


『ああ、こんばんは。今日は御苦労だったね』

「カラーズの新しい一歩となる日だったねえ」


 今日はあたしよりもアレク大活躍の日だ。

 主役は譲ってやんよ。


『午後、早速転移先で行方知れずになった人が出たんだ』

「もうかよ」


 懸念はなくはなかった。

 見通しがいいようで、微妙な土地の起伏があったり灌木が生えてたりするから。

 探索に慣れてない人は、方角がわかんなくなると迷うこともありそう。

 

『フェイ族長代理がすぐに遠くからでも見える物見台を組んでくれてな。大事には至らなかったが』

「できる男だなー」

『まったくな。それから輸送隊のお団子副隊長が来て、聖火教徒に売る食物の手配をしていったぞ』

「聖火教徒のところにはもう移民がいるからなー」


 礼拝堂とその北の集落は、水をどこから引いてるんだろうな?

 昨日聞いとけばよかったが、かなり忙しそうだったし。

 可能なら魔境クレソンを植えたいものだ。


『お団子副隊長がユーラシアに話があるということだったが』

「新しいことわかったのかな?」

『面白いことかい?』

「フェイさんが正式に族長になるらしいんだ。で、結婚話が持ち上がってるってことなんだけど」

『ほう、あの副隊長とかい?』

「いや、もっと家柄のいい子で候補が複数いるって聞いた」

『ふうん?』


 サイナスさんも違和感を感じたようだ。

 さもありなん。


『副隊長の子、族長代理にお似合いじゃないか?』

「あたしもそう思うんだけど、黄の民は家格重視ってところがあるみたいよ?」

『まあ他所者が口出すことじゃないしな』

「ところがフェイさん、他所者のあたしに相談しそうな雰囲気だったんだ。おかしいと思わない?」

『ユーラシアに? ……おかしいな、接点がないじゃないか。理屈に合わない』

「でしょ? だからインウェンに、この話必ず騒動になるから何かあったら教えてって言ってあるの」


 サイナスさんが呆れたように言う。


『君、首突っ込む気満々じゃないか』

「あたし以外の誰が首突っ込むんだ!」

『え? そういう芸風もあるのか』


 芸風言われたぞ?

 常に新規なエンタメを追求するあたし。


「楽しみだなー。明日、黄の民のショップ行ってくるよ」

『興味本位もほどほどにしとけよ』

「あたしの『ほどほど』とサイナスさんの『ほどほど』の間には、かなりの溝がある気がする」

『わかってたら自重するんだよ』

「またまたサイナスさんたら、『自重』とかあたしの知らない難しい言葉を使って」


 もちろん知ってる言葉だってば。

 胡散くさそーな雰囲気が通信越しに伝わるわ。


「あとで思ったんだけどさ。今日、黒の民のサフランとピンクマンの姿が見えなかったんだよね」

『……何か問題があるのか?』


 輸送隊休みだから生産がギリギリってこともないはずだしな?


「ひょっとして何か、あたしのいないところで面白い事件が起きてるかもしれない。黒の村も行ってこようかなーと思ってる」

『わかった、オレは必要ないな?』

「うん。偉大な族長に恐れ多くも御足労願うほどじゃない」

『……ゾワっとする芸風だなあ。やめて欲しい』

「そお?」


 案外注文がうるさいな。

 文句言わずに消化してくださいな。


『とりあえず明日もカラーズへ来るということだね?』

「行く。『アトラスの冒険者』のギルドが今日明日新年休みで、明後日から始まるみたいなんだ。明日は暇だから、カラーズをウロウロすることにする」

『わかった、今日は疲れたろ』

「まあ。サイナスさん、おやすみなさい」

『おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 明日はうちの子達は置いていくか。

 黒の民の村行く時はヴィル呼んだろ。

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