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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第558話:『西域の王』が不機嫌らしい

 フイィィーンシュパパパッ。


「こーんにーちはー」

「あっ? 精霊使いさん?」

「そうそう、麗しのあたし」


 自由開拓民集落チャーミングなユーラシアにやって来た。

 どーもあたしの名前がついてる集落だと、何か崇め称える接頭語がないと収まりが悪いもんだ。

 『ユーラシア』って元々神様の名前らしいし。


「久しぶりじゃねえか」

「間空いちゃったね。でも自分の名前を冠してる村だと思うと気になっちゃってさ」

「ハハッ」

「冬は越せそう?」

「全然問題ないぜ。冬飛び越えて春になったらどうしよう、どこに金使おうって盛んに話してるところだぜ」


 やる気になってるのはいいね。

 この集落は当面問題ないだろう。


「ここ一ヶ月くらいバタバタしてなかった?」


 クレソンを持ってくること以外の重要な目的がこれだ。

 西域の自由開拓民集落は得られる情報が少なかったと思う。

 帝国との戦い、ドーラの独立についてどういう説明をされている?


「してたしてた。帝国の皇女がどこぞにいるの帝国軍が攻めてくるのって、ウソだか本当だかわからねえ噂が出てたんだ」

「だろーなー」


 リリーが西域塔の村にいるという噂は、おそらく戦前にパラキアスさんがリークしたこと。

 帝国軍が攻めてくるというのは、開戦してから『アトラスの冒険者』にもたらされた情報か、それを他所から聞いてきたかだろう。


「今は落ち着いてるみたいだけど?」

「ああ、一〇日くらい経つか、もう少し前だったかな? バルバロスさんが村に立ち寄ってよ」


 『西域の王』の異名を持つバルバロスさんか。


「帝国軍は去り、ドーラは独立した。もう心配はいらないと告げていったんだ」

「バルバロスさんグッジョブ」


 西域の自由開拓民集落はバルバロスさんが面倒見てるみたいだな。

 じゃ、必要最低限の情報は各集落が持ってるし、問題なさそう。


「村の皆が不安になっちまってよ」

「え? 何で?」

「バルバロスさんがすげえ不機嫌そうだったんだよ。ドーラ独立って言われてもよくわかんねえけど、めでたいことなんだろ? なのに何で? 裏があるけど、バルバロスさんは心配させまいとああ言ったんじゃ? ってことだな」

「おおう」


 まさかおかしな感じに裏読みされてるとは。


「精霊使いさん、何か知らねえか?」

「帝国とはほとんど戦闘状態にならなかったんだ。で、ドーラが円満独立した。この村が心配いらないってとこまでは本当」

「やっぱり問題ねえのか。外の人の話を聞くと安心するぜ」

「ただ、バルバロスさんが不機嫌ってのは理由がわからんな?」


 戦争前、何とかパラキアスさんが納得させたってことだったけど?


「バルバロスさんって会ったことないんだよな。ドーラの独立に反対っていう立場だったの?」

「どうだろう? 聞いたことねえな。自分のことは自分でやれ、他に頼るなって考え方の人なんだ。ドーラの独立には賛成だと思うがなあ?」


 バルバロスさんは自主自立の考えの人と聞いた。

 自立しろって考え方なら独立に反対しそうじゃないなあ。

 とゆーか反対だったら、パラキアスさんに説得されて大人しくしてるってことがそもそもないわ。

 何か他の理由、今後のドーラの方針に反対とかかな?


「まーいーや。たまたま機嫌が悪かっただけかもしれないしな」

「精霊使いさんの見る限り何の問題もねえんだな?」

「ないない。輝かしき未来はあんた達のものだ!」


 村人大喜び。

 何か問題あるなら知らせに来るわ。


「ところでこれ、温かい水が出る辺に植えといてくれる?」

「何だこれ?」

「魔境で手に入れたクレソンっていう食べられる草だよ。サラダでも炒めてもスープでもイケる。ここの温かい水と相性が良さそうだから、やたらと増えるんじゃないかってことなんだ」

「おお、ありがとうよ」 


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 自由開拓民集落ユーラシアにクレソンを置いてきてから、塔の村にやって来た。

 ちなみにうちの子達は家で夕御飯の用意をしている。

 えーと、デス爺の頭はと。


「おーい、じっちゃーん!」

「うむ、ユーラシアか」

「じっちゃんの頭はいい目印になるから見つけやすいよ」

「そう褒めるでない」


 褒めてねーよ、という言葉を危うく飲み込む。

 やるなデス爺。


「何か用か」

「色々あるね。明後日転移石碑の設置するんだ。じっちゃんもチェックしに来てよ」

「思ったより早う仕上がったの」


 アルアさんが頑張ってくれてるからだろうな。


「大地からの魔力吸い上げについてはアレクとクララにお任せ」

「何? アレクが?」


 あっ、誰もデス爺に話してなかったのか?


「一ヶ月くらい前にマルーさんに教えてもらったんだ。すげー難しくてさあ、あたしには全然わかんなかったけど、アレクとクララは理解してた。特にアレクは理屈だけじゃなくて、あたしん家で実際に装置作ってるから大丈夫」

「マルーから教えてもらったじゃと?」


 おっと、マルーさんに引っかかってるのか。


「マルーさんもいい人だから、頼めばわかってくれるんだって」

「そんなはずがあるか! どれだけの金にものを言わせたのじゃ!」

「タダだってば。お礼に魔宝玉は渡したけど」

「……」


 疑ってるね?

 でも本当なんだぞ?


「じっちゃんにも転移石碑設計のお礼ね」


 黄金皇珠を渡す。


「黄金皇珠? 本物か?」


「本物だってば。これ普通に売ると二万ゴールドくらいなんだけど、商人さんは縁起物だって喜ぶんだよ。もっと高く買ってくれる人もいる」

「ふむ。すまんの。もらっておこう」


 塔の村の経営も難しいだろうからな。


「魔宝玉ごそっと持ってきたんだ。半分渡しとくから、資金のやりくりが厳しくなったら使って」

「ありがたいが、これはどうしたのじゃ?」

「さっき魔境で取ってきたんだよ」

「……なるほど、お主は簡単に人形系レアを狩れるのじゃったな」

「うん。コルム兄の作ってくれたパワーカードのおかげ」


 デス爺がこめかみ辺りを抑える。


「先日のドーラの体制作りについての会議でも、魔宝玉とコショウはドーラの重要な輸出品になるという話が出たが……」

「最初はしょうがないけど、魔宝玉に頼ってちゃダメだなー。産業育てないと」

「うむ。ところでその草は何じゃ?」

「魔境のクレソンだよ」

「この前言ってた、食の足しになるやつじゃな? 水場はこっちじゃ」


 塔の村にも植えられるところがあるみたい。

 増やしてください。

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