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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第57話:謎は全て解けた

 努めて陽気にリタに話す。


「リタの弟さんと妹さんのことはあたし達全然知らないんだ。でも村には伝わっているかも知れないよ。リタが知りたがってるって、村の人達には伝えておくからね」

「よろしくお願いします。ああ、こんなに楽しみなのは久しぶり!」


 少女霊リタが両手を合わせる。

 ちょっとはしゃいでるじゃないか。

 そして嬉しそうであるほど魔力が安定してきているような気がする。

 根が善性の御神体なんだろうなあ。


「あたし達はもう行かなきゃいけないけど、いずれまた来るからね。面白い土産話でも持ってね!」

「期待して待ってますよ。そうだ、これ差し上げます」

 

 くれるものは喜んでもらう美少女精霊使いユーラシアの流儀、とゆーかモットー。

 少女霊リタがゴソゴソして何かを取り出そうとしている。

 板? あっこれ……。


「『地図の石板』じゃん! どうしたの、これ?」


 実に唐突でビックリだな。

 『地図の石板』ってこんな手に入れ方もあるのか。

 とゆーか必ず海岸で拾うってものでもないんだろうな。

 ギルドでもらったやつもあったし。


 リタが首をかしげる。


「さあ……いつの間にか手元にあって、あなたに渡さなければいけないような気がしたものですから」

「ふーん、とにかくありがとう」


 荒れ狂ってた御神体から何の脈絡もなく『地図の石板』が出てくるのは不思議。

 ただクエストを終えたら次という概念なら自然とも言える。

 『アトラスの冒険者』は謎が多いな。

 とゆーか考えちゃいけない部分なのかもしれない。

 『アトラスの冒険者』のメンバーとしては、きちんとクエストを振ってくれりゃ文句ないんだし。


「じゃあ、さよなら!」

「さようなら!」


 少女霊リタのほこらを出て参道へ。

 もうおかしな魔力を感じなければ、参道がループしていることもない。

 ユーレイ達も出てこない。

 完全に正常な状態と思われる。

 惜しいな、ユーレイから比較的効率よく経験値や素材を稼ぐことが可能だったんだけど。


 村に戻って、村長らに御神体である少女霊リタの言っていたことを報告する。


「……なるほど、土地神様が消失してしまい、我らが御神体たる少女霊リタが悲しんでいるがための異変、ということでしたか」


 壮年の男が首を振る。


「土地神様、という存在は全く知らなかった」

「多分知らなかったから、土地神様は信仰心を得られずに消えちゃったんだと思うんだ」

「もう少し土地神様と近しく寄り添えていたなら、御神体も……」

「まーいなくなっちゃったものはしょうがない。代わりに今の御神体リタを敬ってやってよ。より一層霊験あらたかになると思うよ」


 深く頷く村長と壮年の男。


「わ、私がその、御神体の妹さんの方の子孫だと思います。御先祖の姉が、身を捧げ村を救ったと伝えられておりますので」

「リタのところへ行ってあげてよ。弟と妹のこと、どうなったかすごく気にしてたから。子孫が話をしに来たら、絶対に喜ぶよ」


 顔役の一人である中年女性は、涙しながら深く頭を下げる。


「リタを御神体として崇めるんじゃなくて、友として、仲間として語りあえばいいんじゃないかな」

「誠にその通りですな。いや精霊使い殿、期待以上の成果でしたぞ。本当にありがとうございました。些少ですがお受け取りくだされ」


 村長から七〇〇〇ゴールドを渡された。

 メッチャ大金じゃん。

 マジかよ、えらく裕福な村だな。


「いいのかな? こんなに」

「いやいや貧乏な村でお恥ずかしい。素材を集めているとのことでしたので、こちらもどうぞお持ちください」


 ごっそり山積みの素材をもらった。

 こっちもありがたい。

 合計ですげえ儲かったぞ。

 また一枚、パワーカードを交換することが可能になりそう。

 人前にも拘らず、クララが興奮気味に声を上げる。


「ユー様、これ『クラムボン』ですよ!」


 レア素材が含まれていたらしい。

 嬉しいなあ。

 どんなパワーカードと交換できるようになるだろう。


 さて、『ほこら守りの村の怪』のクエスト自体は終了だ。

 しかしもう一つ残った難題に取りかからなくてはいけない。

 このまま帰ったんじゃ寝覚めが悪いのだ。

 直球でぶっ込め!


「最後にマーシャのことなんだけど」


 三人の表情が凍りつく。

 この村にとってマーシャって何なんだろうな?

 あれほどの魔力を持った子が捻くれるとえらいことになるぞ?


「あの子が何をしでかしたのか知らんけど、すごく悲しんでいたから可哀そうで。許してやってもらえないかなあ?」


 三人は互いに顔を見合わせ、何も言わない。

 もう一押しか。


「大変な才能の持ち主であることは間違いないよ。あたしの顔に免じて、何とか」

「許すも何も、あの子は……」


 壮年の男が口角を微妙に引きつらせながら言う。


「二日前、肥溜めに転落しましてな」


 ……へ?


「村中大騒ぎでしたわ。何度洗っても臭いが取れなくて、髪も剃ってまた洗って」

「でもダメで。時間が必要ですね。しばらくは香を焚いた小屋から出てくるなと。毎日きちっと洗ってやるからと。まだ三日はかかるんじゃないですかねえ」


 何だそれ?

 もっと深刻な事態を想定してたわ。

 『みんなにきらわれ、かみのけがなくなってしまった』って、うんこまみれだったからってこと?

 穢れが消えるって文字通りの意味なん? 


「マーシャを気にかけていただいてありがとうございます。あの子に類い稀な魔術の才能があることは、村の大人は皆知っていますよ。天候のことなどはあの子に占ってもらうんです。ああ、ちょっと前から『ゆーしゃさまがくる』って言ってましたけど、あれはあなたのことだったんですねえ」


 どーしろとゆーんだ。

 空回りした自分がこっ恥ずかしいわ。

 ちゃんとマーシャは村人に愛されてるやないけ。


「じゃ、あたしはマーシャにさよなら言って帰るね」


 村長が言う。


「あの子はすぐにでも御神体に会いたがるでしょうが、完全に穢れが消えるまではダメだぞと伝えて下され」


 はい、りょーかいでーす。

 マーシャはリタが悲しみから解放されたことを知って大喜びでした。

 数日後にはリタに会いに行くんだろうな。

 ……早く穢れ(物理)が消えるといいね。


 転移の玉を起動して帰宅する。


『クエストを完了しました。ボーナス経験値が付与されます』


 あ、またレベルが上がった。

 石板クエストのボーナスは、必ずレベル上がるのかな?

 オチがひどい(笑)。

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