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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第552話:鳥貴族

 突然クララが叫ぶ!


「フライ! 上注意してください!」


 大岩だ!

 鳥が蹴り落としてる?

 テラワロスが悲鳴を上げる。


「ろ、ロック鳥だ! この谷はロック鳥の住処だったのか!」

「クララ! 後ろ上方へ離脱! アトムダンテ! ぶつかりそうな岩だけ破壊して!」

「「「了解!」」」


 クララの高速『フライ』で強引に後ろへ抜ける!

 一発だけ当たりそうな岩があったが、アトムが『マジックボム』で爆砕した。

 お見事です。

 谷の上まで来たので、もう危険はないが……。


「クララ、ゆっくりロック鳥に近付いてくれる?」

「はい」

「ええっ? 危険ですよ!」

「挨拶するだけだよ。向こうが岩落として挨拶してくれたんだから。礼儀だぞ?」

「岩落とすのは挨拶じゃないですよ!」


 テラワロスは臆病だなー。

 危険ではないってばよ。

 わからんちんならとっちめるだけだし。


 おお、近寄るとロック鳥デカいね。

 いい面構えしてるじゃないか。


「すごいねえ。これドラゴンと戦ったらどっちが強いだろ?」

「いい勝負じゃないでやしょうかねえ」

「ロック鳥は大型魔獣をさらっていくこともあるらしいですよ」

「ヒュー、グレイトね」


 ドラゴンみたいに前脚があるわけじゃないけど、何しろ嘴が大きいし鋭い。

 アトムの言う通り、いい勝負だろうな。

 魔境で言うと、同じ鳥の魔物のグリフォンと同格くらいと見た。


「ロック鳥はあんまり魔力濃度が高くなくても生きていけるみたい」

「どーしてあなた方はそんなに能天気なんですか!」


 テラワロスが喚くけど、黙ってなよ。

 ロック鳥が興奮して暴れ出したらどーすんだ。 


「あ、ヒナがいるんだ。だから気が立ってたのかな?」

「子育て中のロック鳥なんて最悪じゃないですか! ただでさえ性格荒いんですから!」

「もーうるさいなテラワロ君は。エサになりたくなかったら騒ぐなよ」


 テラワロスを文字通り閉口させてからロック鳥に語りかける。


「あたし達はあんたの敵じゃない。谷の魔物に用があるだけなんだ。わかるね?」


 ダンテがこっそり話しかけてくる。


「やつはアンダスタンするね?」

「わかんないけど、理解しないようならあたし達の夕御飯がロック鳥のステーキになる」

「ヒナがいるのに、倒してしまうのは可哀そうですねえ」

「あたしらだって可哀そうだよ。肉食の鳥のお肉なんて不味いの決まってるし。まったく冗談じゃないわ」

「ひでえ話だぜ」


 アトムの言葉にテラワロスがコクコク頷く。

 あたしは不味いお肉食べるの嫌だから、もしロック鳥が刃向かって倒さなきゃいけなくなったら、アビーへのお土産にしようかな。


「話はすんだ。行こうか」

「「「了解!」」」「……」


 あたしの言うことは理解してくれてると思う。

 最後にロック鳥にキメ顔を見せて谷へ降りる。


「もう大丈夫だと思うけど、クララは一応さっきの警戒態勢ね」

「はい、わかりました」

「姐御、ロック鳥の降りられない、谷の奥の狭いところには魔物が多いんじゃ?」

「いいところに気がついたね。クララ、『フライ』で奥まで飛んでくれる? スピードは遅くていいから、安全優先で」

「はい、では上の警戒は皆さんでお願いします」


 この谷が奥で行き止まりになっているのか、あるいは向こう側に抜けるのかはわからない。

 まあとりあえず行ってみようじゃないか。


          ◇


「……ダメだな、これは」


 結論から言うと、谷は強歩三時間ほどの距離で行き止まりになっていた。

 確かに魔物は多い。

 とゆーか魔物の密度が高い。

 人形系レアもいることはいるが、割合で言えば谷の外と大して変わらない。

 結論、谷の内部で人形系狩りするのは大して意味がない。

 崖崩れの危険に注意しなきゃいけないだけ損。


「おそらく谷の狭い部分が魔物の繁殖地になっていて、増えて広い部分に溢れるとロック鳥の食物になるという生態系なんだと思います」


 なるほど、そんな感じだな。

 クララの説明に皆が頷く。


「じゃあここを荒らすと、ロック鳥にも迷惑だねえ。谷の外行こうか」

「「「「了解!」」」」


 テラワロスなんか明らかにホッとした顔してる。

 ……そーゆー態度を取られると、もう少しエンターテインメントをプレゼントしてやりたくなってしまうな。


「少し魔獣でも狩って、お土産に持っていってあげよう」

「ロック鳥にですか?」

「うん」


 ここロック鳥のナワバリなんだろうし、勝手にお邪魔したんだから手土産と挨拶くらい必要だろ。

 仁義ってやつだよ。

 ロック鳥の食べ物の好みは知らんけど、草食魔獣なら好きなんじゃないかな?

 あたしも好きだし。


「シャウトベアとジャイアントホーンですよ」

「よさげだね」


 クマとでっかいシカみたいな魔獣を何体か倒して、『フライ』でロック鳥の巣に戻る。


「ナワバリに入って悪かったね。これあげるから、お子さんに食べさせてあげてね」


 ロック鳥はすぐ理解して警戒を解いた。

 今倒したばかりの魔獣を食べやすい大きさにちぎって、ヒナに与えている。


「よく食べるなー」


 ヒナはあたし達くらいの大きさしかないのにガツガツいくなあ。

 どこ入ってくんだろ?

 ペペさんが食べてる様子を見るようだ。


「じゃあ、あたし達は帰るよ」


 ん? 何だろ。

 親のロック鳥があたしを呼んでいるようだ。


「ちょっと行ってみようか」

「だ、大丈夫ですか?」

「テラワロ君は心配性だなー。話の通じる理性的な顔してるじゃないか」

「わかりませんよ!」


 相手を理解する努力をしようよ。

 ムダな争いは少なくなるよ。

 ロック鳥は大きな巣の陰になっているところを見ろと言っているようだ。

 これは……。


「魔宝玉じゃん! くれるの?」


 そうだ、と言いたげなロック鳥。

 どうやらロック鳥は、人形系レア魔物を倒す手段を持っているらしい。

 お礼のつもりなんだろう。

 魔物でも賢いやつはいるなあ。


「ありがとう! もらっていくね」

「メニーメニーね!」

「これだけあれば十分ですぜ」


 ごっそり魔宝玉をゲットだ。

 予定通り今日でこのクエストも完了だな。

 よかったよかった。


「気前がいいねえ。さすが鳥の王」

「ユー様、鳥の王は一般的にフェニックスですよ?」

「なるほど? じゃあロック鳥は何だろ、鳥貴族?」


 どーしてだろ?

 心なしかロック鳥がうまそーに見えてきた気がする。


「姐御、ロック鳥が脅えてやすぜ?」

「あ、ごめんね。すぐ帰るよ」


 クララの高速『フライ』でエルフの里に戻る。

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