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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第550話:思ったより不埒でもなかった

 テラワロスは飛行魔法が苦手な子みたいだ。

 帰りは一旦転移の玉でホームに戻ってから、エルフの里に転送魔法陣で行く手もあるな。

 でもユー様は帰りも飛行魔法で帰ろうとしてるんですよね、って顔をクララがしてるがその通り。

 だってテラワロスが努力して飛行魔法に慣れようとしているみたいだから。

 あたしは他人の努力に協力してやりたくなる性質なのだニヤニヤ。


「……ウッドエルフは風魔法使いが多いです。飛行魔法を使える者もいるにはいますが、長距離移動に使うというのは……」

「レベルが上がるとスピードが速くなるから便利だよ」


 クララが言うには、『フライ』はレベル依存で消費マジックポイントは持続時間に比例するらしい。

 つまりレベルが上がれば上がるほど速く飛べ、遠くへ行けるようになる。


「あ、早速踊る人形だ」


 ダンテの豊穣祈念に続き、あたしの通常攻撃!


「黄珠と。ラッキー、墨珠もドロップした」

「今、何の変哲もない通常攻撃のように見えましたが。事前にかけたスキルの効果で簡単に倒せたわけですか?」

「ノン。『豊穣祈念』はレアドロップチャンスをアップするスキルね」


 ダンテが得意そうだ。


「踊る人形は黄珠を必ずドロップするけど、レアドロップの墨珠は何分の一かの確率なんだよ。その確率を上げるスキルということだね」

「では、倒すこと自体はどうやって?」

「武器にカラクリがあるの」


 『アンリミテッド』のパワーカードを起動する。


「これ、攻撃属性が衝波なんだ」

「衝波?」

「防御力無視属性とも呼ばれていて、ぶっちゃけ人形系レア魔物はこの衝波属性じゃないとダメージ入らないんだよ。さっき教えた『経穴砕き』の一ダメージ入る特性も衝波属性ね」

「ははあ、ではその『アンリミテッド』を装備していれば、ぼくでも踊る人形を倒せるということです?」

「そゆこと。でも『アンリミテッド』はレア素材をたくさん使った特注品だぞ? 素材さえ揃えれば塔の村のパワーカード職人が作ってくれるけど、かなり大変だと思う。踊る人形はヒットポイント一しかないから『経穴砕き』一発で倒せる。『経穴砕き』はデス爺から買えるし、まずそっち手に入れるのがいいいと思うけど」

「なるほどなるほど」


 ん? その顔は……。


「……テラワロ君、何か不埒なこと考えてるでしょ?」

「この情報の提供とぼくが塔の村まで買いに行くことを条件に、誰かぼくの分までスクロール代を払ってくれないかと考えているところです」

「思ったより不埒でもなかったな。『経穴砕き』のスキルスクロールは一本一五〇〇ゴールドだよ。アーチャー向きのスキルじゃないから、使用武器には注意ね」

「ありがとうございます」

「じゃ、次行こうか」


          ◇


 確かに人形系が多い地区ではあった。

 結構踊る人形とギャルルカンを倒したが、いかんせん一匹ずつしか出ないし逃げることもあるので、大して魔宝玉の数は稼げなかった。黄珠・墨珠・藍珠合わせて二〇個くらいか。


「ずいぶんたくさん手に入れたと思いますよ?」

「そお? でも取り引きに使うならもっと欲しいでしょ」

「かもしれません。ぼくとしてはレベルも上がったので満足なのですが」

「さて、遅くなったし今日は帰るよ。明日また来るね。もうちょっとまとめて何匹か出現する場所知らない?」


 人形系がゴロゴロ出るような都合のいい場所はそうそうないか。


「この先の谷が危ないから入るな、と言われています」

「むーん? 怪しいけど情報量が少ないなー」


 何とも言えんわ。

 クララが考えながら言う。


「レベルの高い魔物がいるだけかもしれませんが……」

「行くんでやしょう?」

「まあ。フラグ立てられて逃げるわけにいかないもんねえ」


 じゃ、あとは明日の楽しみとして。


「クララ、戻ろう」

「ペ?」


 こらテラワロス、変な声出すな。

 そんなに怖かったのかよ。


「テラワロ君のレベルも上がってるから大丈夫でしょ」

「で、ですよね?」


 引きつってるけど。


「フライ!」


 クララの飛行魔法でびゅーんとエルフの里に戻る。


          ◇


 夕食時にあの検証をしている。


「うーん、悪くはないけど?」


 朝から金属鍋で水出ししている超すごい茶のことだ。

 これでも正直、ザバンで味わったものよりはおいしいのだが。


「やはりガラス容器を使って水出ししたものが遥かに上ですねえ」

「最高を知っちまうと、努力不足は満足できやせんぜ」

「ごもっとも。高値で売りつけるからには最高でなくちゃいけない」


 これで目一杯なら十分満足なのだが、アトムの言う通り最高のパフォーマンスを発揮できていない状態はよろしくない。


「これ、陶器や木製の器だったらどうなると思う?」

「器から溶け出す成分が味の邪魔をするという理屈なら、金属よりはずっといいでやしょう。でもガラスにはかなわねえ」


 クララとダンテも頷く。

 ふむ、ガラスがベストか。


「プチウォーター!」


 両手持ちのガラス大器を水で満たし、超すごい茶葉を投入する。


「明日朝に温めたやつと冷やしたやつ飲んでみよう」

「「「了解!」」」


 超すごいお茶について大分わかってきたね。

 話題を変える。


「エルフの里、どう思った?」

「テラワロスは頼りないね」

「ズバッと言うな。真実過ぎるぞ」


 皆が笑う。

 エルフは風魔法に馴染みがあるだろうに、『フライ』くらいで死んだみたいになられても困るんだよなー。


「高速『フライ』に耐性ない人は案外多いね」

「気持ちいいですけどねえ」


 クララが本気で首をかしげている。

 わかるけれども。


「素材がかなり手に入りやしたぜ」

「うん、アトムの言いたいこともわかってるぞー」


 明日朝から今日の人形系の比較的多いエリアの先の谷へ行けば、このクエストは終えられるんじゃないかなと思う。

 素材ももっと増えるし、アルアさんの工房で換金したい。


「トゥモローの午後にはカードアトリエね?」

「クエスト後だから、夕方くらいになると思うけどね。アトムを連れて、行ってくるよ。飛行カードと転移石碑完成してたらもらってくる」

「「「了解!」」」


 あたしとアトムが出かけてる間に、クララが夕御飯作ってくれてるとムダがない。


「ごちそうさまっ! おいしかった!」


 今日は緑の民の村に行ったあと、特別にサイナスさんに伝えなきゃいけないようなイベントはなかった。

 よって予定通りヴィル通信はなし、寝るか。

 テラワロスは弄り甲斐がある。

 コケシに虐められたわけもわかる。

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