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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第554話:パワーカード『遊歩』

「結構、素材を稼げやしたぜ」


 エルフの里から帰宅して、やや遅めの昼食中だ。

 お弁当持ってったんだけど早く片付いたから、家で食べている。


「新しいのあった?」

「ない、ですね。でも『ささら雲母』と『緑岩綿』がありますよ」

「新規じゃないレア素材は、いつもみたいにキープね」

「はい」


 残りの素材はアルアさんところへ持っていこう。


「ロック鳥はクレバーだったね」

「賢かったね。魔物扱いされていても、こちらの言うことを聞いてくれる子は敵じゃないからなあ」

「いや、姐御とあの白いエルフの族長は食材扱いしてやしたぜ」

「ちょっとどうかしてたよ。これからは不味そうな魔物は食材扱いしない。でもお腹減ってる時は宗旨替えする」

「今までと何も変わってないですよ?」

「そうだね。よく気付いたね。クララは偉い」

「えへへー」


 おーいクララ誤魔化されてるぞーと言うアトム。

 フーやれやれというポーズをとるダンテ。

 うんうん、日常だねえ。


「アルアのアトリエにゴーね?」

「うん。今日は皆で行こうか」

「「「了解!」」」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「アルアさーん、こんにちはー」

「おや、久しぶりだね」

「ユーさん!」


 作業場にいたゼンさんが飛んでくる。


「話は聞いてたぜ。一番大変な戦場にいたんだろう? 無事でよかった……」


 泣かなくてもいいのに。


「テンケン山岳地帯の皆さんは、長老以下全員無事にドーラへ転移してきてるよ。本部礼拝堂のあるところに集落作ってるから大丈夫」

「ああ、知ってる。エルマが長老を連れてきてくれたんだ」


 長老から話聞いたのか。


「アンタらがドーラに帰っている、という噂は数日前から流れていたんだよ。でも実際に顔を見ると安心するね」

「安心するぬ!」


 よしよし、いい子だね。


「山ではヴィルが大活躍だったんだよ」

「大活躍だったぬ!」

「ああ、聞いた。悪魔を使って聖火教を無関係に見せかけたってな。細かいことまですまねえ」

「まあそれはそうと、お土産だよ」


 冷凍コブタ肉を渡す。

 戦争は終わったことだ。

 あたしは過去にはあんまり興味ない。

 エンタメネタになることは覚えとくかってくらい。


「かかかっ、いつもありがたいね。いただくよ」

「素材換金してもらっていいかな?」

「はいよ」


 帝国の山ではあまり素材を手に入れることはできなかったが、昨日今日で結構拾えたからな。

 交換ポイントは一一六〇となる。


「飛行カードが完成してるよ。特注扱いだから一枚二四〇ポイントだ。どうする?」

「やたっ! 楽しみだったんだ。四枚ちょうだい!」

「おいおいユーさん。説明も聞かないでいいのかい?」


 おおう、気が逸るよ。


「こういうカードさ」


 『遊歩』常時『ソロフライ』状態


 ほう『遊歩』。

 洒落たカード名じゃないか。

 いかにも楽しそう。

 しかし『ソロフライ』って何だ?


「常時『フライ』は消費マジックポイント量の問題でムリだった。で、機能を限定して消費マジックポイントの少ない飛行魔法を作れないかとペペに依頼してね」

「ペペさんに?」


 なるほど、誰でも使える飛行魔法はロマンだからなー。


「カードができたら一枚提供することを条件に、一人用飛行魔法『ソロフライ』を作ってもらったのさ」


 ははあ、一人用にすることで効果範囲を狭め、その分消費マジックポイントを減らすということか。

 ペペさんはさすがにやるなあ。


「ペペさんは一人用飛行魔法を販売するつもりなのかな?」

「いや、売らないと言ってたね。危険だからだと」

「危険?」


 危険な魔法をパワーカードに組み込むのは困るじゃないか。


「思いっきり天井に頭ぶつけて大きなコブを作ったって言ってたよ」

「いかにもペペさんっぽい」


 ペペさんのやることだからなあ。


「『フライ』よりは制御が簡単だが、使用にレベル二〇は必要だろう。エルマが試験的に使ってみて問題はないとのことだよ」

「四枚もらっていきまーす!」

「天井のないところで試すんだよ」


 行動範囲が広がるなあ。

 残り交換ポイントは二〇〇ちょうどとなる。


「アルアさん。こんなパワーカードを手に入れたんだ」


 エルフの里で手に入れた『クールプレート』と『ウォームプレート』を見せる。


「これは?」

「夏でも涼しいってカードと冬でも暖かいってカードだよ」

「「へえ」」


 アルアさんとゼンさんが興味深そうにする。


「……つまり生活に役立つカードというわけだね? 戦闘には全然関係なく」

「そゆこと。これは一般にも売れるんじゃないかなーと思って」


 帝国への輸出品として有望で、ドーラでも金持ちには売れるんじゃないか?


「クエスト先のエルフの里で、独自発展したカードと言ってたよ。今度製法を教えてもらえそうなので、その時はエルマ借りるね」


 エルマならフレンドであたしのホームまで来られるから、一緒に行ける。

 塔の村のコルム兄連れていってもいいな。

 ゼンさんが聞いてくる。


「ユーさん、エルフもパワーカードと関係があるのかい?」

「今のエルフの族長が昔冒険者で、パワーカード使ってたんだって」

「ひょっとして、ヒバリというノーマル人がリーダーのパーティーかい?」


 アルアさんは知ってるんだ?


「うん。あたしはそのヒバリさんと顔が似てるんだって」

「そうかいそうかい。アタシの婆様がよく話してくれたものだよ」


 懐かしそうだな。

 いろんなところに繋がりがあって面白いものだ。


「で、アンタ達はこれから飛行訓練かい?」

「こんなもの手に入っちゃ、じっとしていられないからねえ」

「これ以上の交換は、今日はなしでいいかい?」

「うん」


 以前手に入れた『ファントマイト』と『埋没コイン』に対応するカードをまだ見ていないが、アルアさんのところで聖属性闇属性に関するカードを製作できないことは、リストを見て知っている。

 対バアルに確実に役立つカードがないなら急ぐことはない。


 えーと、まだ何か忘れてるような気がする。


「思い出した。転移石碑の刻印だけど、でき上がりはいつになるかな?」

「多分明後日にはできるよ。三日後取りにおいで」

「はーい」


 今日は転移石碑の確認がメインだったのに、飛行カードですっかり頭から抜け落ちてたよ。


「じゃ、あたし達帰るね」

「帰るぬ!」

「『遊歩』は慎重に使いなよ」

「ユーさん、またな」


 ヴィルは通常任務へ、あたし達は転移の玉を起動し帰宅する。

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