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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第549話:ここにも飛行魔法に弱い人

 フイィィーンシュパパパッ。

 今日の午前中は緑の民の村で交渉とゆーか雑談とゆーか。

 まあ結構楽しい時間を過ごしてきた。

 午後はエルフの里でクエストだ。

 全然関係ないようでともにエルフに縁があるという、共通点はあるな。

 が?


「ユー様、昨日と転送先が違いますねえ」


 クララがキョロキョロ周りを見渡している。

 そうなのだ。

 今日は昨日の森々したところではなく、里の門のすぐ前のところに転送された。


「これ転送先変わる意味あったのかな?」

「どういう基準で転送先が変わるんでやすかねえ?」

「ジスプレイスはコンビニエンスではあるね」


 ダンテの言う通り便利になったんだから、まあいいや。

 不便になったのなら物申すけど。

 最初からこの位置に転送されたんだと、エルフの側も誰か攻めてきたんだと思ってビックリしたかも、と好意的に解釈してみる。


 門番さんに声をかける。


「こんにちはー」

「こんにちは。昨日のお客人ですな」

「アビーとカナダライさんにクエスト頼まれたんだ。テラワロ君に魔物がいるところへ案内してもらうことになってるんだけど、テラワロ君どこかな?」

「テラワロスですな? 少々お待ちを。呼びに行かせましょう」


 一人が駆けてゆく。


「テラワロ君ってどんな子? 面倒くさがりで要領のいい感じに見えるけど」

「面倒くさがりで要領のいいやつですな」

「やっぱなー。見切ったわ」


 笑い合う。

 タレ目エルフテラワロスは、誰が見てもそーゆー印象らしい。


「自分から進んで何かしようということはないですが、機転が利きますので、カナダライ殿にはよく命令を受けていますな」

「なるほど。カナダライさんがテラワロ君をどう扱ってるかは理解した」


 放っとくとニートになっちゃうから働かせるということだな?

 あ、来た来た。


「お待たせしました」

「じゃ、行こうか。どっちだろ?」

「こちらです。どうぞ」


 ユーラシア隊および無気力タレ目エルフ出撃。


          ◇


「……で、あの塔は『永久鉱山』ですから」

「重要なポイントだね」

「おかしな使われ方をされると、危機にも脅威にもなり得るってことだったんです」

「だからカナダライさんに様子見てこいって言われたんだ?」

「はい……あれ、どうしてカナダライさんだと?」

「アビーはぼーっとしてるから、塔の村なんかに気を回さないでしょ」


 エルフが他種族との取り引きに使っている魔宝玉を得るというクエストだ。

 人形系レア魔物が比較的多いという地域に案内してもらっている。

 道々テラワロスと話をしながら行く。


「で、何でエルのパーティーに参加してたん?」

「頭髪の寂しい村長に、手が足りないから手伝っていけと」

「ははあ、なるほど。タダ働きを強制されたわけだ」

「いえ、スキルスクロールを一本いただきました」

「何もらったか当てようか? そーだな……『ヒール』でしょ?」

「当たってます。えっ、どうして? 一〇本以上からの選択でしたが……」


 ハハッ、相当驚いたようだね。

 美少女名探偵の推理を聞かせてあげよう。


「デス爺がお礼にくれるスクロールは、基本の攻撃魔法五種と『薙ぎ払い』『五月雨連撃』『セルフプロデュース』『MPパンプアップ』『経穴砕き』『ヒール』『キュア』『クイックケア』くらいなんだよ」

「はい、その通りでした」

「『薙ぎ払い』『五月雨連撃』はいいスキルだけど、テラワロ君はアーチャーだから使わないでしょ。攻撃魔法や他のスキルも、必要性を考えるとパッとしないかな。やっぱ回復魔法だわ。回復魔法が欲しいなら、戦闘中しか使えない『クイックケア』より『ヒール』だからねえ」

「いや、ズバリですよ」

「でも本当の効果知ってたら、『経穴砕き』が欲しくなったかもしれないよ」

「えっ? 本当の効果?」


 意外そうだね?

 わかるけれども。


「『経穴砕き』がどんなスキルだか覚えてる?」

「確か敵単体の魔法防御をかなり下げる、デバフのバトルスキルですよね?」

「そうそう。さらに問答無用で必ず一ダメージを与える副次効果があるんだ」

「……ちょっとわかりませんが、つまり?」

「人形系レアも例外じゃないんだぞ?」

「!」


 テラワロスがエルのパーティーにいたのは、チャグ加入前のごく初期のみ。

 その時はまだ踊る人形を倒す選択肢はなかっただろうから、『経穴砕き』の知識もなかったに違いない。


「人形系からもダメージを奪えるのか……」

「エルフの里では魔宝玉があたし達の考えてるより貴重品扱いされてるみたいだからさ。人形系レアを倒す手段が知られてないんじゃないかなーって思ったんだ。この知識をエルフの間でも広めておいてよ」


 今後亜人達とも取り引きを活発にしたいしな。

 魔宝玉流通量の多寡は問題になりそうだから、少しずつ人形系を狩って増やしていくといいと思うよ。


「ノーマル人の社会では魔宝玉は高価ではないのですか?」

「ところがそうでもないの。戦士の数自体が少ないのに魔宝玉を欲しがる人は多いから。イメージとしてはこっちの半分くらいの価値って感じかな。でも倒すのがすっごい難しい、高級人形系レア魔物が落とす魔宝玉の値段は天井知らずだよ」

「なるほど……」


 エルフとの取り引きを早期にあんまり積極的に進めると、エルフからものが流出しちゃってよくないのかもなあ。

 いや、人形系レア魔物狩りが進めば、相対的に魔宝玉の価値が低くなるからいいのか。


「ところで人形系レアの多い場所って遠いの?」

「さほど遠くでもないです。強歩一日くらいですか」

「ばかもん! 付き合ってられるかーっ!」


 ビクッとするテラワロス。

 先に言え。

 あたし達は一日歩くほど暇じゃないわ!


「クララ、よろしく」

「はい、フライ!」


 ふわっと浮き上がる一行。

 不安そうなテラワロス。

 クララの飛行魔法は上手だから信頼していいぞ?


「方向はどっち?」

「ほぼ北西です」

「クララ、飛ばして!」

「はい!」


 びゅーんと北西へ。


「どわわわわわ!」

「こら、やかましい! しっかり案内してくれないと通り過ぎちゃうぞ!」

「はいー!」


 タレ目エルフを一〇分ほど愉快な声で鳴かせた頃、目的地にフワリと降り立ったした。


「はあはあ……」

「もー慣れたでしょ?」

「慣れませんよ!」

「帰りもびゅーんだから、慣れたほうがいいと思うけどなー」

「……努力します」


 げっそりしてるけど、まあ大丈夫だろ。

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